市場は環境を守れない、社会を統合できない
268005 日本のリアル【田んぼには肥料も農薬もいらない】その1 (岩澤信夫と養老猛司対談)
 
岸良造 ( 59 技術者 ) 12/08/25 PM07 【印刷用へ
■日本人が生存を確保するための農業は、るいネットにも在る様に『生態系を維持しながら農業する“不耕起”という手法もアリでは?〜』リンク
が有力と思える。
その様な中
「田んぼには肥料も農薬もいらない」農法を普及させようとした岩澤信夫(1932年―2012年:千葉県成田市生まれの農業技術者)と解剖学者(養老猛司)が重要な問題を論じ合う対談集「日本のリアル:農業、漁業、林業、そして食卓を語り合う」が出版されたので参考になる事項を引用します。
以降「日本のリアル」を引用します。
_________________________________
○田んぼを耕さないコメ栽培
 〜アメリカでは半分以上の耕作地で採用されている〜
養老:不耕起栽培、つまり耕さない農法について知ったのは、アメリカの科学雑誌の日本語版を読んだのがきっかけでした。当時アメリカでは、農業の一割がすでに不耕起になったそうです。耕さなくてすむなら、じゃあ今までの農業は何だったんだ、という・・・
岩澤:今ではアメリカの全耕作地の50%以上が不耕起栽培のようですね。アメリカの農業に大型機械が導入された事で、畑の表土が失われてしまったのですが、耕さなければ土に粘性を与えるグロマリンが働くことが分かって、この農法が広まったそうです。
(中略)
○冬季湛水(タンスイ:水を張る)で無農薬・無肥料を実現
http://book.asahi.com/author/TKY201005190173.html
岩澤:試行錯誤し、たどり着いたのが「不耕起栽培」です。耕さない硬い土に、低温で鍛えた苗を植えると、根を張ろうとイネが「野生化」し、病害虫に強くなる。さらに、収穫後の田んぼに水を張るとイトミミズの活動が継続し、分厚くたまった糞(ふん)は土を肥やし、雑草を抑えてくれる。だから、化学肥料も、農薬も使わない。こうして田んぼは、トンボやタニシ、メダカ、シラサギなど生き物の宝庫となり、安全なコメができたのです。

○なぜ虫は消えたのか 
〜農薬の影響・自然の財産が豊富な日本の環境破壊〜
養老:・・農薬をまく田んぼや畑には虫がいなくなっています。世間の人はあまり気が付いていないけれど、日本では虫が本当に少なくなりました。それは、環境の変化によって虫が発生する土壌そのものが消えたからなんですね。・・・またミツバチも消えましたね
岩澤:それは、ネオニコチノイド系の農薬が原因だと私は見ています。・・・・
ネオニコチノイドは神経毒です。ミツバチにかかってしまうと、ミツバチは神経がおかされて巣に帰れなくなり、どこかで死んでしまします。フランスでは、養蜂業者が裁判をおこし、最高裁がミツバチの大量死の原因はネオニコチノイド系農薬だと断定しています。
養老:そのことは僕も非常にきになっていました。昨年、木曾の山中で虫を採ったのですが、足をひきずっている虫がいました。昔はそういう虫はみませんでした。あれはやはり神経毒の影響でしょう。
 人間が自然に対してやってきたことが、最近になってボディブローのように効いてきたように思います。海の中も相当な影響を受けており、沿岸漁業の衰退につながっています。いい加減にしたらと思いますね。
日本はもともと自然が豊かな国です。たとえば、(最初に不耕起栽培法を採用した)オーストラリアという国はもともと自然に余裕がなく、ちょっとした環境の変化が生物界に大きな影響を与えてしまいます。
この違いは面白いことに、両国の生物学の違いにつながります。日本の生物学界では有名な「棲み分け理論」が生まれた。環境が豊かで幅広いものだから、その中でお互いが損をしないように、どう棲み分けるかということがテーマになる。でもオーストラリアの生物は厳しい条件で暮らしているから、環境は生き物にどのような影響をあたえるか、というテーマになるんです。
日本では幸いそういうことはなく、植物が繁栄し易く、田んぼもつくりやすい。ところが、ここ50年で、その様な環境を積極的に壊してきたわけです。
(つづく)
 
 
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