実現論を塗り重ねてゆく
257007 9/18なんでや劇場5 自我が全ての中心という西洋人の意識が原点となって近代市場が形成された
 
冨田彰男 ( 48 経営管理 ) 11/09/23 AM00 【印刷用へ
それにしても、ヨーロッパでだけ近代市場が拡大したのはなぜか?
それは近代思想があったからなのか? なくても近代市場は拡大したのか?

ヨーロッパで市場が拡大した直接の契機は、100年以上に亘る十字軍遠征である。この遠征は金貸したちが法王をそそのかして始めたものだが、略奪した財が原資となってヨーロッパ市場が拡大した。と同時に、略奪集団である騎士団が略奪財を元に新しい金貸し勢力と化すという形でヨーロッパ市場は拡大していった。一方、モンゴルは、交易集団発の遊牧部族であり、ユーラシア大陸全体に遠征し巨大帝国を形成しながら、金貸し勢力は登場しなかった。

ヨーロッパとモンゴルのこの違いは、恋愛観念の有無によるものである。
モンゴルでは恋愛観念は存在しないが、ルネサンスでは都市部を中心に恋愛観念が蔓延り、それを土台にして近代市場が拡大していった。それは何故か?

ヨーロッパ国家の原点であるギリシアでは寄せ集めの略奪集団が国家を形成した。
人類集団は500万年もの間、共認原理、つまり規範共認で統合されてきたが、略奪闘争によって共同体・規範を失った西洋人は何を共認して生きてきたのか?利益第一共認はもちろんだが、その目的共認だけでは集団は統合できない。何らかの規範や制度が必要になるが、それら全てを頭の中で人工的な架空観念という形でゼロから捻り出すしかない。

例えば、利益の山分けを求めて、逃亡奴隷や滅亡部族の生き残りが集まる。彼らを統合するには「(略奪してきた女を含む)戦利品は平等に分配する」という約束事=契約が不可欠である。その平等分配契約が西洋の一夫一婦制や平等観念の原点であり、ギリシアの民主制もギャング集団の掟と全く同じである。

それに対して、モンゴルでは部族共同体が残存しており、婚姻制度も一夫多妻で、近代市場拡大の土台である自由な性市場がモンゴルでは成立しない。だからモンゴルでは古代市場のままだったのである。

つまり、共同体を喪失したヨーロッパにおいてのみ自由な性市場が成立したことが、ヨーロッパにおいてのみ近代市場が拡大した理由である。突き詰めれば、共同体を喪失した西洋人が自我の塊となったからということであり、それこそがヨーロッパで近代市場が拡大した根本的な原因である。

原点はギリシアの略奪集団の自我→(分け前の平等分配としての)一夫一婦制→ルネサンス期の不倫の性市場→商品市場の拡大という構造である。
ここでは自我の強さという意識の在り様が、市場の拡大を規定している。
つまり、市場拡大以前に「自我が全ての中心」という意識があり→性市場→恋愛幻想(観念)→民主主義や自然主義→市場拡大に拍車という構造である。

西洋人の潜在思念の中心が自我であり、その意識の在り様とそれを正当化する観念が、市場拡大という現実を作り出したのである(西洋人においては自我が意識の中心であることは当然の事として自覚されている。だからこそ西洋人は、自我ではなく共認原理で動く日本人が理解できないのである)。

東洋人は共同体という根っ子を残しているが、西洋人は略奪闘争→皆殺しによって共同体を喪失し、利益目的のために集まった略奪集団が原点である。この違いが世界史を見る上で一番重要な点である。

つまり、共同体質か自我体質かの違いである。
西洋においては、自我体質という意識の在り様を正当化するために恋愛観念や個人主義・民主主義が登場し、それが近代社会を作り上げてきた。
これが「近代社会(=市場社会)は、民主主義や市場主義に代表される近代思想に導かれて発展してきた」ということの中身である。

※ここで使われている「市場主義」という言葉は「市場拡大が全てに優先する」という思想を表したものである。ケインズであれマルクスであれ全ての経済学が市場主義を体言しているが、これが成立したのは近世ヨーロッパの重商主義に遡る。即ち、国家間の武力闘争の勝敗も、どれだけお金を儲けたかによって決まるというもので、これによって、それまでは市場の住人ではなかった王侯貴族も商業に乗り出すようになり、市場拡大を絶対とする市場主義が世界中に蔓延してゆくことになった。
 
 
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