アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争
289547 民主主義国家の諜報機関は、秘密を守るために民営化していく。
 
きっちょむ ( 会社員 ) 14/04/22 PM10 【印刷用へ
民主主義の建前のもと議会や国民の目を嫌う諜報機関は、その活動の場を民間に移していくという。これは軍も同じ事で、確かに、アメリカでは2000年以降民間の軍事会社が急速に拡大していく。

_______________________________

リンク

7月19日付けのワシントン・ポストに掲載された情報機関に関する記事が話題になっている。2年間の調査に基づく調査報道で、そのタイトルは「トップ・シークレット・アメリカ」。2001年9月11日以降、アメリカの情報機関が「官」と「民」の壁を越えて肥大化し、制御できない状況になりつつあると警鐘を鳴らしているのだ。現在、1271の政府機関と1931の民間企業が「テロ対策」という名目で秘密裏に活動、85万4000名が最高機密保全許可を取得しているという。

 第2次世界大戦後、アメリカでは破壊活動を目的とする秘密機関OPC(政策調整局、当初の名称は特別計画局)が組織された。平和な時代に情報機関は必要ないという意見がアメリカ国内にはあり、1947年にCIAを創設するだけでも大変だった。そこで、CIA長官の影響が及ばない場所にOPCを1948年に設置したのである。その初代局長がフランク・ウィズナー。この人物は大戦中、アレン・ダレスの下で秘密工作に従事し、イギリスのロンドンやルーマニアのブカレストで情報活動を指揮した。戦後日本が進む方向を決めた、つまり「右旋回」させたジャパン・ロビーとも近い関係にある。(この辺の詳しい事情は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』で説明した。)

 ドイツとの戦争で疲弊したソ連を攻撃するべきだと考える勢力がイギリスやアメリカで台頭し、CIAやOPCが登場してくる頃から「冷戦」ということが言われるようになる。そして1950年10月にOPCはCIAの内部に潜り込み、翌年の1月にはアレン・ダレスが副長官としてCIAに乗り込んできた。そして「計画局」が1952年8月に誕生、1973年3月に名称は「作戦局」へ変更された。

 この名称変更の背景には、アメリカ議会の調査がある。情報機関の秘密工作にメスが入れられ、OPCに関する情報が不十分ながら明らかにされたほか、クーデターや要人暗殺など、さまざまな秘密工作が表面化している。ベトナム戦争で情報機関と特殊部隊が展開した「フェニックス・プログラム」もこの時に判明した。この作戦によって、特定の地域に住む農民が皆殺しにされ、都市部では「爆弾テロ」が展開された。(この辺のことも拙著では触れている。)

 こうした議会の調査、メディアの報道、そして内部告発に懲りた情報機関は議員の口を封じる方策を考え、自分たちの言いなりにならない記者を排除し、内部告発ができないようなシステムを導入していく。「情報活動の民営化」も議会や国民の目をかいくぐる手段のひとつだった。この問題は「イラン・コントラ事件」で発覚している。

 しかし、情報活動の民営化と肥大化が急速に進むのは2001年9月11日からである。同じように軍隊の民営化も推進されたが、軍や情報機関の仕事をする民間企業は秘密のベールに守られ、仕事の内容も資金の動きもわからない。

 CIAの破壊活動部門は麻薬取引に手を出してきたと信じられている。ベトナム戦争の時には東南アジアのヘロイン、ニカラグアの反革命工作ではコカイン、アフガニスタンではヘロインといった具合だ。そうした手段で得た資金を「洗浄」するためにCIAは銀行業にも進出、ロッキード事件で登場するディーク社やアフガン戦争の際に名前が出てきたBCCIも「CIA銀行網」の一部だとされている。つまり、情報機関の肥大化は犯罪活動を守ることにもなりかねない。

 ドワイト・アイゼンハワー大統領は1961年1月、退任演説の中で「軍産複合体」について警告しているのだが、現在では情報機関も加えなければならない。いわば「軍情産複合体」だ。こうした指摘は1980年代からなされていたのだが、体制派のワシントン・ポストがこの問題に取り組んだことは興味深い。何しろ、1996年8月にゲーリー・ウェッブがCIAと麻薬取引に関する連載記事を書いた際、同紙はウェッブ記者に罵詈雑言を浴びせたのである。体制を揺るがすほど、事態は深刻化しているのかもしれない。

 秘密の裏では腐敗が進む。「国家安全上の秘密」によって、アメリカは朽ち果てることになるのだろう。秘密という点で、日本はアメリカよりも状況は悪いかもしれない。官僚が情報を握り、主権者であるはずの国民は何も知らされていない。政権が交代しても情報開示は進まなかった。やはり、日本も秘密によって朽ち果てそうだ。
 
 
  この記事は 288780 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_289547

 この記事に対する返信とトラックバック
289604 国家の主権とはどこにあるか 匿名希望 14/04/24 PM09

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp