実現論を塗り重ねてゆく
254977 属国意識の形成過程(1)
 
田野健 HP ( 50 設計業 ) 11/08/01 AM00 【印刷用へ
この間、朝鮮・日本の属国意識を歴史グループで追求している。
これは、現在の日本の状況を読み解く上で重要な支配者の意識構造と捉えている。原発の大事故、さらにそれを受けて誰が考えても脱原発なのに未だに決断をモラトリアムする政府、東電。さらにその上に乗っかり好き勝手な事を発しながら未だにその地位を追われない無能なトップ。それを見て引き摺り下ろす事のできない大衆。これら全て日本の支配者の属国意識と大衆のお上観念という見方で見れば整合し、その根深さに改めて驚く。

この属国意識の形成過程を一旦仮説で組み立ててみた。
属国意識は朝鮮、日本の政治意識として顕著であるが、実はこの意識は中国という大国が中心にあり、その周辺を小国が取り巻くという東アジアの特有の枠組みによって派生した。そしてその意識は中心である中国で最初に形成され、それが周辺国に転写したという見方ができる。

そのきっかけは実質上の中国最初の統一国家、漢以降に行なわれた朝貢という国家関係にある。朝貢関係とは中国側から見れば圧倒的な国家の力関係を利用して周辺国との序列関係を確定する事であり、周辺国から見れば中国と朝貢関係を結ぶ事で侵略の危機を脱することができる。序列関係上の下を認め、言う事を聞く代わりに大国の庇護を受けるという関係になる。具体的には中国と高句麗、新羅、百済がそれに相当し、また日本も大和朝廷は大陸と朝貢関係を結んでいた。さらに高句麗や新羅が建国される前からも朝貢関係は中国国内で王朝と周辺諸侯が納める小国との間で結ばれていた。

遡れば朝貢関係という形になる以前から中国では王朝交代の度にそれまでの配下の諸侯が下克上で成り上がり王朝を転覆させるという事が常態であった。夏王朝を転覆させた殷、殷を追い込んだ周、周を追い回し、大国を築いた秦、いずれも上下関係を逆転させて王朝が形成されている。一旦は王に仕える筆頭諸侯がある時に反旗を翻し征服する。朝貢制度とはそれらの歴史を繰り返してきた中国が作り出した安定政策の一環なのである。
しかし、この朝貢関係を結ぶ相手国もしたたかで、この関係を利用しつつも隙あらば逆転を狙うという意識が同時に形成される。

この力学を最大限利用して唐に継ぐ大国に成り上がったのが新羅である。新羅は元々高句麗の属国として建国する。そして高句麗自身も中国東北の騎馬民族である扶余族が南進して建国された。新羅は建国当初は既に隣国で形成されていた百済や南方の小国任那にも劣る弱小国家であった。しかし、中国から最も離れていたこの国は中国と朝貢関係を結ぶと、挟み撃ちにしながら時に新羅と、時に高句麗と、時に唐と手を結びながら相手の戦力を利用して戦乱を勝ち抜いていく。
そうして朝鮮半島を8世紀には統一し、戦乱で疲弊していた唐までも国内から追い出し、最終的には完全独立を達成する。この「日和見主義」で、「よらば大樹の陰」の新羅が半島を統一した意味は大きい。同じ扶余族出身であるが、百済や高句麗よりはるかに弱いという国家状況が新羅の危機意識を刺激し、それが強力な属国意識に可能性収束し勝つはずのない新羅が勝ち続けた。いわば、属国意識とは弱小国家の軍事戦略そのものであった。

参考:新羅の歴史 188877
   高句麗の歴史189215
 
 
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