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新しい共認勢力
360235 マスコミはもはや不要。代わりに企業が自ら情報媒体となる。
 
藤井智子 ( 30代 京都 OL ) 20/09/16 PM09 【印刷用へ
マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考えるリンクより引用

◯唐突に始まった寓話
「話は長くなりますが、ロバを連れている老夫婦の話をさせていただきたい」
6月11日に開かれたトヨタの定時株主総会の壇上、話題が2021年3月期決算の業績見通しに及ぶと、豊田章男社長(64歳)はおもむろに語りだした。

「ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。
『ロバがいるのに乗らないのか?』と。
また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。『威張った旦那だ』。
奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。『あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない』。
夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。『ロバがかわいそうだ』。

要は『言論の自由』という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません」

遡ること1ヵ月ほど前、トヨタが発表した見通しを元に、マスコミ各社は、「トヨタの今期営業利益、8割減の5000億円」(日本経済新聞)、「トヨタ衝撃『8割減益』危機再び」(朝日新聞)と報じていた。

豊田氏の不満は、こうした報道に対して向けられたものだった。
「マスコミの報道について、私も決算発表の当日は、いろんな方から『よく予想を出しましたね』『感動しましたよ』と言っていただきました。
ただ、次の日になると『トヨタさん大丈夫』『本当に大丈夫なの』と言われてしまい、一晩明けたときの報道の力に、正直悲しくなりました」
なぜ「こんな状況でも臆さずに決算予想を発表した」ことを評価せず、「8割減益」というネガティブな報じ方をするのか。豊田氏は、そう言いたかったのだろう。
豊田氏は、社長に就任して以来、幾度となくメディアの「掌返し」を味わってきた。

社長に就任した'09年から'10年にかけて、トヨタでは「大規模リコール」が発生し、一時は「経営危機」とまで報じられた。
ところが、'13年に世界の自動車メーカーで初の生産台数1000万台を超え、'15年3月期決算で日本企業として初の純利益2兆円超えを達成すると、今度は一転、豊田氏の経営を称賛する報道が相次ぐ。
その後も、コストをカットすれば「下請け叩き」と非難されたし、執行役員の数を減らせば「独裁体制」と言われた。
そして今度は、あらゆる企業が苦しんでいるコロナ危機のなかで、トヨタの減益だけがことさら大々的に報じられ―。
何を言おうが、何をしようが、その時々の気分で好き勝手に報じるだけのマスコミの相手はしていられない。今回の決算報道のみならず、積年の思いが込められたのが、「ロバの話」だったのだ。

他の企業の経営者たちは、いったいどのようにこの寓話を受け止めたのだろうか。「すき家」「ココス」などを展開する外食チェーン大手・ゼンショーホールディングスの代表取締役会長兼社長の小川賢太郎氏は「豊田さんの気持ちは理解できる」と語る。くわえて、メディアの報道姿勢が「結論ありき」になっていることにも疑問を感じているという。
「現場の若い記者さんと話していると、『私の考えとは違うのですが、デスクや次長が話の方向性をあらかじめ決めつけていて、異論を受け入れてくれないんです』と言われることが多々あります。我々の商売もそうですが、本質は現場の人間が一番わかっているものです。しかし、それを重視せず、会社にいる上司が記事の方向性を決めるというのは時代遅れです」

こうした思いを、豊田氏もずっと感じ続けてきたのだろう。'19年には、豊田氏は自ら肝いりでオウンド(自社)メディア「トヨタイムズ」の運用を開始する。

◯ マスコミを見捨てた
ページを開いてみると、アナウンサー・小谷真生子の司会のもと、豊田氏とスズキの鈴木修会長が語らう対談動画から、先述の株主総会の一部始終を書き起こした記事まで、コンテンツがずらりと並んでいる。デザインも機能も、大手メディアのニュースサイト顔負けの作りで、トヨタの「本気」が伝わってくる。

トヨタイムズが本格始動して以来、豊田氏は大手メディアのインタビューをほとんど受けなくなった。決算後の会見も、現行の年4回から、年2回(中間、本決算)に減らすという。代わりに、トヨタイムズの記事や動画には頻繁に登場し、経営の理念や考えを事細かに語っている。消費者に対し、自前でメッセージを発することのできる環境が整ったのだから、もはや大手マスコミを介する必要はないということだろう。
「ここのところ、大手各社が豊田社長にインタビューを依頼しても、すべて断られる状況が続いています。
7月7日には、めずらしく中日新聞にインタビュー記事が載りましたが、後に、まったく同じ内容が『トヨタイムズ』に掲載された。『あれでは、もはや取材ではなく広告だろう』と言われています」(在京キー局記者)
こうしたトヨタの姿勢を、当の大手メディアの記者たちは複雑な思いで見つめている。
「今回の『5000億円の減益』という業績予想だって、客観的な数字を報じているだけで、どの社もトヨタを過剰に批判したり、叩いたりしたわけではありません。東証一部上場企業であるトヨタは、株主にも、車の消費者に対しても、大きな責任を負っている。それを監視し、情報を提供するのはマスメディアの責務です。企業の目線で選別された都合のいい情報だけを伝えるのであれば、我々の存在は必要ない」(全国紙経済部デスク)

インターネットやSNSの普及と共に、大手メディアの報道を「マスゴミ」「ウソばかり」とこき下ろす流れは、次第に大きくなっている。
「新聞通信調査会が行った調査によれば、『新聞の情報は信頼できますか』という質問に対し、70代以上であれば60%以上の人が『信頼できる』と評価したのに対し、30代になると50%弱、20代になると40%弱まで落ちてしまいます。
企業はそういう状況を見て、『マスコミよりも自分達が直に出す情報のほうが消費者に支持される』と踏んでいるのです。だから、かつては決して表に出すことはなかったオールドメディアへの不満を露にすることをためらわなくなってきた」(元共同通信社記者で名古屋外国語大学教授の小野展克氏)
 
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360350 脱マスコミ⇒企業が自らメディアしていく潮流 田村正道 20/09/20 PM00

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