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生物の起源と歴史
358935 【実現塾】多細胞化から雌雄分化へ
 
ブログ 生物史から、自然の摂理を読み解く 20/08/02 AM00 【印刷用へ
前回、分裂の原初的意味は、DNAが傷ついて死んでしまう前に、分裂して一から再構築することで、さらに長命化を図るという機能の獲得であり、その実現体が、40億年前の海底の熱水噴出口の近くで誕生した細菌=好熱菌であることを書いた。

この段階では、オスとメスへの分化機能は獲得していない。しかし、その機能は多細胞時代になって一気に獲得されたものではなく、単細胞時代から段階的に進化して現在に至っている。

今回は、その進化を追ってみよう。

 ロ.雌雄の役割分化  

 生物史上の大進化はいくつもあるが、中でも生命の誕生に次ぐ様な最も劇的な進化(=極めて稀な可能性の実現)は、光合成(それによって生物界は、窒素生物から酸素生物に劇的に交代した)であり、それに次ぐのが雌雄分化であろう。生物が雌雄に分化したのはかなり古く、生物史の初期段階とも言える藻類の段階である(補:原初的にはもっと古く、単細胞生物の「接合」の辺りから雌雄分化への歩みは始まっている)。それ以降、雌雄に分化した系統の生物は著しい進化を遂げて節足動物や脊椎動物を生み出し、更に両生類や哺乳類を生み出した。しかし、それ以前の、雌雄に分化しなかった系統の生物は、今も無数に存在しているが、その多くは未だにバクテリアの段階に留まっている。これは、雌雄に分化した方がDNAの変異がより多様化するので、環境の変化に対する適応可能性が大きくなり、それ故に急速な進化が可能だったからである。  

 事実、進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。その突破口を開いたのが組み換え系や修復系の酵素(蛋白質)群であり、それを基礎としてより大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。つまり、雌雄分化とは、原理的にはより安定度の高い性(雌)と、より変異度の高い性(雄)への分化(=差異の促進)に他ならない。従って、雌雄に分化した系統の生物は、適応可能性に導かれて進化すればするほど、安定と変異という軸上での性の差別化をより推進してゆくことになる。(注:本書では差別化という概念を、優劣を捨象した客観的な概念として用いる。)

 ☆☆変異促進機能という概念で生物史を読み解く

実現論で、 『進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。』とあるように、変異促進機能の代表格はDNAの多様性にある。

例えば、40億年前に分裂機能の獲得した、海底の熱水噴出口の近くで誕生した細菌=好熱菌という原初の細胞生命体の遺伝子は、この後に進化した大腸菌などの原核単細胞遺伝子に比べても半分以下の小さなものでしかない。

かつ、そのほとんどが現在も設計図として機能しており、生きていくために必要な遺伝子以外の蓄積はほとんどない。そのため、遺伝子の多様性は極めて小さいいため、ほとんど変異促進機能も持ち合わせていない。

それに対して、その後の生物は普段使わない遺伝子を徐々に蓄積していく。その蓄積には、他の個体の遺伝子を取り込むこと等で実現される。

そして、危機時に、それまで他の個体から受け取り蓄積した「他遺伝子」を使い進化を遂げ、新種が生まれる。この新種の中から外圧適応的なものが現れる。そして、その新種がその後の世界を生き残っていく。

このような変異促進機能は最終的に雌雄分化=躯体分化に行き着く。それは同時に、多細胞化への道のりでもあり、多細胞化の最大の目的は雌雄分化の実現のためにあるともいえる。 続きはこちら
 
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