市場は環境を守れない、社会を統合できない
213658 社会基盤を市場に委ねた結果〜世界で起こっている水道民営化問題の実態〜
 
山田孝治 ( 36 デザイナー ) 09/08/26 PM06 【印刷用へ
80年代以降、日本でも社会基盤の根幹をなす部門の民営化が相次ぎました。鉄道、電信、道路、郵便等・・・

マスコミ等では、民営化は経済を活性化させる良い事であると礼賛していますが、そもそも社会統合の機能を持たない市場に社会基盤の整備をも委ねると言うのはきわめて危険です。
それが私たちの生存基盤に直結する様な内容であれば尚更です。

社会基盤を市場に委ねた結果、様々な問題を引き起こした一つに、「水道」があります。

世界では、水道を民営化している国家も数多くあります。
言うまでもありませんが「水」は私たちの生命活動の根幹部をなす資源です。
しかしこの「水」を民営化し市場に委ねた結果、数多くの問題を生んでいることも事実です。
特に貧困国にあっては、法外な料金設定や企業の都合によって容赦なく水が止められるという現実があります。

以下、「タンタンのわじわじ日記」さんからの引用です。
リンク

■南アフリカ
民営化が実施され、収入の30%を占める水道料金を支払うことができず、数百万人が水道を止められている。

水道を止められ、何千人もの人々が汚染された川や湖から水を得ることを余儀なくされた。
その結果、南アフリカ史上最悪のコレラの大流行であり、
数千人の感染と数百人の「死」であった。

水道料金未払いに対しての対策が水道料金の値上げである。
契約時の4年前に比べて98%〜140%もの値上げが実行された。

■アルゼンチン
1993年、世銀・IMF・アメリカ政府からの強い圧力を受け、
水道を民営化した。
契約内容には上下水道の整備など重要事項は1年後には消えてなくなってしまった。
民営化以前の事業引継ぎ時に26.9%の料金引き下げが行われたが、
民営化直前の大幅な値上げを一部を相殺した戦術に過ぎなかった。
その後、25%値上げ、29%値上げ、後に18%の売上税を導入、
さらに8%料金の値上げを実施した。

■マニラ
1997年、民営化。
債務や資金不足、漏水、盗水などの古くからの問題が民営化を進める理由とされたにもかかわらず放置され、
不十分な水供給を慢性化させている。
2001年には3倍水道料金となり、
さらに2年後に東地区で81%、西地区で36%もの大幅料金引き上げが行われた。

■インドネシア
1998年水道事業に進出した当初、独裁者スハルト大統領の辞任の際、
グローバル水企業のテームズ・スエズ社は
飲み水の浄化に必要な薬品をたった3日分残して逃げて行った。


■コロンビア
1994年、民営化。
が契約違反や透明性の欠如といった嫌疑や問題が次々と浮上し、
現在、世界銀行の機構保全局と、カルタヘおよびボゴタの検事総長が、
さまざまな容疑の捜査にあったている。
最貧困層の支払う水道料金は、過去7年間で422%も上昇した。
再富裕層の料金は、83%しか上がっていない。

以上引用終わり。

上記引用からは割愛しましたが、水道の民営化による問題はなにも途上国に限った話ではなく、アメリカやカナダ等でも起こっています。
しかし、先進国の問題は主に水質やサービスの低下と言った事象なのに対して、貧困国、途上国の場合は貧民層への水供給停止という、それこそ生存基盤を直撃するような事態を招いています。

途上国は、グローバル市場と言う先進国の方針に乗せられて、経済が未成熟なまま国際市場に放り込まれた結果、先進国からの搾取とさらなる貧富の差を生み出しました。
しかりより普遍的な問題は。水や食糧などの生命基盤そのものまでも市場に委ねている、という事実であり、これは先進国、途上国を問わない問題であると思います。
 
 
  この記事は 31251 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_213658

 この記事に対する返信とトラックバック
生存基盤を市場に委ねた結果〜世界で起こっている水道民営化問題の実態〜 「日本を守るのに右も左もない」 18/11/05 PM05
327887 「水道民営化」法で、日本の水が危ない!? 橋口健一 17/07/07 PM10
「水道は全て民営化します」という売国トンデモ発言:麻生副首相 「にほん民族解放戦線^o^」 13/05/01 PM00
245194 エネルギーの外資乗っ取りの解決策は? ぴのこ 11/02/05 AM10
217474 ニュージーランドにおける郵政民営化の失敗と回復 09/10/17 PM10
216736 日本の水が狙われている...。 夢想仙楽Ж 09/10/08 PM01
シリーズ 環境問題の核心=「国家と市場」 を超える可能性を考える? 「地球と気象・地震を考える」 09/10/04 AM07

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp