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231342 ギリシャの財政危機は第2のリーマンショックとなるか?@〜死のスパイラルから第2のリーマンショックへ
 
猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/05/08 PM02 【印刷用へ
『この夏に何かあるのか?6』(ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ)リンクより転載します。
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 〜前略〜

●これまでの経緯

ギリシャ政府は5月19日に10年もの国債の償還期限を向かえることになっており、もしこれが償還できないとその時点でデフォルトする状況に追い込まれる。償還に必要な総額は1113億ドルにも上り、ギリシャ政府のいまの財政状態では支払える額ではない。このためギリシャ政府は、EUとIMFに緊急支援を求めた。

EU諸国とIMFはこの求めに応じ、1465億ドルという市場の予想を上回る資金援助をすることを決定した。これと引き換えにギリシャ政府は、2014年までに財政赤字幅をGDPの3%以内に押さえ、財政を健全化するために超緊縮財政の実施を受け入れた。これは、1)消費税の大幅引き上げ、2)石油、アルコール、タバコ税引き上げ、3)電力使用税引き上げ、4)公務員給与大幅引き下げなどを含む大規模な支出削減案である。

●市場の反応

EUとIMFが緊急支援案を発表した当初、市場はギリシャの財政危機が峠を越えたと楽観的に判断し、ユーロは上昇した。しかし5月3日以降、アテネで緊縮財政の実施に反発する数万人の大規模な抗議集会が発生し、3名の死亡が伝えられると、ギリシャでは緊縮財政の実施が難しくなると市場は判断し、その結果、ユーロは大きく下落した。

金融危機以前、ギリシャなどのPIIGS諸国の国債はかっこうの投資対象として見られていた。こうした諸国の国債は多くの欧米の金融機関が保有している。このため、金融機関の株が大幅に売られ、ユーロとともにニューヨークダウも一日としては史上最大の1000ポイント近い下げ幅を記録した。むろん、下落には誤って出された売り注文が一つの原因になっていたことは間違いないが、ギリシャの財政破綻懸念による金融株の売りが下落の背景になっていたことは間違いない。

このように、日々の動きに合わせて市場が大きく乱高下するという極めて不安定な状態が続いている。

●国債の格下げと死のスパイラル

しかし、すでにさんざん報道されているので周知のことだろうが、今回のEU発の金融不安はギリシャの財政破綻が回避されればすべて解決するという単純な問題ではない。

5月19日にギリシャは国債の償還期限を向かえる。この償還は、EU諸国が提供する1465億ドルの緊急支援融資で行われるため、ギリシャの財政破綻は当面は回避されたと見ることができる。

一方、ギリシャと同じような破綻状態に直面している国はポルトガル、スペインなど複数存在する。ギリシャ同様、これまでこれらの国々の財政は国債発行による資金調達によって維持されてきた。だが、金融危機以降、こうしたPIIGS諸国の借金体質と返済能力に疑念をもった格付け会社によって国債の格下げが数度行われたため、債券市場での国債価格の下落から資金調達のコストが上昇し、資金調達が難しくなった。この結果、PIIGS諸国の財政はいっそう悪化し、それがまた原因となって国債の格付けが下落するという死のスパイラルに入りつつある。そしてこれらの国々も国債の償還期限が近づくと、ギリシャと同じようにデフォルトの危機に陥ることになる。

●唯一の危機回避策

むろん、EUもこうした死のスパイラルが拡散しないように、ギリシャに対しては市場の予想を越える額の救済資金の融資を早期に決定し、市場の不安感の沈静化をはかった。

だが、市場の疑心暗鬼と不安感は依然として根強く、ユーロ下落、株下落、そしてPIIGS諸国の国債格下げからデフォルトへの死のスパイラルに入る可能性は依然として高いと見られている。

このような事態に陥るのを回避し、市場の不安を払拭する方法は一つしかないだろうといわれている。それは、EU諸国およびECB(ヨーロッパ中央銀行)が「額に一切上限を設けず、必要な資金はすべて供給する」と明確に宣言することだ。以下が今後必要となる救済資金の推定総額だ。

●今後必要となる救済資金総額

スペイン  5750億ドル
ポルトガル 750億ドル
イタリア  9150億ドル
ギリシャ  1900億ドル
全体    1兆5000億ドル

●米国政府の金融危機対応

2008年9月のリーマンショック直後、米政府は短期間に、76兆円という市場の予想をはるかに越える金融支援策を明らかにした。さまざまな批判はあったものの、金融支援策は功を奏し、市場の不安感は次第に払拭され、市場は落ち着きを取り戻した。

要するに、市場の不安感を払拭し、財政破綻のPIIGS諸国への連鎖的な拡大を回避するためには、米国政府が実施したと同じスピードで、市場の予想を上回る額の支援を決定しなければならないということだ。

しかし、EUには中央政府のような組織は存在していない。いまのところEUはヨーロッパ諸国の連合体にしかすぎないのだ。PIIGS諸国の救済案にしても米国よりもはるかに長い協議の時間を必要とすると見られている。それでは、市場の不安感を払拭することは最終的にはできず、財政危機がPIIGS諸国へと拡大することは避けられないのではないかとする見方も強い。

●死のスパイラルから第2のリーマンショックへ

ところで、財政破綻の連鎖がせめてPIGGS諸国に止まり、それ以上に拡大しないならば今回の問題は世界的な金融危機の引き金になるようなことはないだろう。市場の動揺から国債が暴落しPIIGS諸国のいくつかがたとえ破綻したとしても、EU内部の局地的な問題として止まる可能性がある。

しかし、事態はそんなに生易しいものではないことも事実だ。今回のギリシャの財政危機が第2のリーマンショックの引き金となる可能性がすでに出てきている。

前述したように、金融危機が発生するまで、PIIGS諸国の国債は比較的に安定した投資対象として見られていた。そのため、これらの諸国の国債はEU諸国を中心に多くの金融機関によって保有されている。以下が各国別の推定保有額である。

ギリシャ国債保有額(出典;国際決済銀行)
 
フランス  757億ドル 
ドイツ   432億ドル 
イギリス  151億ドル  
オランダ  119億ドル  
他の諸国  794億ドル 
他の国々  290億ドル 
全体    2360億ドル 

ポルトガル国債保有額

フランス 474億ドル
ドイツ  449億ドル
EU全体 2405億ドル
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続く
 
 
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