心の本体=共認機能の形成過程
291781 モノ作り教育の大切さ
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 自営業 ) 14/06/27 PM06 【印刷用へ
 先日、地元紙で紹介されていた「身近な廃材から生まれたおもちゃ展」を見に行った。
トイミュージアムと案内に書かれた会場を訪れると、そこは住宅街の一角にある児童向けの工作教室とおもちゃの展示館が併設されている施設だった。木材で作られたその大きな建物の中からは、鉄を叩く音が響いている。

中へ入ると、一階には大きな工房があり、中では10名近くの小学生が黙々とモノ作りに励んでいる。平成というより、一昔前の昭和の雰囲気がたっぷりの空間だ。壁には様々な工具がかけられ、様々な素材の並んだ大きな棚がいくつもある。ここに来れば、どんな工作も出来そうな気がして、大人でもワクワクする。毎週土日には、子どもたちがそれぞれ、自分の作りたいおもちゃを作りに来ているらしい。かたわらには高齢になる館長が付き添い、スタッフとともに指導にあたっていた。

スタッフの方に案内され、2階の展示室に上がると、東南アジアや中南米、東ヨーロッパ、アフリカなど世界各地の手作りおもちゃが展示されている。どれも館長が世界中を旅して集めてきたものだという。
今回の展示で特集されているのは、マダガスカル(アフリカの島国)の人達が廃材から作ったおもちゃの数々。電球や香水の瓶、ヘアスプレーの缶から生まれ変わった灯油ランプ。空缶から作られたトラックや、ミキサー車にクラッシックカー。古タイヤから作られたサンダルや王冠から作ったバッグや空缶から作った帽子など、どこか懐かしいものばかり。そのモノ作りのアイデアと工夫と器用さには感心した。

それよりも驚いたのは、このような住宅街の一角で、モノ作りを通じた教育活動を地道に続けてきた人達の存在だ。館長は教育学部を卒業後、教師になるよりも、モノ作りを通じた教育の道を志した。1970年代後半に仲間と立ち上げた工作教室の活動は、40年近くになる。年もすでに70くらいだろうか。

展示を見終える頃には、工作活動を終えた子どもたちが一斉に片づけと掃除をしていた。おもちゃ見学のつもりで予期しなかったことだが、モノ作りを通じた教育の現場をじかに見せてもらい、非常に感動したことを伝えると、館長も活動の根幹にある哲学を語ってくれた。

以下は、この施設のパンフレットに載せられたメッセージである。

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“生きていく力を養おう”

現在、私たちは困難な時代を迎えております。
様々な分野の日本人を大きく変えようとしています。
そうした現状をみつめると、将来生きる子どもたちに
“自分で考える力”、“失敗を乗り越えるエネルギー”、“希望を生み出す想像力”を養うことが求められています。
NPO法人海賊船は、35年間の子どもたちのモノ作りとおもちゃ博物館活動を通じて、感動体験のできる環境を用意してきました。
そして、この場所で子ども自らが未来への自信と力、即ち「人間力」「発想力」「対応能力」を身につけてほしいと考えています。私たち海賊船スタッフはNPO活動を通じて少しでも皆様方のお役に立てればと考えています。ぜひ一度ご家族でお立ち寄りください。

特定非営利活動法人海賊船理事長 川合英治
(以上、引用終)
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日本は工業立国であり、モノ作りを通じて発展してきた。手先の器用さと勤勉さと協力体制が国家を支えてきたと言っても過言ではない。モノ作り体験をせずに育った子どもたちが、大人になってから創造力に富む生産的な人間になれるのか。

館長は言っていた。「いまや後進国でさえ、これらの手作りおもちゃがなくなりつつあります。だから、収集するのは今が最後のチャンスなのです」

いまや、国連のアジェンダ21の一環で、富岡製糸場も世界遺産登録される時代だ。(※アジェンダ21はあらゆる工業的生産手段も目録として保存対象になっている)
日本人のモノ作りの技術や精神が過去の遺物とならないように、勉強やスポーツだけでなく、モノ作り教育を推進していく重要性を感じる。

●NPO法人海賊船HP
リンク
●『子どもの手を返せ―主体性を育てるモノ作り』 日沖 隆、 川合 英治
 
 
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自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

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