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日本を守るのに、右も左もない
361109 身を殺して仁をなした日本というお母さんC
 
山水清輝 20/10/19 PM11 【印刷用へ
Bのつづき
「地球史探訪:日泰友好小史」より。
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■4.身を殺して仁をなした日本というお母さん■

 1973年にタイの首相になったククリット・プラモード氏は、「サイヤム・ラット」紙の主幹だった頃、「12月8日」と題した次のような記事を書いている。

   日本のおかげで、アジア諸国はすべて独立した。日本というお母さんは、難産して母体をそこなったが、生まれた子供はすくすくと育っている。今日、東南アジアの諸国民が、米・英と対等に話ができるのは、いったい誰のおかげであるか。それは身を殺して仁をなした日本というお母さんがあったがためである。12月8日は、われわれにこの重大な思想を示してくれたお母さんが、一身を賭して、重大な決心をされた日である。我々はこの日を忘れてはならない。

 このお母さんとは、現代日本の核家族の母親を想像しては間違いであろう。戦前の日本のような、そして現在のタイのような、子供を7人も8人も生んで一生懸命育てている母親を想像すると、この「お母さん」の比喩がさらによく分かるだろう。

■5.仁魚■

 仁といえば、次のエピソードも忘れがたい。

 今上陛下は昭和39年、皇太子時代にタイを訪問された。その時、山奥の苗(ビョウ)族のタンパク質不足の問題をタイ国王からお聞きになり、魚類学者としてのご研究から、飼育の容易なティラピアという魚50尾を国王に贈られた。

 この魚はタイ国内でさかんに養殖され、国民の栄養状態改善に貢献するばかりでなく、73年にはバングラデシュへの食料支援として50万尾も贈られたという。

 ある日本人は、魚市場でタイ人から、「この魚は、日本のチャオ・ファー・チャイ(皇太子)が持ってきてくれたんだ」と聞かされたそうである。

 この魚の漢字名は「仁魚」という。華僑系市民がこの話に感動して、陛下のお名前(明仁)をとって命名した由である。[2]

■6.両国民の思いやりと志の積み重ねの上に■

 社民党の土井たか子氏は、平成7年、戦後50年の戦没者慰霊式で衆議院議長として式辞を述べ、「日本はアジアの人々のまことの和解を手にしていないのであります」と語った。

 この短い言葉の中には、これからの国際派日本人が犯してはならない誤りが二つも含まれている。

 第一の誤りは「アジアの人々」という概括の仕方である。隣り合わせのタイとマレーシアでも、歴史、言語、文化、政治体制、対日関係とすべての面で大きな違いがある。それらを十把一絡げに「アジア」と呼ぶ姿勢には、相手の民族・国家の個性をきちんと理解して、交際していこうという誠実さは感じられない。

 第二の誤りは、「まことの和解を手にしていない」というような、口先だけの態度である。タイから見れば、そんなセリフで一人格好をつけている暇があったら、もっと汗をかいて現実の問題の解決に手助けをして欲しいというのが、本音であろう。

 前号で紹介したタイの新法制制定を指導した政尾虎吉博士や、女子教育の草分け安井てつの努力を思い起こすべだ。政尾博士が亡くなられた時に、タイは国葬の礼をもって遇したのである。

 土井党首率いる社民党は今まで「アジア」の国々のために一体どのような汗をかいたのであろう。社会党時代にカンボジアのPKOにすら国会の牛歩戦術で反対した事しか筆者の記憶には残っていない。

 タイと日本とは今回紹介したように120年以上の友好と同盟の歴史を持ち、それは政尾虎吉や安井てつのような人々の志によって、築かれてきた。また敗戦時に好意を寄せてくれたソムアン氏、プラ・サラサス氏のようなまごころによって培われてきた。このような両国の人々の具体的な志と思いやりの積み重ねを思い起こしつつ、その友好関係をどう継承・発展させていくのか、ということを考えなければならない。

[参考]
1.「アジアに生きる大東亜戦争」、ASEANセンター編、展転社、S63.10
2.「皇太子殿下の仁魚」、祖国と青年、H4.1
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