採集生産と狩猟生産
135930 漁労・採取系民族における婚姻制の変遷
 
西谷文宏 HP ( 29 建築設計 ) 06/10/29 PM11 【印刷用へ
■圧力状況の変化
 人類誕生から500万年間、人類は極限的自然外圧に晒され、洞窟に隠れ住んできたが、約1万年前に弓矢が開発されたことにより、自然外圧(≒外敵闘争圧力)が大幅に低下、地上へと進出を果たす。
 中でも漁労系民族の住んでいた海岸地域は内陸部と違い、外敵が少なく、浅瀬の魚介類等を中心とした食料確保も容易にできる為、極めて外圧が低い状況にある。

■能力の標準化→全員婚へ
 自然外圧が大幅に低下した漁労系民族では、成員の能力格差が生じにくく、平準化する(ex.貝なら誰でも容易に採れる)。結果、集団統合力(=首雄による集団統合)が低下。
一方で、自然外圧の低下による性闘争本能→性欠乏の肥大が起こり、首雄集中婚が崩れ、全員婚(≒乱婚状況)へと婚姻様式が変化していく。

■集団の分化と統合@→血縁分割から兄弟婚へ
 洞窟脱出=地上進出した当初は、30〜50人程度の単位集団だったが、自然外圧の低下+生産力の上昇に伴い、集団規模が拡大していく。
その結果、防衛と採取の効率上、声が届く範囲、身振り手振りが分かる範囲に集団の規模を分化する必要が生じる。

漁労・採取生産においては、能力格差、専門職能や技術特化は存在しない為、血縁繋がり以外には分化の基準を見出すことが出来ない。
婚姻制度は全員婚であるために、血縁関係は女の方から辿るしか解らず(男は自分の子が誰か解らないが、女は確実に自分の子供が解る)結果、必然的に母系社会が形成される。
このように血縁を基準に分化された単位集団を氏族と呼ぶ。

血縁分割の結果として、婚姻制度は氏族内(=みんな血縁関係)での全員婚=兄弟婚(母系族内婚)となる。(血縁での婚姻=近親相姦の婚姻様式。世界中の先住民族の事例に見られるように、親娘婚、母子婚もあったと考えられる)

■集団の分化と統合A→部族統合維持の為の交叉婚へ
分化された単位集団=氏族は拡大するにつれて、その氏族固有の共認と求心力を形成し、部族全体から見れば遠心力(集団閉鎖性・自立性)を持ち始める。その為、各氏族同士=部族の統合がバラバラになって行く。

部族統合を維持する為には、氏族成員の交流・交叉(=成員の入れ替え)が必要になり、成員交叉の最も有効な手段として、氏族内婚姻(=兄弟婚)が禁止され、別の氏族との婚姻(=交叉婚)が制度化されていく。
交叉婚は、氏族間で男兄弟が他氏族の女姉妹のもとへ通う通婚(≒夜這い婚)から、息子移籍の婚姻様式へと変化する。
(通婚による滞在時間の長期化→移籍化。通婚制度を残したままの先住民族も存在する)いずれにしても、男が移動し、女は氏族内に留まる母系制婚姻となっている。

■まとめ
外圧低下→「首雄集中婚」崩壊→「全員婚」→集団規模拡大⇒氏族分化(血縁分割)⇒「兄弟婚(母系性族内婚)」→氏族拡大・集団統合崩壊⇒「交叉婚」(通婚→息子移籍)

一貫して母系集団を保ったのが、漁労・採取系民族の特徴である。
 
 
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