宇宙・地球
279408 宇宙論新説‐宇宙は膨張していない 
 
岸良造 ( 60 技術者 ) 13/07/18 PM10 【印刷用へ
表題の論文が発表されたので紹介します。
宇宙論の多くは、実験検証できない為、論理整合性が問われる分野です。今後広い観点から色々な宇宙モデルが登場すると思えます。楽しみですね
科学ニュースの森 
リンク宇宙論
「新説‐宇宙は膨張していない?」より
_____________________
背景:
宇宙は謎に満ちている。特にその始まりに関しては、タイムマシンが開発されない限り観測を行うことはできない。現在ではビッグバンによって宇宙が始まったという説が最も受け入れられているが、それは果たして真実なのだろうか。

要約:
宇宙はビッグバンによって始まり今もなお膨張していると考えられている。この説は約100年間、宇宙の基本モデルとして信じられている。しかしこの度、ドイツはルプレヒト・カール大学ハイデルベルクのChristof Wetterich博士によって、宇宙は広がっていないという新たな説が提唱された。
arXiv(アーカイブ)はプレプリントサーバーで公開された論文によると、宇宙は広がっているのではなく、全ての質量が増加しているのだという。Wetterich博士によると、このような解釈によって、宇宙を理解するうえで障害となっているビッグバン時の特異点の問題などを解決することができるという。

この論文はまだピアレビューをされていないが、ネイチャー誌がコンタクトを取った研究者の誰も確実な間違いを指摘できる人はおらず、彼らの幾人かは研究を続けるのに足る説であると述べた。スコットランドはセント・アンドルーズ大学のHongsheng Zhao博士によると、Wetterich博士の説は興味深く、発展させていく価値があるだろうという。

宇宙が膨張しているという説は、他の銀河からもたらされる光の観測によって説明されている。救急車などが横切る時に経験するドップラー効果のように、銀河が遠ざかっている場合には、観測される光の波長は大きくなり赤色の方向へずれる。赤方偏移と呼ばれるこの現象は、1920年代にジョルジュ・ルメートルやエドウィン・ハッブルらによって殆どの銀河に対して観測され、さらに遠い銀河ほど大きく偏移することから、宇宙が膨張しているという説の根拠となっている。

しかしWetterich博士は、原子から放射される光の特徴は、電子など素粒子の質量によっても変化すると指摘している。もし原子の質量が増加すれば、放射される光子はより大きなエネルギーを持つ。大きなエネルギーを持つ光ほど短い波長を持つため光は紫色の方向へとずれ、逆に原子が軽くなっていると、赤方偏移を示すようになる。

光の速度は有限であるため、宇宙からの光は実際にははるか昔に発せられたものである。もし全ての質量が一度低下し、その後継続的に増加しているとしたら、銀河は現在の波長から赤方偏移した状態で観測され、その偏移量は地球からの距離に比例する。このようにして、銀河は実際には等距離を保っているのに、地球から離れて行っているように見えるのだという。

赤方偏移に関するこの新たな解釈は宇宙論を根本から覆すことになる。現在の宇宙論では、ビッグバンを起こす瞬間の宇宙は特異点と呼ばれ、無限の密度を持っていたとされる。その後初期の宇宙は、インフレーションと呼ばれる短時間の指数関数的な膨張を経験し、現在の膨張速度に落ち着いたと考えられている。しかしWetterich博士によると、ビッグバンの発生は無限時間過去にさかのぼり、特異点は発生せず、現在の宇宙は静止しているか、もしくは収縮し始めているだろうという。

この説は尤もらしいものであるかもしれないが、検証することができないという大きな問題が存在する。質量は次元量であるため、基準と比べることのみでしか計測することができない。例えば地球上の物質の質量は、パリ郊外の国際度量衡局に保管された国際キログラム原器との比率で定義されている。もし国際キログラム原器を含む全ての質量が時間とともに増加していたとしたら、それらの変化を知ることは不可能となる。

宇宙論においては実験的検証の困難さが問題となっている。同様に実験的検証が困難な量子論では、数学的に矛盾しない様々な解釈が用いられている。そのためWetterich博士によると、彼の説は様々な宇宙モデルについて検証するのに利用できるだろうという。特にビッグバンの特異点を必要としないことは大きな利点となるという。

Wetterich博士の新たな説が受け入れられるには大きな困難が伴うだろう。しかしカナダはペリメター研究所のNiayesh Afshordi博士によると、宇宙が膨張しているという説は、銀河の赤方偏移を説明する最も合理的な解釈であるに過ぎないため、Wetterich博士の説の利点については納得のいくものであるという。

またスコットランドはエディンバラ大学のArjun Berera博士によると、この新たな説は宇宙論学者が1つの説に捕らわれることを防ぐ意味合いも持つだろうという。近年の宇宙論は、ビッグバンとインフレーションを中心とした標準モデルの上に成り立っている。そのため、現在までの全ての観測結果と矛盾しない新たな解釈の存在は、1つの説に固執しないようにするためにとても重要なものであるという。
 
 
 
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_279408

 この記事に対する返信とトラックバック
296287 “宇宙膨張の証拠”、窮地に 斎藤幸雄 14/10/07 AM01
宇宙は膨張していない!?〜科学的認識はすべて仮説、その神格化が創造の壁〜 「地球と気象・地震を考える」 13/08/15 AM00

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、43年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp