国家の支配構造と私権原理
227009 神社ネットワークから徴税制度へ
 
小暮 勇午 ( 32 路上人 ) 10/02/23 AM00 【印刷用へ
■神社を利用した徴税制度

>5世紀後半から突如古墳の規模が縮小し始め、ほぼ同時に神社が各地で設立され始める。祖先祭祀の場=集団間統合の場が、古墳から神社へと移行していったのだ。(ヤマトから招かれ日本海地方から大王に就いた継体天皇の時期にあたる。東国地方の豪族のバックアップを受けて即位した継体天皇が、伊勢神宮を設立したとも言われている。) 広範な地域を画一的に統治できる神社ネットワークの広がりにより、国内統合がより安定化していった。

そして、大王家を中心とするヤマト王権は、この神社の祭祀とネットワークを利用し、徴税システムを整備し始める。

古代においては、豪族(の首長)が支配民から生産物(農産物)を徴収していたが、祭祀を主導する豪族の首長は「初穂」という名目で取り立てていた。

その年の最初に獲れた初穂は神に捧げられ、神聖な蔵に貯蔵される。この初穂の貢納が、「新嘗祭」という形で神社祭祀に組み込まれる(これがあって初めて、次の年の五穀豊穣を祈る「祈年祭」が成立する)。各神社の「初穂」は、それぞれの神官によって中央に「捧げられる」。こうして、中央から地方へと広がる租税徴収システムの原型ができあがった。

神道祭祀をつかさどる神祇官は、豊年祈願の祭りのほか、祈年祭や収穫を祝う新嘗祭を行うにあたって、まず全国の神社の神官を中央に集め、神に捧げ物(幣帛:へいはく)をした。その後、この捧げ物(幣帛)を地方の神官に配る。天皇が稲穂などの幣帛を、穀物の実りをつかさどる神に捧げるからこそ、神の加護を得られ、これを種籾として農耕に励むことで、豊作が約束される、というのである。言葉を換えると、捧げ物をしなければ豊作も約束されないわけだ。国家から地方へ広がるこのようなネットワークを通じて、神の霊力を宿した種籾が百姓に配られた。つまり八世紀に完成した神道は、律令制を維持するための宗教という側面を持ち合わせていたのである。

後に豪族の政治・宗教権限がヤマト王権に剥奪されて律令政府が確立されると、初穂は律令政府を代理する国府に納められる田租(でんそ・「租」)へと転換して、後の租庸調制を構成する1つとなった。
 
 
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