市場は環境を守れない、社会を統合できない
233131 イスラム金融のメカニズム〜金が金を生むことを禁じたイスラム
 
ET 10/06/13 AM01 【印刷用へ
>イスラームの市場は、西欧型(自我発)の市場と異なり、集団・国家によって制御され、全体の発展のために考えられたものだったと推測できる。(231856

アラブにとっては、元々古くから市場が盛んであった(=主要な生産手段)ゆえに、市場によってアラブ社会を活性化する方法を探り、同時にまた市場のもつ欠陥(自我肥大〜集団破壊)をいかに制御するかを追及した挙句のイスラム経済システムであった。

広瀬隆の著書「世界石油戦争」(アラブの理解のために)リンクより紹介します。
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●イスラム金融の最大の特徴は、コーランで金貸しにおける利息を禁止し
 ているところにある。
 コーランが禁止する利息をリバーといい、リバーは高利貸しだけでな
 く、普通の利息も対象になる。
 利息がなくて銀行が成り立つのか、と驚く必要はない。
 21世紀に入った日本では、ここ数年以上にわたって、実質的に銀行と
 郵便局の預貯金を利息なしで金融を成り立たせている。
 したがって宗教を切り離して無利子の制度を見れば、イスラム法は日本
 の産業界と経済学が学ぶべき商業ルールである。

●ムハンマドの目的は、アラブ人社会の活性化にあった。
 活性化するためには、金という交換手段を有効に流通させればよい。
 それには、誰もが後生大事にかかえている金を社会に吐き出させなけれ
 ばならない。
 そこでこの聡明な人物は考えた。
 人間は必ず知恵を使い、よい道具を生み出していくので、いかなる不況
 があろうと、闇夜の後には必ずまばゆい光が差し込む朝が訪れ、全体的
 には物価が上昇していくインフレの原則の中に生きている。
 インフレ社会で金を溜め込むなら、金の価値はみるみる目減りして損害
 を受ける。
 それでも人間が金を溜め込むのは、利息があるからだ。
 利子なしの金をかかえていれば損をするので、誰もが金を投資する状態
 に追い込まれる。かくして社会が活性化される、と。
 しかし、悪事への投資は、社会に害毒をまき散らすので、善良な行為に
 のみ投資を誘導しなければならない。

●ムハンマドが打ち出したイスラムの掟は、
 まず第一に、実際の取引額を超える支払を「予め決める」ことを禁じ
 た。したがって貸手は、いかなる利息も課すことができない。
 第二に、貸手は、金貸しによって生まれる事業から生じる「利益と損
 失」をいづれも分担しなければならない、とした。
 イスラム世界における貸手は、西欧で債権者と呼ばれる上位の存在でな
 く、利益とリスクを分け合う事業パートナー、つまり利権者であって同
 時に債権者とみなされる。

 日本の商業銀行では、約束された利息に基づいて借り手が金利を返済し
 なけばならず、すべての負担は借り手にかかってくるが、イスラム金融
 では、預金者と銀行借手が、金融ビジネスに関して公平にリスクと見返
 りを分け合う仲間となる。
 ただし、このようなルールが成り立つためには、「社会全体が利益をあ
 げる事業」に投資を促す必要がある。
 そこでコーランは命ずる。
 金によって金を作ることをイスラムは禁ずる、と。
「働かざる者、食うべからず」なのだ。
 ユダヤ金融と現在のウォール街の投機世界の対極に立つ思想である。

●ここ20年ほど世界を混乱に導いてきたのは、金によって作られる金
 が、汗水たらして働く人の収入の何百倍にも達していることにあり、こ
 れが正直者を不利な状況に追い立てる元凶である。
 本来は、農業・漁業と工業の生産者が大きな資金を得なければならない
 が、いまや産業は金融の後塵を拝している。
 911テロで破壊されたニューヨークの貿易センタービルが、憎悪と破
 壊の目標にされた原因は、ここにあった。

●コーランが金によって金を作ることを禁じたのは、交換手段にすぎない
 金には価値を認めず、重要なことは、生産的な行為において危険を恐れ
 ず人間が示す行動力と勇気に価値があるとみなすからだ。
 ムハンマドはここから一歩考えを進めて、金を無駄に抱えていることは
 好ましくない、有効に投資せよと人々に奨励した。
 では、いかなるルールのもとで金を社会に有効に役立てるべきか。
 そこで彼は、将来不確かな投機行為を禁じた。
 私利私欲のため相場を動かすおそれがある現代のインサイダー取引や先
 物取引は、イスラムで厳禁である。
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金が金を生む市場が、労働を阻害し、社会を混乱に落としいれる事をすでに1300年前に十分に理解したうえで、皆が豊かになる新たな市場原理をつくり上げたとは、あらためて驚くばかりである。
 
 
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