’70年貧困の消滅と私権の衰弱
295224 貧困脱出・豊かさ実現の道しるべ「住宅すごろく」
 
小澤紀夫 ( 40代 営業、企画 ) 14/09/12 AM00 【印刷用へ
 戦後、日本は高度成長期を迎え、地方からの移転者や出稼ぎが増加し、都市の住宅が不足します。都会での生活は、生涯固定の一対婚が主流となり、新婚当初から家庭に親はいないのが一般的で、結婚するなら次男が良いとまで言われるようになりました。相続は平等にという戦後の法律の改正も原因していました。

 住宅は「間借り」、「下宿」、「アパート」、「長屋」、「文化住宅」、「団地」(公営、公団住宅)、「マンション」、「テラスハウス」、「戸建」と貧困脱出の明確な道しるべ(「住宅すごろく」と呼ばれました)として用意されました。サラリーマン主流の核家族へ変化していく中で、住宅は共用部がなくなっていくと同時に、どんどん核家族中心に閉じていく過程でもありました。


【間借り】
一戸建ての建屋のひと部屋を借りるという形式です。1〜2部屋貸して大家と2〜3家族が住んでいるということもありました。水回りは共同になります。

【下宿】
形式は「間借り」と同じですが、ひと部屋に一人が原則で、大家1家族と複数の単身者が共同で住むという形でした。水回りは共同になります。

【長屋】
  部屋が外に直接面して、玄関をあければすぐ部屋という構造で1棟のなかで部屋が並んでいるという形式です。水回りは共同で外にある(井戸だったりする)というのが一般的でした。お風呂は銭湯を利用します。

【アパート】
  大家はその建屋にはおらず、廊下をはさんで部屋が連なっており、ひと部屋(水回りなし)を借りる、玄関、水回りが共同という形式です。便所、台所などの水回りはアパート内廊下にあり、お風呂は銭湯を利用します。

【文化住宅】
  外廊下に面した玄関から2部屋程度の間取りの1戸がありトイレ、台所も1戸内に入っているという形式です。お風呂は銭湯を利用します。少しづつ水回りが共同化から個室化していくという流れが見えます。

【団地】(公営、公団住宅)
  これまでの木造から鉄筋コンクリートに変わるという変化がありました。また団地の初期については、お風呂は銭湯を利用していました。やがてお風呂も1戸の室内に入るようになります。水回りの共同利用がなくなりました。当初2K(風呂なし)から作られましたが、高度成長期に2DK、3DK(このころは風呂付き)、最後は3LDKと進化していきました。

【マンション】
  団地の民間開発型がマンションです。エントランスやEV、メールコーナー、ゴミ置き場などは共用部となります。共用のエントランスから入り、個別の住宅に入るという形式です。公営住宅は平等・画一的となりますが、民間開発のマンションは顧客の需要に合わせて次々と進化(面積も拡大)していきました。当然水回りはすべて室内にあります。それも時代とともにサイズアップ、仕様アップ、ユニットバス(綺麗でかつ工業製品化で工期短縮)、オートロックなど進化していきます。部屋も3LDKなど各人の個室とみんなが集まるダイニングリビングとで構成されるようになりました。各人が個室に入る時代が来たのでした。エントランスはホテルのように、図書室や宿泊室、キッズルームなど共用部が充実する大型マンションも登場しました。

【テラスハウス】
  戸建が連棟式(1棟に2〜3戸繋がっている、2階建てが多い)となっているものがテラスハウスです。個別に玄関、庭や駐車場も付いています。当然水回りはすべて室内にあり、各人の個室もあります。共用部はありません。しかし壁ひとつ向こうには別の家族が住んでいました。

【戸建】
  個別に玄関、庭や駐車場も付いています。当然水回りはすべて室内にあり、各人の個室もあります。完全に独立した1敷地に1戸が建つという形式です。密集地に建つミニ戸建から、郊外や田園調布のような大型街区の戸建まで大きさは様々あります。共用部のない戸建住宅は完全に核家族の中心に閉じられたのでした。


 人々の生活も1950年代の日本人にとっては、白黒テレビと洗濯機、冷蔵庫が3種の神器となり、1960年代には、自動車とクーラー、カラーテレビがそれに該当しました。海外、特にアメリカの家族をテーマとしたテレビ番組(奥様は魔女、名犬ラッシーなど)も放映され、人気がありました。1970年の貧困脱出、豊かさ実現以降もバブル崩壊後までは、住宅の豊かさ実現志向は「住宅すごろく」(新婚時は間借りやアパートから開始してマンション、最後は戸建に住むのが夢という価値観)と呼ばれたように住宅は貧困脱出以降も豊かさ実現をめざす私権収束先としてしばらくは継続しました。
 
 
 
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自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

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