経済破局は来るのか?
199671 ユニクロ、強さの秘密2 お題目ではない『現場中心主義』
 
根木貴大 ( 34 営業 ) 09/02/14 AM00 【印刷用へ
2.お題目ではない現場中心主義

引続き、【なぜユニクロだけが売れるのか】から引用。
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 お客のニーズを最も把握しているのは現場の店舗だというのは誰でもわかっている。いま何が求められて、何が売れて、何が売れない、なぜ売れているのか、売れないものはなぜなのか、というあらゆる情報は店舗にある。本部にはない。
 だから店舗優先主義を掲げる企業は小売りには以前からあった。しかし、実際にはお題目にすぎなかった。本部が商品、仕入れ、物流、情報のすべてを店舗に向けて一方通行で流す。その逆はない。それが企業としての最もスムーズなチェーン運営の方法だからに他ならない。
 数十店舗程度のローカルチェーンなら経験則で店舗からの情報のくみ取りは可能だが、100店舗を超えて、大手になればなるほど、その運営は複雑になり難しくなる。すべての店舗を一要素として一律にとらえ、判断はすべて本部で行うというのが、効率的なチェーン運営の理論として、大学などでも教えているのだ。
 このトップダウンのシステムで、小売りは消費者が何をほしがっているのかを見失い、的確な対応ができずに低収益に甘んじている。つぶれたところも多い。理論などくそくらえ、というところか。コンビニが隆盛を極めているのは、IT化によってコンビニの店舗で何が売れているかを本部が把握し、売れているものだけを店舗に並べる仕組みを作ったからに他ならない。コンビニは売場が狭いから、売れない商品を並べる余地がないという事情が幸いしたのである。
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 ユニクロの現場優先主義とはどういうものか。
 最大の眼目は現場を知り尽くした店長に強い権限を持たせることにある。商圏の特性や地域の経済環境などによって、店舗の対応はすべて違ってくる。売れる商品や売れる価格、売れる曜日、売れる時間など個別店舗によって違うのだが、ほとんどのチェーンはこれを無視し、本店主導で行なっている。その改善の必要はどこも考えているのだろうが、実際に実現しているところは少ない。
 ユニクロの場合、そうした店舗の特性を知り尽くした店長に任せられる権限は、

 @発注量の調整
  売れるものをどれだけどのタイミングで仕入れるか
 A商品陳列
  最も売れるレイアウトの追求
 B店舗運営
  スタッフ採用などの人事判断、テナント料や広告費などの経費判断
 C販促
  期間限定の値下げを行なうなど、各種キャンペーンの内容と時期の
  判断
 
店舗に関わるほとんどの業務を店長は自ら決定できるのだ。
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・当たり前のことを『徹底』して進める
・お題目ではない『現場中心主義』

この重要性は、ユニクロの経営理念24カ条(柳井イズムと呼ばれる)においても示されています。

第 3条 いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営
第 4条 現実を重視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営
第 7条 唯一、顧客との直接接点が商品と売り場であることを徹底
     認識した、商品・売り場中心の経営
第12条 成功・失敗の情報を具体的に徹底分析し、記憶し、次の実
     行の参考にする経営
第16条 商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭
     い、物事の表面よりも本質を追求する経営
第19条 自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求
     する経営
第20条 自分が自分に対して最大の批判者になり、自分の行動と姿
     勢を改革する自己革新力のある経営
第23条 仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために
     社員、取引先があることを徹底認識した壁のないプロジェ
     クト主義の経営


こうして、ユニクロの強さの秘密に迫っていくなかで、以下の認識が思い出されます。

>重要なのは、次の点である。
置かれた環境を貫く闘争圧力が、(個体を構成する各機能であれ、あるいは集団を構成する各個体であれ)最末端まで貫通した圧力として働いているからこそ、その圧力に適応する最先端機能へと(各機能や各個体が)収束し、全体が統合されるのであって、この圧力がなければ、最先端機能も統合機能として働かない。また、最末端まで貫通した圧力の存在を捨象して、統合機能の真の姿が見える訳もない。(29835

商品の企画〜生産〜販売に至る、事業のあらゆる局面でかかる闘争圧力は、ユニクロという企業集団の最末端まで貫通した圧力として働いているのではないでしょうか。ユニクロは、外圧を捨象できない仕組みを自ら築き上げようとしている、つまりこの認識の有効性に気付き、実践している。そこが一番の強みではないかと思いました。

だからこそ、SPA業態と現場主義の『徹底』も、可能なのであり、結果”不況下での一人勝ち”を成し遂げているのではないでしょうか。
 
 
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