日本人と縄文体質
215558 先人は「型」に何を求めたのか
 
太刀川省治 ( 49 建築士 ) 09/09/21 PM10 【印刷用へ
そもそも「型」がなぜ発明されたのか?

 武術操身法・遊武会主宰 石田泰史さんの論によれば、生存圧力と常に対峙してきた古人が本当の意味での自然体の獲得を目指した成果、だということになる。
 (前史時代も含めて)時代や環境によって、働く外圧が自然圧力だったり同類闘争圧力だったりするが、強力な外圧が働いたときにこそ本来の自然体であろうとする欠乏が生じる。まず行ったのは無用な意識や自我を捨てることであり、その結果として感覚を研ぎ澄まして次元の高い自然体を獲得した。その過程を観念機能によって記号化したのが「型」ということである。

 命のやり取りを前提とした武術の世界で強く希求された「型」だが、共認闘争においても有用な認識は「型」に昇華して、社会に浸透していくことになるのだろう。


 再び武術操身法・遊武会さんのHPリンクの中の「教育思想史学会レポート」平成19年2月28日(武術操身法・遊武会主宰 石田泰史)という文章リンクから一部引用です。
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【前略】

 先程「相手をどうするかではなく、自分がどうするか」と述べたが、一連の動作の中で伝えるべきことと伝えざるべきことを記号的に認識させてくれるのが型であり、そこには客観性が主として求められる。しかし実際に働いているのは本人の感性であり勘である。

 元々個人の感性によって術が生まれ、そこに客観性を持ち込んでその感性や感覚といったものを伝承可能な質に置き換えようとしたのが型であると考えると、その意義がはっきりと見えてくるのではないだろうか。型を通じて先人の感性を記号的に取り込み、それに則って自らの感性を技や術として表現するというのが、型稽古の本意であると思えるのだ。

 武術という極限状態を前提とした世界であればこそ、個人の意識から分離して技法を記号化する必要があったのであろう。より無駄を排した効率の良い動きを実現するということは、命を守ることに直結するが、ここに人間の人間らしさが良く現れているように思える。

 野生の動物は本能に基づいて動き、感覚の鋭い者だけが生き残って行く。小さな猫でも本気になれば、その身体能力は人間の敵うところではないだろう。自然の中においては人間本来の身体能力など取るに足らないものである。その代わりに与えられたのが考える力ということだ。

 動物の素早く力強い動きは本能的身体性によるものである。その人間に欠けた身体性を思考によって求めた結果が、型という文化であるという考え方はできないだろうか。本能的身体性とは即ち自然体である。本当の意味での自然体とは必要なことを必要なだけ行うというシンプルなものであるはずだ。そこに意識や自我というものが介在するが故、人間は観念的にしか自然体を求められない。そんな中で、命のやり取りの上になる武術というものに、本来の自然体を獲得したいという切実な思いがあったことは疑う余地もない。

 ただ自我を捨てただけでは、人間としての身体能力に限界が訪れるのはあっという間のことであろう。また勘をどこまで研ぎ澄ましても、そこから得られる身体性は個人のものでしかない。自然から最も遠いところにあると思える文化的思考によって、自然体と同質のものを得ようという意識が、型を生み出したと言えるのではないだろうか。

 無駄を一切なくした身体運用を獲得しようとするのは、野生の身体を取り戻そうとする行為である。人間が人間たる所以である思考を駆使して作り上げたのが型という文化であるが、そこに求められるのは意識や自我を捨てることであり、その結果として自らの感覚を高めて行くことで、更に高い次元の自然体を獲得する手掛りを得るのである。

 意識により能動的に獲得する自然体。これが武術における型の存在を説明する言葉になりはしないだろうか。
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