西洋医療と東洋医療
291222 増え続ける医療費 ―老人とクスリ―
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 自営業 ) 14/06/12 PM06 【印刷用へ
 国民所得が停滞し続ける一方で、年々増加を続ける国民医療費。その増加は3年連続で、年間1兆円以上増え続けている。また、5年連続で過去最高を更新。現在では、年間40兆円に迫る規模になっている。

しかし、この国民医療費の具体的な算定は、各種統計資料から推計した加工統計であることに加え、保険対象となる疾病治療に限定した数字だ。その他の保険適用外の先進医療や不妊治療、正常な妊娠・分娩の費用、予防接種の費用は含まれていない。これらを合わせると、日本国民が医療に使っている金額は、40兆円をはるかに超えるだろう。

どの分野で医療費が増加したのか?

概算医療費(国民医療費の98%に相当)をみてみると、2000年から2012年の12年間で9兆円増加しているが、その中でも調剤薬局の伸び率が138%と断トツである。その他の医療機関の伸びは、病院23.4% 診療所13.6% 歯科5.4% で、医療機関全体の伸びは30.5%。調剤薬局の異常な成長率は、主に薬剤費の増加によるものだ。

次に、医療費の支出を年齢別にみると、伸びが著しいのは高齢者。その額は年間合計20兆円を超え、人口の4分の1に満たない65歳以上の高齢者の医療費が全体の半分以上(55%)を占めている。

以上、統計から今の日本では、高齢者がどんどん薬漬けにされている実情が浮かび上がってくる。現代医療のクスリが、高齢者の病を治し、その健康に寄与するものなら、国家が莫大なお金を投じる価値も意味もあるだろう。しかし、高齢者こそ、最もクスリをとってはいけない人達だ。

薬剤は異物であるため、人体は速かに排除するように「消失」のプロセスを起こす。病原菌など、大きな異物は免疫系の細胞の働きにより除去されるが、薬剤の分子は小さすぎて免疫系に異物として認識されない。そこで、薬剤は肝臓で代謝され、腎臓から尿という形で排泄される。(胆汁や呼気、唾液という排泄経路もあるが、排泄量は少ない)

そして、個人により開きがあるが、一般に高齢になると肝臓と腎臓の働きの両方が低下し、薬剤を分解する力も排泄する力も弱まる。その一方で、体の方は加齢に伴い、血流の速度が低下し、体の水分量も減るため、薬剤の水溶性の成分が血中で濃くなり、体内に留まる時間も長くなる。そのため、各種薬剤の副作用は、高齢者において特に高くなる。

高齢者がクスリを摂取するのは、健康を損なうリスクがあり、腎機能障害がある人には、多くの薬剤が禁忌になっている。

現在の医療システムは、診療報酬の引き下げや医薬分業化が進み、利益を上げるために多剤大量処方(ポリファーマシー)の傾向に走りやすい。医師の側も薬を多く与えるほど効果も上がるという思い込みがあり、その結果、薬理学的な面を無視した危険な投薬が患者にされることがある。
(薬剤の性質やリスクについては、医師より薬剤師の方が専門的で詳しい)
このような過剰医療(オーバー・ユーティリゼーション)を避け、高齢者の健康を守るためにも、患者家族の側には、薬学的な知識は必須である。

●お薬110番 リンク
「腎障害における禁忌薬」(免責事項あり)リンク 
―解熱鎮痛剤や降圧剤、骨粗鬆症や糖尿病の治療薬など、実に多くの薬剤がリストアップされている。各情報については、医師のアドバイスや薬剤の添付文書も各自、参照するようにアドバイスされている。
●平成24年度 医療費の動向 厚労省HP
リンク
●膨張する医療費の原因は薬にあり
リンク
●我が国の医療費の現状
リンク
●高齢者の方々へ クスリを安全に飲むための心得
リンク
 
 
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