日本人の起源(縄文・弥生・大和)
195476 国家統合と神社の歴史2 伊勢神宮は、なぜ特権的な位置を有し続けたのか?
 
小暮 勇午 ( 31 路上人 ) 08/12/22 AM11 【印刷用へ
■伊勢神宮は、何の為のものか?

古墳に代わる祖先祭祀の場として、神社は広まっていったが、その中でも特異的な位置にあるのが伊勢神宮であった。藤原京時代から平安時代初期にかけて、「都」を守る神社として伊勢神宮は存在していた。

伊勢神宮は、継体天皇の時代に神社として成立したと考えられている。皇統が途絶えた為に、北陸から招かれた継体天皇は元々、東国豪族と結びつきの強い天皇だった。継体王朝が東国勢力と西国勢力との和睦の結果誕生したと言われる(193879)ように、継体王朝の最大の課題は、東国と大和との協力関係を確立することだったと考えられる。伊勢神宮は、その東国勢力と大和王朝との接点として、東国勢力の象徴として建立された。

しかし、舒明天皇から天智天皇までは、伊勢神宮との関係を求めなかった。これは、東国勢力との協力関係を求めずに、中央集権国家を確立しようとしていたことを意味する。
この朝廷の国家作りに反旗を翻したのが、東国勢力が天武天皇と結びついて引き起こした「壬申の乱」であった。『日本書紀』にも記載されているように、伊勢神宮は天武天皇により「再発見」される。

次の持統朝では、伊勢神宮との関係は確立され、システム化されていく。これにより、祭祀の頂点が「伊勢神宮」となった。だからこそ、藤原京は唐の都をモデルに造営されたにも関わらず、都の内部に「宗廟」が存在しないという奇妙な状況を生み出した。
また、持統朝以降、伊勢神宮は「天皇」の地位にあるものだけがお参りできると”わざわざ”定め、天皇以外の参拝を禁止していた期間があった。考えてみれば、これはおかしな話だ。なぜなら、祖先祭祀の場であった神社においては、祀られている祖先と同じ氏族でなければ参拝に意味はない。
だから、天皇以外の参拝を禁止するとは、天皇家の血族であっても参拝することを禁止することを意味する。これは、大王家(天皇家)から、『天皇』という地位を取り出し、まさに特権的に位置づけたことになる。つまり、伊勢神宮は「天皇システム」を確立・維持する為の機関として権威を与えられていたことになる。

つまり天武朝→持統朝以降の伊勢神宮は、天皇システムの維持と、伊勢神宮を頂点とする神社ネットワークによって東国を支配するという二重の意味を与えられていた。
 
 
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