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新しい男女関係(→婚姻制)の模索
361952 「女女格差」はなぜ広がるのか
 
原てふ子 20/11/22 AM10 【印刷用へ
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■「寿退社して専業主婦」という人生が女性の王道だった時代も今は昔。キャリアを高く築く女性もいれば、職がなく貧困に陥る女性も現れました。しかし、なぜこうした格差が生まれたのでしょうか。その背景には、社会の変化や経済の動きに加え、女性ならではの要因も重なったようです。格差が生み出され、拡大するメカニズムについて、識者の方々に解説していただきました。
近年、貧困に悩む女性が急速に増え、20代から30代、40代と高年齢化も進んでいるといわれる。なぜ、この問題が広がってきたのか。
「格差社会」の現状を検証する中央大学文学部教授の山田昌弘さんは時代背景をこう語る。
「根本的要因は経済の構造転換が起きたこと。まず1973年のオイルショックが端緒ですね。日本では経済の高度成長期が終息し、低成長時代が始まりました。それまでほとんどの女性たちは結婚して、自分が働かなくても男性の収入に頼って生活できていましたが、オイルショック以降は男性の収入の伸びが少なくなった。これが起因となったのです」
グローバル化で企業が人件費を削り始める
海外では89年にベルリンの壁が崩壊して、グローバル化に拍車がかかった。日本も新しい経済の波にさらされ、製造業においては低賃金の労働力を国内外に求め、サービス業ではパートタイマーを大量採用。労働の流動化が進み、安定雇用が少なくなっていく。
そして、91年のバブル崩壊以降、日本経済は低迷の一途をたどる。正社員の給料も減り、「フリーター」という言葉が出てきたように非正規雇用者が増え始めた。
さらに97年に起きたアジア通貨危機のあおりを受け、国内では山一證券、北海道拓殖銀行など大手、中堅金融機関が相次いで廃業・倒産。
それまで日本の大企業では、正社員を非正規に置き換えるのは恥という意識があった。だが背に腹は変えられず、98年以降は利益優先のため派遣やパートを雇用する動きが加速し、2008年のリーマンショックでそれが定着したという。
「ことに女性への影響としては、85年に成立した男女雇用機会均等法(均等法)が一つの大きな流れをつくりました。日本ではこの法律が定着するのと同時に非正規雇用化も進んだのです。86年に施行された労働者派遣法が改正されていく中で、いわゆる登録派遣が一般化していった。均等法以降は、民間でも正社員としてキャリアを積んで高収入を得る女性が増えてきたけれど、一般職にも就けず不安定な非正規雇用で働く人も増え、女性の格差が一気に広がったのです」

■バブル、就職氷河期……格差はこうして広がった!
国民所得倍増計画により、日本全体が「中流」意識を持ったのは戦後のこと。しかし、高度経済成長が止まる1970年代には女性のパートタイマーが増加。90年代のバブル崩壊以降には格差が広がり、2010年代には就職氷河期を迎え、格差は固定しはじめる。

1960年:国民所得倍増計画
1970年:「一億総中流」という言葉が登場
1979年:第2次オイルショック
1986年:バブル景気が始まる/男女雇用機会均等法施行、労働者派遣法施行
※この2つの法律により、女性総合職とパートタイマーが同時に生まれることになった。
1989年:ベルリンの壁崩壊
1991年:バブル崩壊
※このころから男性の所得が減少。父親や夫の収入に頼ってきた女性に自活の必要性が出てくる。
1993年:就職氷河期(〜2005年)
1996年:労働者派遣法の規制緩和始まる
※98年ごろから企業が一般職を派遣社員などの非正規雇用に切り替えはじめる。
1999年:ITバブル景気始まる
2000年:ITバブル崩壊
2008年:リーマンショック/就職氷河期(〜2013年)
※このころに格差が固定化しはじめる。
2011年:東日本大震災

■家族モデルが多様化し女女格差が拡大
90年代に突入した「失われた20年」という時代。女性の格差は男性の格差に比べ、「二重」になったと、山田さんは指摘する。高度成長期には「男は主に仕事、女は主に家事」という性別役割分業の家族モデルがあった。
しかし、それは男性の雇用が安定して収入が伸び続けることが前提であり、それが崩れたことで、共働き世帯やパート等で働く主婦も増えることとなった。
「女性がいくら収入の安定した男性を結婚相手に望もうと、期待に沿うような未婚男性の絶対数が不足している。女性の格差は結婚によっていっそう広がるわけです」
家族モデルも多様になり、夫婦ともに正社員の共働き世帯と、夫が正社員で妻が非正規雇用の世帯では消費パターンが大きく違っているという。まして夫も妻も低収入の非正規雇用の家庭、離婚や死別などでシングルマザーになった女性の家計はいっそう厳しい。
かつて未婚女性の多くは親元で暮らし、離婚後に実家へ戻る母子もいたが、近年は親にも頼れないケースが顕著だ。親が非正規雇用で低収入の家庭に育ち、自分も非正規、結婚相手も非正規という貧困の連鎖も出てきている。
「女性は自分の働き方による格差に加え、親や結婚相手の経済力による格差という、3つの格差と向き合わなければならなくなった。しかし、そうして貧困に悩む女性を守る社会保障は発達しなかったということです」

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つづく
 
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