「ロシア人教授、米国の終焉を予測する」というきわめて興味深い記事が昨年末にウォールストリート・ジャーナルに掲載されたため、ここに要約して紹介する。
As if Things Weren't Bad Enough, Russian Professor Predicts End of U.S.
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(要約引用始め)
December 29, 2008. Wall Street Journal.
モスクワ発 ― パナリン(Panarin)教授は1998年より、「2010年にアメリカが内部分裂する」と予測し続けてきたが、これまではごく少数の人々にしか注目されなかった。ここ数週間は日に2度のインタビューを受けるほど、彼の主張に注目が集まっている。彼の主張は、米国の経済的および倫理的破綻が内戦を引き起こし、その結果アメリカは分裂するというものである。
50歳のパナリン教授はかつてKGBアナリストであり、現在は外交官を育成するロシア外務省学士院(Russian Foreign Ministry’s academy for future diplomats)の学部長である。またロシア国内のテレビでは米国問題エキスパートとして登場する人物でもある。
「米国の内部崩壊が起こる確率は45〜55%」と教授は語る。合理的に考えれば(米国の内部分裂は)ロシアにとってベストシナリオではないのであり、ロシアは経済的に米国およびドルに依存しているため、ロシア経済は苦しむことになるだろうと予測している。
パナリン教授の主張は今やロシア国内では広く議論されるトピックとなっており、ロシア外務省の円卓会議でも発表しており、ロシアのトップの国際関係大学はパナリン教授をキーノートスピーカーとして招いている。
ポズナー氏や他のロシア国内のコメンテーターや米国関係のエキスパートたちは、パナリン教授の主張を退けている。「(パナリン教授の主張は)クレイジーな考えであり、まともな人々が議論するものではない」と言うのは政府系のアメリカ・カナダ研究機関のディレクターであるセルゲイ・ロゴフ氏である。ロゴフ氏はパナリン教授の主張は信頼できるものではないと考えている。
米国内の経済、金融および人口統計上の傾向が政治的、社会的な危機を誘発し、事態が悪化した場合は裕福な州は連邦政府からの資産を保留し、事実上連邦政府から脱退する。それと平行して社会不安と内戦が起きるであろう。アメリカ合衆国は人種帯(エスニックライン)に沿って分裂し、外国勢力が介入するであろう、とパナリン教授は予測している。
教授が予測する分裂後の6カ国は以下の通りである。
・ カリフォルニア地域(米国西部)は”カリフォルニア共和国”を形成し、中国の一部もしくは、中国の影響下に置かれる
・ テキサス地域(米国南部)は“テキサス共和国”を形し、メキシコの一部もしくはメキシコの影響下に置かれる
・ ワシントンとニューヨークのある米国東部は“アトランティックアメリカ国”を形成し、ヨーロッパ連合に加盟する
・ 米国北部は“中北部アメリカ共和国”を形成し、カナダの一部もしくはカナダの影響下に置かれる
・ アラスカはロシアに含まれる
・ ハワイは日本もしくは中国の保護領となる
(要約引用終わり)
(以下、私のコメント)
ウォールストリート・ジャーナルは、ニューヨークで発行されている経済中心の国際紙であり、その名の通りニューヨークのウォールストリートという世界金融の中心地で発行されている新聞である。2009/1/2の時点でウォールストリート・ジャーナルのWebサイトのトップ画面右下のMost Popular(最も人気のある記事)の第1位が上記のパナリン教授の「ロシアの教授、米国の終焉を予測(Russian Professor Predicts End of U.S)」となっており、米国の経済関係者からも高い注目を集めている記事となっている。記事には米国内部分裂後の米国の地図も掲載されており、一読の価値がある。
米国最大のニュースネットワークであるCNNの看板番組の一つである「シチュエーション・ルーム」でも上記パナリン教授の予測とインタビューが取り上げており、米国のメインストリームメディアが米国の内部分裂という悲観的な予測を積極的に取り上げ始めているのは極めて興味深い。(ジョークのネタ的な取り上げ方ではなく、真剣に取り上げている)
CNN シチュエーション・ルームでのパナリン教授のインタビュー
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米国のサブプライム・ローン問題から始まった金融危機は、リーマンブラザーズ破綻を経て、政府による銀行の救済から自動車会社(GM)の救済にまで広がり、基軸通貨であるドルおよび米国債の信頼性への疑問も随所で見受けられるようになった。ウォール街のCEOの高額報酬や貧富の格差の拡大に代表される強欲資本主義という一種のモラルハザード(倫理的破綻)が金融危機を招いたのであり、パナリン教授が予測していた「経済的、および倫理的な破綻」という予測が今や現実のものとなった点は興味深い。
上記パナリン教授の米国内部分裂と予測内容とは一致しないが、インド人経済学者のラビ・バトラ氏も2009年よりアメリカで社会革命が勃発するという予測を行っていることを以前紹介した (183092)。
2009年〜2010年は社会的な変革の年、激動の年になりそうであり、21世紀の社会の大きな転換点となる可能性が高い。米国一極の世界秩序から多極化の世界秩序への移行が始まるのかもしれない。上記の米国内部分裂の予測が当たる確率は約50%とパナリン教授は主張しているが、最悪のケースが発生した場合を想定し、米国が内部分裂した場合の我が国への影響と対策を、政治、経済、外交、軍事、安全保障、通貨といったさまざまな観点から事前にシミュレートしておく必要があるのではないだろうか。 |
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