採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
180743 自給できない遊牧民の特異性
 
岡本誠 ( 55 経営管理 ) 08/07/07 AM07 【印刷用へ
世界史の学習参考書(『詳説世界史研究』山川出版社)に、騎馬遊牧民であるスキタイやサルマタイ、匈奴等に関して興味深い記述があった。
「強大な遊牧国家を建設して農耕民にとって脅威となった」と解説した後に以下の記述がある。

>騎馬遊牧民の活動は、彼らの不安定な経済生活にその原因がある。騎馬遊牧民にとっては、衣食を自分たちの力だけで自給するには限界があり、農耕社会の生産物と交易することが必要であった。そのために農耕地帯の人々や商業・交易に従事する人々と物産の交換を求めた。それが平和的におこなわれないときには、武力に訴えた。

“遊牧だけでは衣食を自給できない”という特徴は、初期遊牧民にも共通する特徴と考えられ、自集団で自給するのが当然であったそれまでの人類集団から見て、遊牧民は極めて特異な集団であったといえる。

初期の遊牧は、母集団を拠点に残したまま男たちだけの小集団で行ったので、不足する物資は母集団で賄え、自給体制が崩れることはなかったであろうが、母集団ごと遊牧に転換すると、自給できない人類史上初の特異集団が登場したことになる。

最初は友好的な贈与関係であったであろうが、時には友好関係が築けない場合も発生したであろう。例えば、農耕・牧畜民にとって、かつかつの衣食状態で自給するだけで一杯とか、遊牧民の贈与物が魅力的でないetc。

遊牧民発の贈与関係、つまり遊牧民にとって農耕・牧畜民からの物資の調達は不可欠である以上簡単には引き下がれず、ここに遊牧民が武力に訴える契機が登場したのではないだろうか(=戦争の起源)。
さらに贈与関係が交易へと姿を変えることも十分考えられる(=市場の起源、最初の商人へ)。そこでは如何に商品が魅力的かを幻想化するのは、供給者である商人の腕の見せ所となる。

自給できない遊牧民の登場は、掠奪による国家(統合階級)の形成と市場に依存する都市住民の原型を成したと言えるのではないだろうか。
 
 
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