実現論を塗り重ねてゆく
242844 遺伝子学から見た人類拡散の多様性〜崎谷氏の著書より
 
田野健 HP ( 50 設計業 ) 10/12/26 AM00 【印刷用へ
近年、人類史の拡散経路を明らかにする上で崎谷氏のY染色体による分類が注目を浴びている。また、崎谷氏の論説によると日本は世界的にも極めて珍しい多様な人種が集まっており、日本人を見ることでアフリカから出て今日まで至る人類の分化の経路が見えてくる言及している。以下、崎谷氏の著書「DNAでたどる日本人10万年の旅」の中から、いくつかの投稿に分けて紹介していきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■出アフリカ三大グループが共存する日本列島の多様性の高さ

DNA多型分析を人類学に応用する事は、まずミトコンドリアDNA研究者の手で始められた。しかし、その後、長期にわかるタイムスパンの追跡にはY染色体分析が適している事がわかり、10年ほど前から多くの研究者が急速な進歩を示して、今では世界的な人類の移動の歴史がほぼ再現できるところにまでなった。
なお、ミトコンドリアDNAは母方だけの遺伝様式を、またY染色体は父方からの遺伝様式を追跡する事になるので、これらはちょうど補い合う事になる。しかし、ここでは詳細なことには立ち入る事ができないので、Y染色体によるDNA多型分析を中心に話を進める事にする。
Y染色体は大きく分けてAからRまでの18の系統に分けられる。

大別すると
・A系統(アフリカに固有)
・B系統(アフリカに固有)
・C系統(出アフリカの第一グループ)
・D,E系統(出アフリカの第二グループ)
・F〜Rまでの系統(出アフリカの第三グループ)
の5つのグループに分かれる。

現生人類の発祥の地アフリカに留まったA,B系統を除くと、アフリカから出ていったグループは3つの系統、つまりC系統、D系統、E〜R系統に分かれる。この出アフリカ三大グループの末裔が全世界に広がっていった結果、現在の全世界的なヒト集団の分布に繋がっている。
Y染色体亜型の分布は世界各地で大きな地域的差異を生んでいる。たとえばパプアニューギニアには地域特性としてM系統やC系統が見られる。またアメリカ大陸の先住民にはQ系統が広く分布し、C系統と合わて地域特異的な亜型分布を示している。アメリカ大陸へ移住したQ系統とC系統はシベリアを経て移動したことが推定されており、シベリアには特にC系統(いわゆるアルタイ系言語集団)の高い集積がみられる。なお、シベリア北部から北ヨーロッパにかけてN系統(ウラル系言語集団)の特異的分布が見られる。ヨーロッパではR系統が高い頻度で見られ、ヨーロッパ系言語が流入する以前の先住系ヒト集団を示すようである。なお、地中海世界の南ヨーロッパ、北アフリカ、中東にはE系統の集積が見られる。
このE系統と近縁のD系統が世界的にも稀な例として日本列島とチベットに今でも高い率でみられる。

 日本列島におけるY染色体亜型分布の特徴は高いD系統の分布だけに限らず、この出アフリカの3系統のいずれにも由来するグループ、つまりC系統、D系統、およびN系統、O系統が今でも共存していることが全世界的に見て非常に珍しい状況を生んでいる。ヨーロッパは非常にDNA多様性が高い地域ではあるが、出アフリカの二系統しかみられない。パプアニューギニア、アメリカ先住民、シベリア、インド、中国その他ほとんどの地域が出アフリカの二系統までしか見出せないのに対して、ここ日本列島では出アフリカの三系統の末裔が今でも認められる。これは歴史上の不思議である。
 なぜ、日本列島には遠く隔たったヒト集団が歴史的に消滅せずに今でも存続してきたのか、あるいは存続することができたのかは、非常に興味をひく現象である。それがどのような意味をもつのか、それを考えるのが本書の課題である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
著者が指摘しているD系統は世界的には極めて少数の頻度でしか出現せず、チベット、日本にしか見られないという特徴を示しており、このD系統が縄文時代に日本に渡来している。D系統の経路は出アフリカをした後、13000年前(新石器時代への移行期)にE系統から分岐しユーラシア大陸南方を東に移動してインドー東南アジアー中国南部を経由してモンゴル高原で西と東に分かれる。モンゴルにもD系統が発見されているが、多くはD1,D3がチベットに、D2が日本列島に見られる。大陸から日本への渡来経路は中国華北から朝鮮半島を経由して北九州に入ったと推定されている。
 
 
  この記事は 242800 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_242844

 この記事に対する返信とトラックバック
日本人の起源を探る 5 〜遺伝子学から見た人類拡散の多様性〜崎谷氏の著書より〜 「共同体社会と人類婚姻史」 11/04/06 PM02
243333 北方モンゴロイドが南方モンゴロイドと融合して築いた中国文明・インダス文明 匿名希望 11/01/03 AM00
遺伝子学から見た、人類拡散の多様性 「共同体社会と人類婚姻史」 11/01/02 AM00
242846 日本列島ではなぜ多様な人種が存続したのか 田野健 10/12/26 AM01

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp