共認心理学(現代の精神病理を斬る)
103762 『自閉』発の『劣化収束』は受信回路の遮断から
 
土山惣一郎 ( 48 デザイナー ) 06/01/08 AM00 【印刷用へ
>他の精神疾患(統合失調症・神経症・躁鬱病・うつ病など)は、脳内のホルモンをコントロールする薬物によって一定の症状の改善が見られますが、〜「自閉症が薬でなおった(症状が改善した)」ということは無いようです<(101113

 確かに、自閉症は他の精神疾患と比較すると特殊な位相に位置しています。101114にもあるように、ミラーニューロンの作用に異変が観察されるのも自閉症だけのようですから、共認機能の原点とも言える同化機能や同一視機能に障害があるのは明らかです。

 ここでひとつ思い浮かぶのは、自閉症は共認回路の中でも受信回路の欠陥ではないかという仮説です。おそらく日常的には受信回路の(一部)遮断よって脳内を統合しており、逆に、受信回路の遮断ができないような刺激を受けると反復運動(exノッキング)によって初めて脳内ホルモン作用でそのショックに対応しようとするというメカニズムです。それに対して、他の精神疾患は、基本的には受信回路の方は最初は正常であって、その後の方法回路の発達段階で探索回路や発信回路がショートしてしまい、そこから危機逃避回路に全面的に収束したり、回路全体を凍結したりするパターン、つまり脳内ホルモンのバランスが崩れるという構造が登場するのではないかと思われます。受信回路の欠陥という捉え方に立つと、低機能自閉症〜高機能自閉症のすべてに観察される特徴(対人関係上のアンテナ欠損や環境変化への遭遇時のパニックetc)もだいたい説明がつきそうです。

 そこであらためて、疾患としての自閉症を水で薄めたのを自閉型の精神構造と見なして身の周りを見渡してみると、仕事場面では結構似たような現象に遭遇します。例えば、指示を受けていても何かに引っかかるとその後の指示は全部吹き飛んでしまって惨憺たる成果になってしまう、あるいは、こちらの聞きたいことの真意が読めず答えのピントがずれたまま延々と説明する、制度や方針の変化を嫌い、とことん腰が重い、そしてしばしば異常にガンコになる、客先との打ち合わせなども我流で対応するのでトラブルメーカーになるケースが多いが本人はさして問題とは感じていない・・・などです。

 これはもちろん病理学的な疾患ではありませんが、自閉症同様、受信回路をどこか遮断したまま日常生活を営んでいると解釈すると、やはり辻褄が合います。そして、この自閉的傾向をもった精神構造が疾患には属さないという意味は、一方でこの自閉構造からパニックに陥らないための脱出回路(≒我流のor一点突破型の脱出方法論)も体得しているということだと思います。

 自閉タイプの脳回路が前述のような構造だとすれば、このケースの劣化収束とは、そもそも対象性が貧弱で、特に人間関係がからむ状況判断や瞬時の対応方針判断が始めからずれている、さらに一定の外圧下では自分流のレンジの狭い脱出回路で対応しようとする、このふたつの要因が前後して作用するためだと思います。むしろ、劣化収束という現象の大半は(仮に自閉タイプでなくとも)対象性の欠落から生じる訳ですから、この自閉型精神構造の最大の欠陥とも言える対象性の欠如との相関は非常に強いと考えざるを得ません。
 
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