古代社会
138406 封泥は交換と第三者介入の証しか?
 
熊谷順治 ( 40 企画 ) 06/11/25 PM01 【印刷用へ
>北シリア・バリフ川上流のテル・サビ・アビヤド遺跡(7500年〜7000年前)では、約300点もの封泥片が発見された。封泥対象物は、バスケット、マット、土器、石製容器、皮袋の5種類で、なかでもバスケットと土器が突出して多い。印影からは、少なくとも67の印章が用いられていることがわかる。印影のデザインは、ヤギのような動物文、ジグザグ文、S字文、Y字文など27種類に分類される。ただ、出土したサビ・アビヤド6層から印章そのものは1点も出土していない。<

上記遺跡の研究者ドゥイステラマートによれば、

>印影のモチーフが容器の内容物や搬出先のアドレスを表すのではなく搬出元のサインであること、容器の内容物は固体で乾燥したものが主体となっていたこと、封泥は取り除かれた後にチェックできるようにカウンティング用の小型土製品とともに一定期間特定の場所で保管されていた、と考察し、封印システムが、集落間の交易ないし共同体レベルの貯蔵の場面で用いられたであろうと結論している。<
(常木晃「文明の原点を探る−第7章 交換、貯蔵と物資管理システム」より)

常木晃(筑波大学教授)は「文明の原点を探る 第7章 交換、貯蔵と物資管理システム」の中で、
>物資の封印は、交易や貯蔵時に、自己の所有権を顕示し、他者の接近を忌避することを意味している。しかしながら、封泥は脆く容易に壊すことが可能であるので、物資お送り手、受けて、保管者、さらにそれを見守る他人といった、社会を構成するさまざまな人々の間で封印システムが認識されていなければ機能しない。従ってこうした封印システムの登場する背景には、特定集団による交易・貯蔵の専有化とそれを維持する権威の存在を射程に入れなければならないだろう。<と推定している。

石田恵子氏(古代オリエント博物館)は「印章の世界」の中で、「最初は、村の倉庫、神殿、役所などで、集められた共有財産や、税、奉納品などの管理をするために、印章による封印が行なわれたと考えられています」と解説している。

***

多数の封泥が出土するのに印章が出土しないということは集落外から物資がやってきて、印影によってどの部族からの物資かを判別していた、ということだろう。その上、容器の未開封を証明する封泥がされたということは、物資の運搬を(あまり信用のおけない)第三者に託したということではないか。第三者とは遊牧民か?
 
 
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