市場は環境を守れない、社会を統合できない
208703 江戸の環境規制「山川掟」と人口停滞による地方経済の活性化2
 
狒狒 ( 48 ) 09/06/13 AM09 【印刷用へ
次は環境保護→人口抑制→一人当たり生産性UP、と大都市経済・米経済支配の相対低下→地方経済活性化、です。

大日本セキュリティー総合研究所さんリンクより
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「環境規制と人口停滞で豊かになった国の話。」 2

〜1から

では、環境規制が行われた江戸期の日本はどうなったか?答えはご存知でしょうが、江戸時代が始まって60年で「山川掟」で新田開発が規制されても、その後200年も江戸時代は続いたわけです。新田開発ができなければ、ムラが拡大する事もないので、人口が抑制気味になる。(ただ、新田開発自体は、幕府や藩による景気対策的な意味で継続されるが、当初の乱開発から見るとかなりセーブされたものとなった。)で、田畑の量的拡大が望めなくなった農民は、限られた面積で生産量を引き上げるしかない。となると、工夫をするしかない。長時間畑を耕し、いかに収穫量を上げるかに農民が心血を注ぐようになった。

結果、生産性があがった。(今風に言えば、一人当たりGDPが伸びた。)このプロセスが、後の日本人の勤勉さにつながり、「勤勉革命」を起こしたという学者さんもいるそうな。年貢を納める手段である米以外の商品作物(木綿・菜種)も生産し、農村に貨幣経済が流れ込んだ。要するに食料の自家消費以外に金銭的余裕ができ、エンゲル係数が下がった。そうなると娯楽や文化に金が使われるようになる。そういう金銭的余裕に支えられた文化が、ジャポニズムとして世界の芸術に大きな影響を与える事になる。

人口が停滞すると、日本人が勤勉になって、一人当たりGDPが増加し、生活が豊かになり、世界的な文化が花開いた。まぁ。江戸時代はよい事ばかりでは無いのですが、「人口減少社会は悪い・お先真っ暗」と決め付けるのが、公平さを欠く議論という事がわかりますね。
単純に考えて、一人当たりの富を増やしやすい世の中なのです。今まで大人数で使っていた社会資本を少人数で使う事は、ある意味オイシイ話なのです。しかも、日本が世界をリードするロボット技術や世界潮流であるIT化の真髄は、「なるべく少ない人数で最大限の生産性を上げる」事なのです。人口が減っても、一人当たりGDPを増やす手段を日本は持っているのです。
極論すると人口爆発が起きている国家・社会で、ロボット化やIT化を推し進める事は雇用を奪う「反社会的」な行為なのです。少子高齢化・日本ほど、21世紀に適した国は無いのです。

ついでに言うと、18世紀初頭で、世界に冠たる100万都市江戸や大阪・京都あわせて80万人だった関西圏の人口は伸び悩みます。新田開発抑制の余波や疫病・大火等の都市災害で命を落とす人が多いと言う理由もあるのですが、一方、この時代の地方都市(藩のお膝元)の人口は順当に伸び続けました。藩が財政再建の為に地場産業の育成に力を入れだすと、江戸や大阪を飛び越えた藩同士のビジネスが活発になり、中継点としての幕府の政治都市(江戸)・商業都市(大阪)の影響力が相対的に低下したことも要因の一つと考えられているようです。江戸時代の地方分権は、花のお江戸さえも圧倒する勢いがあったなんて、痛快ですね。

江戸時代は、金本位制ならぬ、米本位制経済で、幕府(中央政府)や藩(地方政府)のお侍(公務員)は給料を米の現物支給で貰っていたわけです。ところが、米や農作物の生産性が上がると、お米の価値が下がる。人口が停滞して胃袋が増えないのに、米や農産物の生産高が増えれば、そりゃ、価格が下がる。お侍さん達は、米だけ食って生活するわけには行かない。生活必需品を買うためには、米を貨幣に両替しなければならない。ところが、年々、この両替レートは下がっていく。

「武士は食ねど高楊枝」とか、「徳政令(棄捐令)による武士の借金踏み倒し」の背景には、米の価値低下がある。そんな時代において、中央政府(幕府)以上に、地方政府(藩)は米の価値が下がる貨幣経済の荒波を冷静に分析し、銭を稼げる産業育成に取り組んだ。藩単位は小回りが利いたのでしょうね。産業育成に成功した雄藩、薩摩・長州はやがて幕府を倒すまでになる。うーん。人口停滞は地方まで元気にしていたとは.....。

別に人口減少社会が薔薇色というつもりは無いのです。ただ、努力すれば薔薇色にする事は十分可能なのに、マスコミは悲観一色なのが腹立たしいのです。
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