原始共同体社会
135953 漁労・採取系と狩猟・牧畜系の婚姻形態の違い
 
川井孝浩 HP ( 33 設計 ) 06/10/30 AM10 【印刷用へ
弓矢の発明により高い防衛力を手にした人類は、地上へ進出する中で土地ごとの環境に適応すべく様々な生産手段を身に付けていった。その中でも、温暖湿潤な気候に恵まれ、豊かな食料を確保できた部族は、漁労・採集民として定着、安定した生活を手に入れる事が出来た。一方、獲物を追って山奥へ進出していった部族の一部は、激しい気候変動に見舞われつつも、狩猟・牧畜という生産手段を確立していった。しかし、その後さらに乾燥化の進んだ地域では、牧畜から遊牧へと、特定の土地に定住する事なく、さらに生活様式を変化させていく事になる。

では、漁労・採集民と狩猟・牧畜民とはその後どのような婚姻様式の違いを生み出したのか?
以下にその特徴と違いをまとめてみた。

●漁労・採取系民族の婚姻制

@自然外圧の大幅な低下と能力の平準化
・外圧の極端に高い極限時代と比べ、弓矢の獲得による防衛力上昇+豊かな食料事情の獲得により外圧低下。
・男達に期待される闘争能力は、押並べて平準化して行った。

A性闘争本能を制御するため、『全員婚』へ
・外圧低下に加えて男達の能力が平準化すると、哺乳類の本能である性闘争本能が生起し始め、極限時代のボス集中婚に対する不満が出始める。
・この哺乳類の性闘争本能を封鎖し、集団の成員すべてが充足できる仕組みとして、『全員婚(総偶婚)』へと移行した。

B人口増に伴い集団分割の必要性(氏族<胞族<部族)⇒『兄弟婚(母系族内婚)』へ
・それまで30〜50人だった単位集団は、外圧低下と全員婚により人口増。
・一集団での生存域(食料確保)限界を超えることで集団分割の必要性が生じる。
・母系の血縁関係による氏族へ集団を分割。さらに氏族×3=胞族、胞族×3=部族と段階的に分割統合。(100〜150人)
・各氏族中においても、性闘争封鎖の必要から、全員婚(=兄弟婚)を維持し集団を統合。
・しかし集団同士の生存域が次第に離れる事によって、徐々に共認統合が難しくなっていく。

C氏族の独立性を制御し、部族統合を維持するために、『交叉婚(母系族外婚)』へ
・血縁関係(兄弟婚)の氏族で集団を構成すると、自己集団への収束力が高まり、氏族ごとの閉鎖性・自立性が高まる事で部族全体の統合度が低下する。
・人口の更なる増加→同類圧力の高まりから、部族統合維持の必要性も上昇、成員交流の仕組みを作り出す。(150〜200人)
・氏族間で男兄弟が他氏族の女姉妹のもとへ通う『通婚』(夜這い婚etc.)から、息子移籍の『交叉婚』へと移行した。

●狩猟・牧畜系民族の婚姻制

@自然外圧の低下度合いが小さいため、『上位集中婚』へ
・獲物を確保しないと生きていけない狩猟民族には、生存圧力の高さ故、男達の闘争能力格差が残った。
・しかし極限時代に比べれば遥かに外圧は低下し、単位集団の成員は増加。(30〜50人)
・狩猟から牧畜へと移行する事で更に外圧低下→性闘争封鎖の必要性から、『ボス集中婚』を下位(2番手、3番手)にまで広げた『上位集中婚』へと移行。

A人工増に伴い集団分割の必要性⇒『上位集中型婿入婚(母系)』へ
・人口上昇→生存域キャパオーバー→母系の血縁関係による氏族へ集団分割。(50〜70人)
・漁労・採集民に比べ、「牧畜=私有財産」という意識が早期から芽生えていた事が想定される。また、牧畜の可能な領土も限られている為、分割する度に集団ごとの距離も開いてしまう等、早期から集団分割には氏族ごとの閉鎖性・自立性の高まりが発生。
・よって、部族全体の統合度維持の必要性から、早期から氏族間の成員交流を行い、息子移籍の『上位集中型婿入婚』へと移行した。

B牧畜から遊牧へ。そして母系から父系へ。
・乾燥化により牧畜維持が困難になり、遊牧へ移行。
・遊牧可能な小集団へと集団をさらに細分化(15〜20人:小氏族)し、闘争圧力も上昇(移動中の外敵闘争や他部族との接触等)
・遊牧に適した闘争集団化と共に、完全に自立した(集団同士が離れた)集団同士の統合力維持の為には、息子残留・娘移籍による成員交流でしか氏族を維持出来ない。
・婿入婚から娘+婚資(家畜etc.)付きの娘移籍型、『上位集中型嫁取婚』によって、人類史上初めて父系制へと転換。その後、この闘争性の高い部族は、後に略奪部族として人類史を大きく変えていくことになる。
 
 
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