経済破局は来るのか?
188545 大恐慌を救ったRFC(復興金融公社)
 
コスモス 08/10/02 PM00 【印刷用へ
RFC(Reconstruction Finance Corporation:復興金融公社)

ポールソン米財務長官は18日、金融問題の解決に向けてRTCのような不良債権処理機関の設立を複数の議員に示した。RTC構想は、金融機関の抱えている不良債権や価格が付かなくなった証券化商品などの不良資産をRTCが買い取って資産売却などで処理を進め、買い取った額と売却額との差額は公的資金で穴埋めするというスキームになるとみられている。

一方、RTC構想では不十分で、1930年代の大恐慌時代に米国が設立したRFC(復興金融公社)期待論が各所から持ち上がっている(シューマー米上院議員が提唱しており、週間東洋経済等でも指摘されている)。この1930年代の大恐慌を沈静化したといわれるRFCについて調べてみた。

RFCの最大の特徴は、【問題銀行等の優先株を引き受ける形で直接資本を注入】することにあり、RFC(復興金融公庫)はフーバー大統領によって創立された組織であり、ルーズベルト大統領によってその業務が推進された。

1930年代の世界恐慌とRFCの関係を年代を追って見てみます。
<参考:リンク

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【世界大恐慌の背景】

■1920年代は大衆消費時代で中産階級が育ち、クレジット販売が盛んになる。この年代に世界経済の資金循環を支えたのはアメリカの対外証券投資だった。
銀行は中小企業金融や不動産担保貸付や証券担保貸付を拡大。
1928年初頭まで株式投資は企業収益の増加と将来の期待をもとに過熱した。将来の値上がり益をねらう信用買(=ローンで株を買う)が増えた。

■株式市場の加熱を冷ますための金融引締めへ(高金利政策に転換)。結果、国内株式投資が有利となり、1928年後半からアメリカの海外投資は止まり、ヨーロッパからアメリカに資金還流。高金利によってアメリカの住宅建築は急減し、耐久消費財購入も減速した。

■1929年10/24 暗黒の木曜日。ニューヨーク株式市場が大暴落し世界恐慌始まる。10/29 悲劇の火曜日(実際に激しい暴落を演じたのはこの日)。投資家はパニックに陥り、株の損失を埋めるため様々な地域・分野から資金を引き上げ始める。1932年、株価はピークから80%以上下落した。暗黒の木曜日から1933年まで全国で6000の銀行が倒産。

■金融機関の破綻は、実体経済悪化→不良債権増加・株価下落→信用不安→取付等による流動性不足というサイクルでほぼ1年周期に波状的に発生。

【恐慌対策とRFC】

■連邦準備制度('29年〜'31年)
公定歩合を6%から1.5%へ引き下げるとともに、買いオペ等による徹底した金融緩和政策。

■全米信用会社(NCC:'31年10月設立)
健全な銀行が経営が悪化した銀行に対して連銀再割引の対象外債権を割引という業界内の相互扶助組織。フーバー大統領の提唱によって発足した。

■連邦準備法改正('32年2月)
再割適格手形以外の約束手形に対する連銀貸付の許容等によって、銀行に対して流動性を一段と柔軟に供与。

■復興金融公社(RFC:'32年2月設立)
NCC(全米信用会社)の失敗を踏まえ、フーバー大統領の勧告によって創立。発足後直ちに、金融機関の流動性危機回避に向けて、銀行に対して直接かつ大規模な資金供与を実行。

【RFCによる政策経緯と成功の背景】

■当初RFCの流動性供給によっては金融破綻が現実化しなかった。また、'32年末のRFC融資先リスト公表の決定や、金融界の調査体制(ペコラ委員会)が設置されると再び金融システムに対する不安心理が増大した。流動性供与によって表面上経営破綻は回避されてきたものの、不良債権の増大と預金の引き出しによって金融機関の経営基盤が脆弱化したことが主因といわれている。そして'33年3月危機が訪れる。

■ルーズベルト新大統領は、危機後直ちに『緊急銀行救済法』を施行('33年3月)し、金融機関が発行する優先株や社債をRFCが買取り、自己資本の充実を推進した。
この優先株発行制度は、導入当初、@優先株発行制度を利用すると世間に問題銀行と受け止められる可能性があること、A配当・返済負債に耐えられるかどうかが見極められない、という懸念から活用されなかった。

■このことに対して、RFC主導で、@自己資本充実が不要な大手銀行の優先株発行によって、問題銀行と受け止められる懸念を排除し、A返済は既定とせず、利益金の一部として柔軟な枠組みに変更した。
この結果、米国銀行全体の45%に上る6120行が優先株発行制度を活用し、この大胆な施策によって金融危機が収束に向かった。

その後、RFCが行った貸付や購入した優先株・社債は、利益金の一部積立等によって、返済・償還され、最終的に納税者負担は発生しなかったと云われている。
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冒頭に挙げたようにRFCの特徴は、資金繰り難を解消するための資金供給ではなく、直接資本を拡充・増強させる点にあります。なぜ、直接資本を拡充することが効果的であったかを説明した記事を最後に紹介します。
<引用:リンク

>RFCの設立当初の任務は、銀行への流動性供給により資金繰り難を緩和し、取り付けを鎮静化させ、ひいては金融システムの安定回復を図ることであった。しかし、三二年中に十億ドルに近い巨額の資金投入(同年の実質国内総生産=GDP比で約一・五%)を実行したにもかかわらず、金融システムは脆弱(ぜいじゃく)性を強め、ついに三三年初には一段と激しい金融危機の発生をみた。

>三三年初の激烈な金融恐慌を経験した米政府は、対応策の抜本的転換を決意した。ルーズベルト新大統領の下で同年三月に緊急銀行救済法を制定し、銀行発行の優先株をRFCが買い上げることにより銀行の自己資本を拡充するというスキームを打ち出した。RFCは以後七年間に優先株の買い入れにより、約六千行に対して十一・五億ドルの自己資本を供給した。これは当時の銀行の資本金額の約三分の一に相当する規模であった。優先株方式は金融危機克服に抜群の効果を発揮し、米国の金融システムはようやくひん死の状況を脱した。
 
>金融危機への対応策として、当初の資産項目や負債項目への流動性供給策が失敗し、結局、優先株による自己資本拡充策へと至ったのは、大いに注目すべき点である。

>これについて、当時のRFC総裁は議会への報告書の中で、興味深い分析をしている。流動性供給は、それが公的な資金だとしても、銀行にとっては負債の積み増しに過ぎず、財務体質は強化されるどころかむしろ劣化した。その上、早く預金を引き下ろしにきた預金者が優先的に報われるため、預金者の不安は収まらず取り付けは終息しない。一方、優先株方式の自己資本強化策では、銀行の財務体質自体が改善されるため、すべての預金者が平等にその恩恵を受け、彼らの不安も和らげられることになった。
 
 
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