性機能(性回路)と脳回路の構造について考えて見ます。
本能情動としての性欲は、視床下部によって制御されます。
これに対して、(697)にあるように、オーガズムなど性的感情に密接に関わっているのは、視床下部のような”古い脳”ではなく、”新しい脳”である大脳新皮質であり、その中でも特に前頭葉(前頭連合野)が深く関与しています。
ここで重要なのは、「オーガズムを制御するのは前頭葉なのだから、視床下部より前頭葉が重要」と言うような、一方の機能を指した重要性の議論は意味をなさない(事実ではないとも言える)ことです。
実現論に書かれているように、生物は塗り重ね構造によって外界に適応しています。性機能(性回路)に関して言えば、本能性欲中枢としての視床下部の上に、前頭葉が性的感情中枢として塗り重ねられている。
視床下部と前頭葉が一体的に(あるいはお互いフィードバックしながら) 機能して、始めて人類の性機能(性回路)は十全に機能すると言えます。これは、46885、46507で北村さんが、「脳回路の2段階構造」、「回路の非独立性」として追求されている内容と、同じ構造です。
また、性機能(性回路)を”性充足”と言う別の視点から見れば、人類は本能機能としての(視床下部を中枢とした)性機能(性回路)の上に
オーガズムなど性的感情としての(前頭葉を中枢とした)性機能(性回路)が上塗りされている為、その他の哺乳類とは違って、極めて深い性充足を得ることができる。脳回路が、性充足をより深める方向に塗り重ねられ、進化してきたと考えることができます。
ところで、前頭葉が脳に占める割合は、ヒトでは約30%、チンパンジーでは約11%、アカゲザル・ニホンザルなどのマカク猿で3%程度と言われています。ネコなどの高等哺乳類でも前頭葉は存在していますが、割合は1%未満、ネズミ等の食虫哺乳類(原始的な哺乳類)では前頭葉は存在しません。
また、正確な実験データは殆ど存在しないのですが、この中でオーガズムがあるのはチンパンジー以上だと考えられています。チンパンジーのオーガズム現象としては、メスが口を丸めて吹くような感じの表情+10秒間に及ぶ子宮の収縮、オスの叫びの表情等で確認できます。マカク類では、子宮収縮などの現象は認められるものの、表情その他の現象としてはチンパンジー程明確には確認できないようです。(表情と行動(子宮収縮)が一致しない)
つまり、前頭葉の割合が増大(進化)するにつれて、オーガズム現象が明確に確認できるようになります。
このことからも、オーガズムなどの性的感情としての性機能(回路)が、前頭葉と深く関わっていること、人類が性充足をより深める方向に脳回路そのものを進化させてきたことが証明できます。 |
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