生命原理・自然の摂理
204134 「中心体原基」と「意識」の連関性A 〜「ペンローズ・ハメロフ・モデル」より〜
 
西谷文宏 ( 32 建築設計 ) 09/04/11 PM08 【印刷用へ
先の投稿で書いた仮説とは「意識は、脳内神経細胞にある微小管によって発生する」と言うもので、仮説の提唱者は量子力学・宇宙物理学の世界では知らない人がいないと言っても過言ではない著名人、ロジャー・ペンローズその人である。(オックスフォード大学の教授で、数学者・物理学者。60年代に同じく宇宙物理学の大家ホーキングと共にブラックホールの特異点定理証明を行い、ブラックホールの存在とビッグバン理論を世間に広めた。詳細はこちらリンク

ペンローズの言う「微小管」とは中心体原基に他ならない。
中心体原基は細胞の分裂装置(原核生物:収縮環FtsZ、真核生物:中心体)として働くだけでなく、細胞骨格から脳内ニューロンまで構築している。
ペンローズはこのうち、脳内ニューロンに存在する微小管に注目し、その構造を追及している。

詳細は非常に複雑なので極めて単純に要約すると、微小管を構成するチューブリンは分子中の電子の位置によってデジタル的変化(開くor閉じる)を取りうるので、それを束ねた微小管は、一つ一つがコンピューターのように機能でき、そのデジタル的変化こそが、ニューロンの発火=意識を呼び起こすとペンローズは考え、これを量子力学によって証明し、数式として提示しようとしている。

その証明はあまりに難解であるが、ペンローズの共同研究者である麻酔学者スチュワート・ハメロフ(アリゾナ大学教授)の麻酔実験は解り易い。
ハメロフは麻酔ガスによって脳の機能の殆どを残しつつ、「意識だけを消失」させることができるのは、麻酔ガスの分子が、チューブリン分子構造の隙間にはまり込み、一つの電子の動きを阻害するのが原因であることを発見した。
これを先ほどの仮説に照らし合わせると、麻酔ガスによって電子の動きが阻害されたことで、チューブリンがデジタル的変化を取れなくなり、結果として意識が消失すると言うことになる。
ハメロフのこの発見がペンローズの量子力学的考察と結びついて、「意識は、脳内神経細胞にある微小管によって発生する」と言う仮説(ペンローズ・ハメロフ・モデル)が生み出された。

このペンローズとハメロフによる仮説には反論も多いが、「意識」と言う非常に曖昧な現象が、分子生物学と量子力学の結びつきから証明できる可能性があること+その仮説がペンローズによって提唱されたこともあって、非常に着目を集めている。

始原生命は中心体原基を核に構築されていったこと、中心体原基は全ての生命・細胞に引き継がれ存在すること。そして外圧への変異適応は中心体原基が主導することから考えて、生命の「意識」が中心体原基によって構築されていたとしても何ら不思議はない。むしろ、両者の間に連関性がないと考えることの方が不自然だろう。そのような考えは、意識は高等生物(高等霊長類)にのみ宿ると考える、人間の視野狭窄の価値観と言える。
ペンローズ・ハメロフの仮説もまだ検証が必要な段階であり、完全に論理整合しているとは言えないが、「中心体原基が生命の意識を決定している」と言う仮説に基づいて追求していくことが、可能性を開いていくのは間違いないと感じる。

またこの仮説を更に展開して考えると、生命は一貫して中心体原基の生体内ネットワーク(細胞骨格→分裂装置→ニューロンネットワーク)を拡大する方向へと進化してきており、このネットワークの拡大を「意識」=「外圧認識と生体内統合機能」の拡大と捉えることもできる。この視点から考えれば、脳の進化、神経回路の進化も新しい視点から考えることが出来そうである。
 
 
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