学校って、必要なの?
291114 義務教育が生み出す「イジメ」
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 自営業 ) 14/06/09 PM07 【印刷用へ
今年(2014年)1月に起きた長崎の中3男子の自殺。
彼が生前に書いた作文は、心に深く突き刺さるものがある。

「空気」という題で、いじめが起きる仕組みとそれをなくすためのメッセージを訴えたものだ。この作文は夏休みの宿題として提出されたもので、ニュース報道では、自分の状況を級友に訴えるために書かれたものと推測している。表面的に読めば、そうだろう。しかし、読む側が自分のことのように心して読んでみるとそれ以上のメッセージがあることがわかる。その内容は、人の目を気にしたり、自分の意思に反して他人に同調したり、社会やマスコミの風潮に流される大多数の大人にもあてはまるものだ。また、人の気持ちや痛みに鈍感になっている人々の日常にも疑問を投げかけているように感じる。

(以下は、作文の一部)
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「空気」

 情報社会である現在、毎日膨大な情報が流れてくるが、必ずといっていいほど目にする記事がある。それがいじめ問題だ。「中学の男子生徒がいじめにより自殺しました」などという事件が起こるのが最近はあたりまえと思う人が増えていると思う。
 いじめの加害者の気持ちを想像してみた。主な理由は二つほど考えられる。一つ目は、いじめという行為が楽しい。「相手の反応がおもしろい」などがよく補足としてつけ足される。このての加害者は恐らく、自分がその苦痛を知ることでしかやめないだろう。
 二つ目は、周りの友達に合わせているからだと考えられる。そう、ほとんどの人が自分が嫌われないように生活しているのだ。もし、少しでも友達が嫌いな子に優しくすれば、そのことを責められ、今度は自分がいじめの対象になるのではないかという不安と恐怖にかられる。それの連鎖がおこるから、周りの人に合わせるといじめがおこる可能性があると思う。
 もっともたちが悪いのは後者の方だ。なぜなら、いじめが完全に終わることがほとんどないからだ。対象者は移り変わってもいじめは続く。
 では、いじめの原因は何かを伝えよう。それは「空気」だ。これが目に見えないものだから恐ろしい。いじめをしなければ自分がやられてしまうという空気、いじめに参加しないといけない空気。いじめの加害者、主犯でさえも空気によって動かされているのだ。
 この問題を解決する方法はただ一つ……。みんなが親友になることだ。そう、実はすごく簡単なはずなのだ。人の笑顔は人を笑顔にし、その笑顔がまた別の人を笑顔にすると思う。僕の好きな歌にこういう歌詞がある。「空気なんてよまずに笑っとけ、笑顔笑顔、笑うかどには福来たる」。暗い顔をしていてもいいことは起こらない。学校で習う数学の公式や英単語を忘れても、笑顔の大切さだけは忘れないでください。
(引用終)
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故人は成績も良く、校内でもリーダー的な存在だったという。それが3年生に上がってから、彼をやっかむ級友からいじめの標的にされ、わずか20名あまりしかいないクラスメートのほとんどが同調して、最終的に彼を精神的に追い詰めていったようだ。

作文の一部分だけからもわかるように、彼は自分で考え、それを形にする文章力も持っていた。また、感性も優れた人物だったことがうかがえる。彼のように人の痛みがわかる若者であれば、将来、社会のためになる仕事を成し遂げていた可能性が大きい。先生になっていたら、いじめに合う子供たちを救う人になっていたかもしれない。その意味で、彼のような若者が自死を選んだことは社会にとって非常に大きな損失だ。

現在の義務教育の中心軸にある成績の評価システムは、級友間に優劣感情をもたらし、それが差別意識(自分より上の者を羨んだり、恨んだり、自分より下を蔑む)につながる。個人の中に差別意識が生まれれば、優秀な子であれ劣った子であれ、少数派とあらば、どんな子でもいじめの対象にしてしまう。このケースでは、優秀な子が周囲の多数に潰されたわけだが、劣る子が少数派であれば、その子が潰されていただろう。他人の評価が異常に気になる思春期の子供たちをクラス分けし、成績で評価して差別化する義務教育のシステムは非常に危険なものだ。何より、義務教育はアメリカの財閥が100年ほど前に産業構造の維持のためにプログラムしたものであり、子供たちを自分の頭で考えることができない平均的な労働者にするためのものである。その中に組み込まれているものが、子供たち自身の間で、自分の頭で考える人間や個性的な人間を異分子として排除していく「いじめ」という自動の品質管理システムだ。現在の義務教育といじめは表裏一体である。いじめの原因は様々な観点から議論されるが、義務教育の存在そのものが原因だと喝破する人は教育界にはいない。教育者の多くは、子供の命ではなく、自分の仕事を守るのに必死だからだ。(ワクチンや薬が病気の原因だという医者がいないのと同じである)

義務教育に通う子供たちは、広い世界を知ることなく、非常に狭い箱の中で、多感な少年期を過ごす。彼らにとっては、学校やクラスが人生の全てである。
『バカをつくる学校』を書いたジョン・テイラー・ガット先生は、教育は学校(義務教育)に任せるべきではないと説いた。少年期は、地域社会の多様な大人たちの姿をみて、広く世界を学ぶ時期であり、その貴重な時間を学校や教室という狭い空間の中に拘束されることの代償は非常に大きい。これ以上、学校を増やすのは危険であり、まともな社会を作るには、かつてそうであったように、親と地域社会が教育に深く関わることが必要だとガット先生は主張している。

いじめは被害者だけでなく、人間としての感性があるなら、加害者の心にも傷を残す。優秀なクラスメートを自殺に追い込んでしまったクラスメートには、この経験を今後の生き方に活かしてくれることを願うしかない。ニュースでこの事件を知った大人の方も、彼のメッセージから、自分にできることを考え直すことで、この命を無駄にしないようにしたい。

●長崎・中3自殺:一部同級生「みんな共犯者」当日朝教室で
毎日新聞 2014年05月30日
リンク
●長崎・中3自殺:「いじめ原因、なぜ認めぬ」
毎日新聞 2014年05月28日
リンク
●中3自殺:松竹景虎君が残した夏休みの作文 いじめテーマ
毎日新聞 2014年06月06日
リンク
 
 
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