人類の起源と人類の拡散
19909 ヒトはいつから言葉を話し始めたのか(1)
 
田中素 HP ( 36 企画 ) 02/01/04 PM06 【印刷用へ
松尾さん、お久しぶりです。
さて、言語の起源についての究極要因や直接要因を考える前に、人類学の成果からの基礎的な事実を少し押さえてみたいと思います。

ヒトがチンパンジーとの共通祖先から分岐したのは約600〜500万年前と言われていますが、もちろん当初から言語が使えたとは考えられていません。

約400〜300万年前に生息し、すでに二足歩行していたとされるアウストラロピテクス属では、体重が24〜60s、脳容量が約400ccで体に対する脳容量はチンパンジーやゴリラよりやや大きい程度です。左前頭葉にブローカ野(発話を司る言語野)の痕跡が見られず、言語を操ることはできなかったと考えられています。

約250〜150万年前のホモ・ハビリスは、主に右手で道具を扱い、すでに「利き腕」が存在していたことが知られています。脳容量は最大775ccでブローカ野の痕跡も見られ、簡単な言語を操っていたのではないかと推察されています。

しかし、ホモ・ハビリスよりやや新しい190〜130万年前の地層から、9歳の少年にして身長160cm、脳容量880ccを有する骨格が出土したホモ・エルガスターについて、この化石の報告者は彼らが言語を話せなかっただろうと結論付けています(詳しい根拠は分からないのですが)。

さらに下って、しばらくの間、現生人類の直系祖先と目されていた180〜20万年前のホモ・エレクトス(ジャワ原人、北京原人の系統)では、脳容量800ccから後期では1000ccをゆうに超え(現生人類は約1350cc)、言語を使用していたと推察されています。ただし、この種も厳密には現生人類に直結しない共通祖先からの派生種と考えられています。

現生人種ホモ・サピエンスは約20万年前に出現したと考えられていますが、脳の形態や大きさは現代人と変わりありません。私たちは20万年前の脳を今も使っていると言えるようです。
 
 
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