日本人の起源(縄文・弥生・大和)
23278 環状集落(1):血縁による区分
 
三ヶ本万州夫 ( 壮年 講師 ) 02/02/07 PM02 【印刷用へ
東日本と西日本の縄文期における人口密度の差は13対1、中期には23対1以上と言われ、「東高西低」は20世紀初頭から知られていた事実です。これを反映して、東西で社会構造も大きく異なっていたはずですが、特に顕著なのが、関東・中部・東北の遺跡高密度地帯に分布する「環状集落」です。三内丸山とは異なるとはいえ、大規模な集団統合の一つの象徴的存在ですので、しばらくは環状集落の盛衰に絞って見ていきます。少し本流からはずれるかもしれませんが、接点もいくつか見えてくると思いますのでご容赦下さい。

言うまでもなく、環状集落の中央には広場があり、周囲に住居が配置されています。最小で、直径70メートル程度、最大で150メートル以上に及びますが、中央広場には集団墓地が営まれるのが大きな特徴です。同心円状に所定の範囲内に、建物・施設を配置する構造は「重帯構造」と呼ばれ、当然新旧の遺構が重複します。有名な群馬県三原田遺跡では、中期後半の数百年にわたり、300軒以上の住居跡が重複しながら、直径130メートルの円を描いており、集落は外周から徐々に内側へ向って形成されていて、長期的な計画性をうかがわせます。

次に、住居群や墓群が大きく二分されていることもよく知られています。これを「分節構造」と呼びますが、墓域の区分は特に厳格で、埋葬場所は長期にわたって踏襲されていることから、分節は血筋・系譜の区別に基づくものだという可能性が高くなります。大群のなかにさらに小群が枝分かれすることもあり、八王子の多摩ニュータウン107遺跡(中期)はこの典型例で、何百年にわたり、直径32メートルの円内に整然と200基もの墓群が2×2の分節をなして営まれています。ここから、構成員の血縁的区分の厳格さ、血縁集団への帰属性の高さがうかがえます。さらに、各小群内の墓の数には差があり、他の二大群構造の遺跡においても、墓の数に不均衡があることが多いのです。これも、ランダムに墓を作った結果、と見るより、各血縁集団の成員数に違いがあるのが自然で、そこからの必然的結果と見るほうが妥当でしょう。

何世代にもまたがり、文化を受け継ぎ、祖先を祭祀する血縁集団としては氏族・系族と言われる「単系出自集団」が知られています。父系または母系のどちらかの血統により、系譜と成員の資格が受け継がれる集団です。G・C・マードックは数代から10代ぐらいの、実際の系譜が記憶されている単系出自集団を「リネージ」と呼んでいます。死者も含めてリネージの成員とみなしている社会も少なくないそうで、「リネージは生きた成員と死んだ成員との一つの共同体」と言われる所以です。

大林太良氏は、集落中央に墓地を持つ民族例が、単系出自社会には時々見られると述べていますが、縄文の環状集落も、単系出自集団を中心とする親族組織の高度な発達を背景としているという考え方が成立しそうです。
 
 
 
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