次代の活力源は?
279861 高齢者の役割  〜文化・知識・技術の伝承者および子育て〜
 
岸良造 ( 60 技術者 ) 13/08/07 PM05 【印刷用へ
高齢者の存在は、人類史上進化の大転換であった。との記事及び
「高齢者の仕事は子育て」と断言している講演記事がありましたので紹介します。
観念を獲得した人類は、本能(生殖能力がなくなれば即、死)さえ封印して、高齢者の役割(期待応望の関係)を創り進化してきたのです。
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>人類文明の進歩では火の利用や文字の発明,農耕の開始などが大きなエポックとなった。実はもう1つ,現在でもあまり知られていない大きなエポックがあった。祖父母の出現だ。普通の動物は次世代を生み育てれば親世代は死ぬ。かつての人類もそうだったが,進化につれて死亡率が低下,寿命が延び,人類社会の中で祖父母集団が存在感を持つようになった。祖父母は自身の子どもが多くの子をもうけられるようにするとともに,孫の生存率を高め,複雑な社会的つながりを強める。文化的知識の伝承の担い手にもなる。欧州では約3万年前,文化様式が劇的に変化し,高度な武器や芸術が登場するが,その背景には祖父母パワーがあったようだ。

祖父母がもたらした社会の進化 R. カスパーリ(セントラル・ミシガン大学)より
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>公益財団法人「明日の日本を創る協会」の基調講演:『コミュニティに子育て機能の再生を』正高信男(京都大学霊長類研究所教授)からリンク

【ヒト以外の動物に「老人」は存在しない】
 私は、愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所で、サルの研究をしています。サルの研究をしていますと、人間を全然違った視点からみるようになることがあります。人間が人間をみているとごく当たり前に思えることが、サルを研究しているため不思議にみえることがあります。その一つがいわゆる人間の老人、高齢者の存在です。人間以外の動物、もちろんサルにも高齢者はいないといことです。 もちろんサルだって年をとります。死ぬ直前のサルは老人ではないのかとお考えかもしれませんが、それは意味が違う。生物学的に見て、老人はどのように定義されるのか。「繁殖を停止したのに、なおかつ生きている」というのが老人なのです。生物にとって、子孫を残すというのが何よりも大事なことです。だから逆に子孫を残す役目を終えると、その個体は無用の存在なってしまう。例えばサケ。産卵をしたら死ぬでしょう。産卵したあとも生き延びているのは子孫にとっては邪魔な存在なのです。生物はかつかつのところで生きています。そのなかで、子どもをつくり終えた個体が存在しているのは、まさに無用の食い扶持です。邪魔な存在になるわけです。 飼育下のニホンザルは、大体二十五年生きます。それで、いつまで繁殖するかをみてみます。メスをみてみる。つまり、いつ閉経するかということです。大体二十三、四歳で閉経します。そして閉経したら、一年か一年半で死んでしまう。チンパンジーは五〇年ぐらい生きますが、やはり四〇いくつかで閉経し、すぐ死ぬ。同様のことがオスでもいえる。いくらがんばってもそれ以上長生きできません。寿命は基本的には遺伝子によって決められています。死ぬべくして死ぬようになっているわけです。
【高齢者の最大の役割は子育て】
 翻って人間をみてみましょう。人間の場合、いつごろ閉経するかご存知ですよね。でも、その後も生きる。普通に七〇歳から八〇歳の間でしょうか。繁殖停止よりはるかに長い寿命を与えられています。そういう遺伝子をもったものが進化してきたといえます。長生きをした人間がいたほうが回りにとって有利だったということなのです。
 では、高齢者の存在は人類社会のなかで、どのような役割・機能を果たしていたのか? 現在考えられている役割は子育てなのです。このことを調べたのがアメリカの研究者でした。人類が直立歩行したとき、狩猟採集生活をしていただろうということで、アフリカの狩猟採集民のライフスタイルの調査をしたのです。
そのなかで、高齢者の位置づけをみたら、高齢者が生き延びた理由がわかるだろうとの仮定のもと調べたのです。高齢者は何をしているか? 一番大事な仕事は子育てだったのです。
現在、子育てというと子どもを産んだ母親、さらにそれに協力した父親がするのが当然であると考えがちですが、これは人類の数百万年の歴史のなかでは、ほんのごく最近の習慣にすぎないのです。育児は、もちろん授乳は母親がするかもしれませんが、それ以外の大部分は祖父母によって担われていたということなのです。
 これをグランドマザーリング・ハイポシスといいます。日本語でいうと「おばあちゃん仮説」です。つまり子育ておばあちゃん―おじいちゃんも含めた意味ですが―がしていた。
それはなぜか?
 狩猟採集民の生活は過酷です。食糧を調達するために、必死なって働かなければならない。基本的に男は狩猟、女は採集です。採集というと楽そうにお考えかもしれませんが、私のアマゾンでの経験から言うと、女でも、二十キロ、三十キロは歩く。それも木の実など背負って。それをしないと食糧が調達できない。だから、子どもを産んだからといって、子育てに専念しているゆとりはなかったということです。
【高齢者は仕事を剥奪された】
 このことによりいろいろな弊害が出てきている。その一つが、人類の進化のなかで培われた、高齢者が子育てをするという役割を剥奪されたということがあげられます。子育てから解放されたといえば聞こえは良いが、仕事を剥奪されたともとることができます。さらにこれに拍車をかけたのが少子化といえます。結果として、祖父母は社会のなかですることがない。これが一番の大きな問題でしょう。 
(中略)
【子育てができるコミュニティづくりを】
 (略)
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