思考革命:問題意識発から可能性発へ
267661 8/12なんでや劇場1 農と塾における業態革命〜農の経営は、販路の開拓、農家の組織化、技術開発の3点セットの構造が基本
 
吉田達乃鯉 ( 32 会社員 ) 12/08/16 AM07 【印刷用へ
◆農業経営者の視点(農業経営をする視点)を5つの事例から実現方針にむかってポイントを絞り込む。

『わらび座』:最大の特色は、観客組織力、会員組織力といった消費者の組織化にある。核引力は演劇。演劇を集客源として強固な会員組織をつくり、地元に客を呼び込んで様々なイベントを開催している。

『モクモク手作りファーム』:わらび座と同様、消費者の組織化に特色がある。核引力は主にソーセージづくりなど、豚の加工。豚の加工を集客源として会員組織をつくり、自然体験など、様々な体験事業を開催している。

『和郷園』:販売経路を農協ではなく、直接スーパーや飲食店など、新しい販路の構築をしているのが特色。販路開拓の武器は商品力・技術力にある。注目点は、商品・技術における差別化ができなければ、群を抜いて販路を構築するには至らないという点。

『マイファーム』:貸し農園方式。ただし、巨大な資本にモノを言わせて農地を取得し貸し農園をしているのではなく、資本力が無いので農地そのものを借り賃貸料を払って、その差額で収益を得ている。この事業の注目点は、週末農業など都市における貸し農園需要が増えてきた点、かつ農家にとっては都市住人に貸す方がつくるよりも利益が出る構造にある点。

『グリーンファーム』:この10年、年々増えてきている産直・直売方式の代表格。農協に代わる販路開拓の究極の姿。生産者が消費者と直接結びつこうとするやり方を実現している。ここでの注目点は、販売経路の確保として究極な姿であることが1点と、もう1つ経営上の視点として大きいのは、かなりの規模で直売所の出店が増加し、かつそのほとんどの直売所でほぼ黒字経営を達成できている点。

これら全体を受けて、結局、現代あるいは近未来にかけての農業経営のポイントは何なのか、について狙いを絞り込んでいくと、農家にしても、消費者にしても、組織化そのものが重要だとわかる。
その場合、消費者の組織化と農家の組織化のどちらがより重要かが焦点となる。もちろん、どちらも重要であることは当然であるが、逆にいえば、誰もが考える当たり前の認識にとどまっていては、絶対に勝てないことを意識する必要がある。

そこで、さらにどちらが中心ポイントなのかを見抜いていく。その点では、なんでや劇場でも経済危機の問題や分析を過去10回くらい扱ってきている。そこでは経済原論等々にも遡ってきた。つまり、『需要=供給』という等式においてどちらが重要かは既に扱っている。要するに、供給が重要であるというのが答えである。

つまり、何をするにしても、農については、供給源である農家をどう組織化するか、農家の組織化をどう実現するかが一番の核となっている。このことを踏まえた上で、改めて消費者をどう組織化するかという手順で考えていくことが不可欠となる。

要するに、
まずは販路の開拓、言い換えれば消費者の組織化。
それを実現するためには、農家をどう組織化するかにかかっている。
そして最後に、消費者や農家をうまく組織するためにも、結局は差別化商品、技術開発が不可欠になってくる。
以上から、販路の開拓、農家の組織化、技術開発の3点セットの構造が基本となっている。

ここまでが、ある1面からのまとめであるが、先程の5つの事例から、もう1つ重要な視点がある。
その前に、貸し農園における『つくるより貸す方が利益が出るのはなぜか?』について整理しておく。


◆つくるより貸す方が利益が出るのはなぜか?(貸し農園における採算がとれる理由)

週末農業をやりたいといった需要は、おそらく、自給志向から来ている。そこでの、頭の中にある究極のイメージは、いざとなったら自分で耕して食べていくといった意識と連動している。従って、自給志向は年々益々強くなっていくだろう。これを従来の市場概念で捉え直してみれば、幻想期待そのものである。実際、農地を借りたもののお金だけ払って何も耕していません、といった者も半分位いる。そうであっても、貸している側からすれば、しっかりと安定的に収入が確保できている。

このような人たちの登場は、幻想期待と言えば幻想期待だが、非常に新しい意識潮流発の幻想期待である。つまり、ここまで先行きが見えない状況だからこそ、生まれてくる新しい期待だと云える。現在、このような幻想期待が色んな所に一杯湧き出ている。ただし、期待があるから勝手に需要が生まれるわけではなく、誰かがそれをキャッチして商品という形にして供給するかで、顕在化の度合が決まってくる。

以上から端的に言えば、貸し農園方式が、幻想期待に応える商品だったから利益を出せているということである。

(8/12なんでや劇場2に続く)
 
 
 
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