実現論を塗り重ねてゆく
244216 遊牧国家の原型2 〜匈奴・鮮卑〜
 
井上宏 ( 40代 建築コンサル ) 11/01/18 AM10 【印刷用へ
東方目を転じ、匈奴・鮮卑の遊牧国家の原型を見てみると、

『遊牧民から見た世界史』 杉山正明著 より要約
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匈奴国家の特徴としてつぎの三点をあげることが出来るだろう。
1)十進法にようる軍事・政治・社会組織につらぬかれていたこと。
2)南面して左・中・右となる三大分割体制をしいていたこと。これは君主を中心におく左右両翼体制といいかえることもできる。
3)領民・分地をもつ二十四人の「万騎」たちによる連合権力体であること。これに、補説で述べる「異姓」の裨小王(※部族長)たちと、かれらがひきいる諸族集団をくわえて、匈奴国家は多元・多種族のハイブリッドな国家であったこと。

ここでもっとも肝心なことは、これらの三点は、こののち中央ユーラシアに興亡するかずかずの遊牧国家に多く認められる共通項となったことである。
十進法体系による牧民の組織化は、テュルク・モンゴル系の遊牧民の国家・社会では、まったくごく当たり前の普遍現象となった。じつは、古代チベット王国でさえそうであった。
それどころか、遊牧民を中核とする権力体が中華地域や西アジアなど農耕・定住生活者が多数を占める地域に進出し、そこに政権や国家を樹立すると、そこでも在地の民衆に対して十進法による類似の組織化が、しばしば行なわれることさえあった。

(中略)
鮮卑は、いくつもの集団に分かれる大勢力であった。漢文文献は、こうした集団のことを「部」と表現した。ただし、なかなか統合できなかった。
(中略)
しかし、檀石槐による草原世界の再編はほんの一瞬のことであった。かれが死ぬと、鮮卑帝国は一瞬にして瓦解した。せっかく統合された鮮卑系の諸集団も、これ以後、それぞれ自らの道を選んだ。漢文に言う「部」ごとに、世襲の王が出現した。

さて、晋帝国がくずれる問題の三世紀後半、鮮卑諸族は、拓跋、宇文、慕容、段、乞伏などの「部」ごとにほぼ一斉に南下しだしていた。
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(引用以上)

ここに見られる、「部」がおそらく一つの部族(血縁集団)ではないだろうか?(但しこの「部」も隷属民を抱えていたりする複合集団)。匈奴の冒頓や鮮卑の檀石槐など、強力なリーダーが現れると、それらの部族集団が一気に統合され、巨大な遊牧帝国が登場するが、リーダーがいなくなり統合できなくなると「部」毎に分裂していく。

※各々の「部」は、テュルク・モンゴル・ツングースなど異なる出自を持ち、その異なった出自集団が、闘争目的で結びついているのが匈奴や鮮卑集団と考えられる。

※北魏・隋・唐の支配集団は、鮮卑拓跋部。
 
 
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