私権社会の婚姻制
101608 『女が全てを決める島』
 
田中修 ( 26才 会社員 ) 05/11/28 PM11 【印刷用へ
今月創刊された「クーリエ・ジャポン」に古代アフリカ伝統の「母権制」を貫くビジャゴス諸島の記事が掲載されていましたので、少し長くなりますが一部抜粋して投稿します。彼らの暮らしぶりが感じれとれて面白いと思います。

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『男にとっても「究極の理想郷」〜女がすべてを決める島〜』

 あたりに澄んだ日の光が差し込むころ、キンタが目を覚まし、伸びをした。そろそろカシューナッツを採りに行く時間だ。カシューナッツは米と交換できるだけでなく、実をつぶして果汁を搾り、発酵させ蒸留酒を造ることもできる。ほかにも、畑の種まきの時期を見定め、夫エステボの仕事の段取りもしなければならない。9歳、6歳、8ヶ月という3人の子供たちの世話も、彼女の仕事である、
 キンタ・アウグスト(26)は「女たちの村会」の第一議長。15日ごとに村人の討議を取り仕切っている。夫のエステボは彼女の秘書。女性たちの発言を一つずつノートに書き取っている。

■男はすべての面で女に劣る

 キンタとエステボが一緒に暮らし始めたのは8年前。キンタは、エステボの逞しい体、やさしい性格、そして性器に惹かれたという。彼女の弁によると「セックスなしには、人は幸福になれないから」
 一方エステボは、知性と責任感の強さがキンタの魅力だと語る。「道理をわきまえているし、僕がすべきことを的確に示してくれる。彼女のおかげで、お腹が減ったときも食べるものに困りません。少しでも彼女の支えになれれば、といつも思っています。僕は本当に幸せです。」

 動植物の楽園といわれるビジャゴス諸島。3万3000人の人々が額に汗して働き、暮らしている。赤土の壁と藁葺き屋根の家には、電気も水道もない。彼らは警戒心が強く、なかなか打ち解けようとしない。よそ者が土地を訪れるのを嫌い、伝統的な精霊信仰を続けている。母権社会を維持できたのも、彼らが閉鎖的なうえ、ギニアビサウのなかでも僻地に暮らしていたからだろう。

■「山盛りご飯」が愛の証

 「ビジャゴスでは、女がパートナーの男を選ぶ」と、20世紀初頭にこの地を訪れたオーストリアの人類学者フーゴ・アードルフ・ベルナツィークが記している。
 「女が思春期に達し、部族の一員として認められると、その女は炊きたてのご飯を山盛りにして好きな男の家の前に置く。これがプロポーズなのだ。男はそれを食べ、女の家へと引っ越す。また、ある日、男の持ち物がすべて家の外に出されていれば、それは出て行けという意味なのだ。」
 古代アフリカでは、女性が社会的に高い位置を占める母権制の社会が主流であった。紀元前1世紀の歴史家、ディオドロスの著作にも「アフリカとエジプトの男は、いかなる場合も妻に服従しなければならない」という記述がある。
 
 「守護神ニンドが男を作ったのは、椰子の実を集めたり、畑の草を取ったり、サルを追い払ったり、魚を獲ったりして、女を助けるためです」とネトは語る。「賢さや強さの点で、僕たちは女にかないません。もちろん、リーダーになり、集団を組織したがるような男もいますが、まさか”一家の長”になろうとまでは思わないでしょう。これがこの土地のしきたりなのです」
 
■成人式に男の扱い方を学ぶ

 朝、エティコガに、祭司を務める5人の女が集まっていた。秘儀「藁切り」を執り行うのだ。藁切りは、少女たちの成人式とも言うべき通過儀礼である。少女たちは森で藁を刈り、その藁で神殿を覆い、その後、女長老から先祖伝来の知恵を授かる、祭司の女たちは、精霊の言葉に耳を傾け、女王を指名する任務を担っている。
 精霊が体内に入ったので、少女ドミンガは口がきけない。精霊が彼女の体のなかで、先祖を敬う心、村のしきたり、男の扱い方などを教えているのだ。ドミンガは、先祖とニンドの神に誓いをたてる。一家の長として働き、家族の健康に気を配り、家族が法を犯すことのないようにと。誓いには、自分と将来生まれる子供の命をかけているという。
 
 明日は祭りの日。ベリタは、祭りに合わせて髪を編み込んだ。祭りでは、女だけが伝統の踊りを踊ることが許されている。(中略)この地では、女が男をダンスに誘う。女がそばにいないと、男は不安でたまらなくなる。男たちには、手取り足取り教えてくれる母親のような存在がどうしても必要なのだ。女なしでは、男はどう踊ればいいのかもわからない。ベリタと仲間の女の子たちは、腰を振って踊り、歌い明かす。

 彼女たちは、この地で生まれたことを喜んでいる。人々を指導すること、集団を組織すること、そして一家の長になることが好きなのだ。16〜20歳の若さだが、皆、逞しくて賢そうに見える。すでに何人かには子供がいる。男は生まれつきふがいない生き物なので、彼らに屈することは断じてありえない、と語る。
 彼女たちには、怖いものなど何もない。蛇も、毒針をもつエイも、先祖たちの霊も、守護神のニンドすら、恐れるに足らないという。この世界を7日間でつくたニンドから、ギニアビサウの対岸、つまりゲバ川の河口の先に広がる大オランゴ島地域に賜ったのは自分たち、つまり女だと確信しているからだ。
 
 
 
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前夜の意識状況1 答えがないので、課題捨象
前夜の意識状況2 課題を捨象して充足収束=充足基調
前夜の意識状況3 無用となった感応観念(価値観念や規範観念)
観念捨象の実践模索では足りない=観念を必要とする地平
構造認識の現況1 否定意識や自我観念から脱却できない近代人=現代人
構造認識の現況2 特権知識階級の商売道具と化した「構造認識」
構造認識の現況3 既成観念の全的否定
思考次元1 潜在思念の実践思考
思考次元2 否定意識の倒錯思考
思考次元3 本能⇒共認⇒観念の超越思考(構造認識)
全てのネックは「答えを出せない」という一点にある
現代意識潮流と戦略ターゲット
必要意識⇒課題意識には、不全発と可能性発の二通りある!
不全発の『変革の必要』から、実現発の『認識の必要』への大転換
観念パラダイムの逆転1 現実捨象の倒錯観念から、観念捨象の現実直視へ
観念パラダイムの逆転2 現実否定の倒錯思考
観念パラダイムの逆転3 現実とは、人々の意識である
観念パラダイムの逆転5 現実、その下部意識と上部意識
観念パラダイムの逆転6 残る観念は、頭で塗り替えたら終い
観念パラダイムの逆転7 新しい認識だけが、現実を変えてゆく
新パラダイムの点検1 現実の壁を対象化できるか?
新パラダイムの効用1 現実否定の鎖を断ち切って、プラス活力の上昇へ
新パラダイムの点検2 可能性と不全(肯定か否定か)
新パラダイムの点検3 可能性or不全の源を対象化し続ける源泉
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新しい潮流8 現実を対象化するための概念装置
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