経済破局は来るのか?
223994 中国経済はバブルか?A(msnマネーコラム)
 
dou ( 20代 ♂ ) 10/01/11 PM04 【印刷用へ
@(223934)に続き、msnマネーコラム「中国経済はバブルか?バブルへ向かっているのか?」(リンク)より転載です。

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■中国GDP数値の考察
 中国の統計を調べてみると、名目GDPに対する名目輸出の割合は40%に相当し、輸出にかなり依存した経済構造であることが見て取れる。日本も輸出依存型経済であると言われるが、名目GDPに占める輸出の割合はせいぜい15%程度であり、中国に比べるとかなり低い。これからすると、中国は輸出依存度の高さゆえに輸出相手先である先進国の経済の影響をストレートに受ける状況にあると言える。

 2007年までは全世界的に好景気であり、それに追随する形で中国経済も飛躍的な経済成長を成し遂げた。しかし、2008年秋に起こった世界金融恐慌の波は新興国経済にまで影響を及ぼした。中国の2008年半ばまでのGDP成長率(実質年率換算)は四半期ごとに見て9%から10%台(前年同期比、以下同様)で推移していたが、2008年10〜12月期には6%台にまで落ち込んだ。そこで8%台の高成長を維持するために打ち出されたのが2008年11月5日〜9日の国務院常務会議決定による、総投資額4兆元(57兆円)の景気刺激策である。これは2010年末まで行われ、経済成長を年率1%引き上げる効果があるとされている。

 中国はこの4兆元に上る景気刺激策で順調に成長していると言われているが、「実際に2009年に起こったことは、銀行の新規融資が2008年の2.5倍の規模で増加し、そのうちの50%ぐらいが土地や株式等の投機に流れ、そのお金が中国国内をグルグル回りながらバブルを形成していることである」という見方ができる。残りの50%は国営企業の設備投資に回っているとされるが、いまや生産供給の過剰ぶりが顕著になってきており、設備が余剰な中で、さらに設備投資を行っているという「過剰投資の上塗り」の状態にあると言われている。これらのことからすると、景気刺激策の財政支出は経済を振興させる上では効果が薄いということになってしまう。

 中国の諸指標については分かりにくいところがあり、例えば実質GDPと発電量の伸びを見ると、実質GDPの伸びほどには発電量は伸びていない。電力使用の90%が工業用と言われる中で、電力の消費量(=発電量)の伸びがGDP以下の数値であるということは、GDP数値を信用するにはどうにも心許ないということになる。

 また、中国を輸出の側面から見てみると、中国経済は、米国経済が回復もしくは成長する中で伸びていくという「連れ合い」の関係にある。つまり、現下のように米国経済の回復が本格化しない中で、中国の米国向け輸出が伸長するはずはないのである。となると、GDP数値にも何らかの影響を与えても不思議はなさそうである。

 これとは別に、GDP数値の不確実性については、「輸出戻し税」という中国から輸出した製品の付加価値税を還付する制度の存在を指摘する事情筋もいる。「中国の国営企業が還付金を請求する際、より多額の還付金をもらうために、輸出額を増やして申告しているのではないか。そして、その数字を積算して作成されたGDP数値そのものに疑義がある」という説である。このような説まで出て来ると、どこまでが正しい話でどこからが正しくない話か分からなくなり、混乱してしまう。

■中国でバブル形成か
 また、チェイノス氏を始めとする「中国弱気派」は、中国で現在、史上最大のバブルが発生していることを指摘している。

 中国国内で銀行貸出による過剰流動性や公共投資によって溢れだしたお金は、国内で行きどころをなくして彷徨い歩き、結局は中国株や不動産投資に行きつく。こうすることで経済のバブルは着々と醸成されていく。

 実際に上海の分譲建物の販売価格の上昇率は2009年1〜10月の累計で前年比50%近い上昇率になったとも言われ、日本の80年代後半から90年代にかけてのバブルと同じ匂いを感じる方も多いことであろうと思われる。

 今後、中国国内のインフレ加速で個人の預金から中国株や不動産市場にお金が流れると、より一段のバブルを形成することになってしまうのではなかろうか。そしてバブル状態となった経済は長続きするとは考えられない一方で、バブル崩壊後の経済は数年から十年以上の期間に渡ってデフレ状態となり、経済実態を著しく悪化させ、マクロ経済政策の運営を困難にさせる。しかし現時点の中国で起こっていることのどこまでがバブル状態なのかは判然としないところである。

■今後の中国経済の見通し
 中国国内の社会情勢を考察してみると、もし中国が今後高い経済成長率を維持できない場合、貧困な農村部から沿海工業地域へ出稼ぎ目的で出て来た労働者の雇用を確保できなくなり、労働者層は中央政府への不満を高め、社会不安が起きてしまう。このようなリスクを伴う社会構造の中で経済運営を行っている状況なのである。

 社会不安を起こさないためには、高い経済成長率を達成し続けないといけない。その達成のために行った公共投資や新規貸出によってお金は、中国国内の株式市場や不動産市場に集中する形で流れ込み、局所的なバブル経済を生み出しつつある一方で、個人消費等の内需の拡大に直結していない、という状況は皮肉なものだと言わざるを得ない。

 それもこれもすべては、米国の景気に頼った経済運営を行っていることへの歪みがこれまでとは違った形で現れているということではないだろうか。今後、米国経済が順調に回復すれば、米国の個人消費が伸びて中国製品を購入することによって中国経済の伸長も期待できる。

 しかし、仮にもし米国の景気が二番底の状態に陥って回復がままならないとなれば、中国は今後も「売るあてのない製商品の生産」を続けることになり、その場合は再度、財政支出による景気刺激策に頼る形の経済運営を取らざるを得なくなるであろう。その時に中国では「国内の過剰生産+内国バブル」の狭間で経済運営は困難を極めるであろうし、もし経済政策が失敗した場合には、社会不安が大きくなるリスクがあると見られる。
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