これからの暮らしはどうなるの?
168311 地方分権化が推進されいる中で独自路線を歩む町
 
八代至誠 ( 47 建築士 ) 08/01/01 PM06 【印刷用へ
先月、財務省と総務省は、地方分権化に向け、各諮問機関審議会を開催し、最終的に、総務省のの増田プラン(総務大臣)として、将来の地方分権、道州制に向けて政府案を報告した。
最近、地方分権改革、道州制に向けての議論が、政府や自治体の間でかなり活発に行なわれており、あと5年から10年の間に、道州制が成立しような勢いである。

ところが、今日の日経新聞によると福島県の矢祭町議会でに次のような条例が25日に可決された。(以下12月29日 産経新聞記事より)
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町議会(定数10)が、議員報酬を現行の月額制から、議会への出席ごとに実費支給する「日当制」に変更する。全国町村議会議長会などによると、議員報酬の日当制は全国初の試み。導入後、同町議会の人件費は現在の約4
分の1に減り、余剰分を少子化対策や子育て支援に充てる。人口6800人の小さな町の試みは全国に広がるだろうか。

同町議会は28日、日当制関連の条例案を賛成多数で可決した。平成20年3月31日以降、月額20万8000円の議員報酬を廃止し、議会に1回出席するごとに3万円を実費支給する。

3万円の積算根拠は、「課長職の平均日給4万4772円(期末手当などを含む)の7割」。毎日8時間勤務の職員に比べ、議員は臨時出勤で1回の勤務時間も短いため7割とした。

本会議や委員会、全員協議会など議会への出席と、成人式や消防団の出初め式など「町の公式行事」への参加も“出勤”扱いとする。年間の出勤は計30日、報酬は年90万円の見込みで、全国の地方議会で最低額となる。

日当制導入と並行して議員への期末手当も廃止し、人件費は現行の年間約3400万円から900万円に減るという。
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矢祭町は、国主導で平成の大合併が進められた中で「合併しない宣言」で話題を呼んだ自治体である。主な取り組みを時系列で追ってみると

矢祭町の主な行政改革(日経新聞記事より)
・2001年…全国で始めて「合併しない宣言」
・2002年…住民基本台帳ネット不参加表明
・2003年…365日窓口業務実施
        税金などの滞納世帯の全職員で支払い依頼をスタート
・2004年…助役などの特別職の給与を総務課長と同額に
        嘱託職員を大幅削減(トイレなどの庁舎清掃は職員が実施)
・2005年…赤ちゃん誕生祝い金(3人目から100万円)
・2006年…自治基本条例施行(団塊世代職員の退職に不補充など)
        赤ちゃん誕生祝い金拡充(4人目150万円、5人目200万円)町長・議長の交際費廃止

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日当制の事ばかりがクローズアップされてきているが、政府が現在行なおうとしていることとと矢祭町が行なおうとしているのは何が違うのか?

地方改革という名の元に、現在、政府や大部分の自治体の首長達が行なっている(実際は、地方にはお金が無いから、お金が廻るような体制やシステムの変革をして欲しいという要求が本音)制度改革は、国家という体制の枠を超えておらず、政治家や学者等の統合階級が捻出した仕組みの中で行なわれているに過ぎない。従って、一般の人達も、傍観者的になり、もう一つ、実現の可能性が見えない。(実際、地方分権化、道州制について関心がある国民はほとんどいないだろう。)

一方、矢祭町は、必要不可欠な行政サービスは、少なくとも自主財源の範囲内に納まっているべきであるということ。だから、みんなが必要と認めるなら、住民も一緒になって支えあうような仕組みを創ってゆく。という理念の元、町長を中心に運営されてきており、今回の条例の可決もその理念の延長上に位置していると言える。

実際、日当制の提案者、菊池清文町議は「本来、議員職は志ある人のボランティア。『給与が保障されないと議員にならない』というのはおかしい。議員は職業ではなく町への奉仕活動、という心意気を植え付けるため、日当制は絶対必要」と強調している。

中央集権→地方分権が「答え」だとして挙げている政府案が実は、私権闘争の止揚・統合体である国家が終焉を迎えている事を示唆する現象事実なのに対し、身の丈にあった、行政を目指ざそうとしている自治体がある。しかも、特権階級のうまみを無くし、公務を半専任化=副業化する事が当たり前と自力で改革を目指そうとしている。

今や国家に期待することに可能性はない以上、現実の圧力源に則った活動が必要であり、これが活力源となるのは自明だろう。実現の可能性は後者ではないだろうか?
 
 
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