古代社会
136772 ウバイド終末期にシュメールによる交易ネットワークが構築される
 
井上宏 ( 40代 建築コンサル ) 06/11/07 PM11 【印刷用へ
ウバイド終末期(6200年〜6000年前)に、ウバイドの祭祀ネットワークに平行して、別の物流ネットワークが構築されていた。

「都市誕生の考古学」より抜粋引用
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・ウルク期以前の交換研究によると(J.Oates 1993)ウバイド期までに交換体制と資源獲得方法に大きな変化が現れ、ウルク・エクスパンションの下地となる地域間交換の構造が形成されたとされる。すでにウバイド文化の広がりがメソポタミア全域に浸透し、アナトリアやベルシャ湾に質の異なる文化波及が認められるという。

・そしてウバイド終末期ころまでにはエリドゥやガウラなどのモニュメント的な建築物が登場し、ガウラやディルメンテペなどで、ドアの封印が普及し、さらに持ち運びが容易な商品の発送や受け取りなどの行政上の考案がなされ、しだいに権威の増長や中央集中と再分配が始まったとされる。
 (中略)
・そこでは、長期間にわたる南メソポタミアからの集団による季節的な巡回が推定され、これはアナトリアへのウバイド拡散と異なる様相とされる。
・したがって、ウバイド期において、銅・鉛・銀などのエリートが消費する貴重品の地方的交換網が展開し、その生産や獲得に直接かかわった定期的な前哨基地が設けられ、同時に水産資源・商品を直接獲得するための短期間の航海派遣が実施されていたとされる。(Oates 1993)
(※引用者注:筆者はこの後の文章で上記ウバイド期とあるのはウバイド終末期とみるのが適切としている。)
(中略)
・本格的な物流網はウバイド終末期ころに形成され始めたと見るのが適切であろう。ウバイド文化の拡散は祭祀ネットワークによっていたが、ウバイド終末期に新たな経済的物流が芽生えたのである。

・ウバイド期において、収穫された穀類などの食糧は神殿もしくは公共施設内の脇室や、公共施設に付属する小部屋あるいは独立建築物などにいったん供託された。共同体に一時保管された余剰食糧は、さまざまな物資を集落外から入手するための交換財として委託運用されるに留まっていた。
 
・そしてウバイド終末期には倉庫を封印するドア封泥などが登場することから、物流網は等価交換的なものではなく、再分配的な構造になったと考えられる。
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(引用以上)

恐らく、南メソポタミアを基地とする物流ネットワークは、シュメールのものとみて間違いないだろう。これはウバイドの贈与によるネットワークに対し、シュメールが一方的に収奪する交易ネットワークではないだろうか?
注目すべきは、以下の点
・神殿などに食糧が供託され、一種の税→再分配機能が現れていたこと。
・遠方の物資や貴重品を得るために、各地に前哨基地が設けられていたこと。
これはすでに周辺エリアを収奪しつつ成立する都市国家的な機構が成立しつつあったことを示している。

 
 
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136878 海面急上昇を契機にシュメールが侵攻開始→メソポタミア一帯を制圧し都市国家が成立 井上宏 06/11/08 PM11

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