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人類の起源と人類の拡散
358045 人類と細菌との共生進化
 
本田真吾 HP ( 壮年 香川 建築家 ) 20/06/29 PM11 【印刷用へ
ヒトだけの遺伝子を調査するヒトゲノムプロジェクトで見つかった成果では、生命を説明することはできないことが解ってきた。そのため、人体と共生する微生物まで視野に入れた、マイクロバイオーム・プロジェクトという研究が2000年前半に始まった。

その成果は着々とでているが、医薬品開発につながるものではなく、人間とはなにか?どう生きるかという?問題を追求することと同じであるため、マスコミにはほとんど発表されていない。

その中間成果をまとめた『あなたの体は9割が細菌』という書籍を発見したので、要点とそこから見える可能性について投稿することとした。

1. 要点

@ 人体細胞数と共生微生物数

人体の細胞数は極めて大雑把な推計で60兆個(37兆という新説もある)。それに対して、腸内細菌や菌類(主には酵母菌)も含めた共生微生物は、これも大雑把な推計で腸管内だけで約100兆個になる。つまり、数でみると人体細胞の倍ほどの共生微生物が腸管内に存在し、その他器官や体表に住み着いているそれを含めると、人体細胞の10倍くらいの微生物と共存していることになる。

A 遺伝子数

タンパク質をコードする遺伝子数は、ヒトで21000個程度。これは、線虫と同程度、イネの半分、ミジンコの2/3程度で、思いのほか少ない。他方、非コード遺伝子指数はヒトの方かはるかに多く、これがコード遺伝子を制御していることは確実だが、現在はまだよくわかっていない。他方、共生微生物のコード遺伝子の総数は440万個といわれている。つまり、ヒトの21000個のコード遺伝子は共生微生物全体の0.5%しかないことになる。

B 共生細菌の遺伝子とヒト遺伝子の相互関係

共生微生物は、単に宿主のヒトから栄養をもらっているだけではない。大腸の大部分を占める結腸の腸壁細胞は、特定の細菌の排泄物を栄養源で生きている。この細菌がいなくなると結腸の腸壁は死滅する。

それ以外にも、脳の働きに不可欠なビタミンB12をつくるタンパク質の遺伝子を人間は持ちあわせていない。しかし、その遺伝子が無くてもクレブシエラという腸内細菌がビタミンB12を作ってくれる。

また、結腸の腸壁を形成する遺伝子が無くても、バクテロイデスその役割を担ってくれるなど、単なる栄養授受を超えた高度な共生が実現されている。

2. 可能性

一般的に、高度に進化した多細胞生物のDNAが変異して進化していくには数百万年オーダーの時間がかかる。それは、ある機能を持った細胞のDNA変異は、他の細胞と協調して適応的である必要があるためで、全体適応的なDNA変異は極めて限定されるとう理由だと考えられる。

それに対して、細菌や菌類は、数日から数か月でDNA変異可能で、もし適応的でなければ死滅するだけで済む。このような素早い進化を通して、腸内細菌は人間が持ちあわせていない遺伝子(そこから出来るある機能をもったタンパク質など)を創りだし、必要な機能を代替えしている。

つまり、外圧適応のための時間を早めて生存確率を上げるために、ヒトは微生物と機能分担している。これは、単なる栄養授受の共生を超えた、一体化した外圧適応体とも考えられる。またこれは、単細胞から多細胞へと進化した際の外圧適応的な細胞間統合を、時間遅れで繰り返して塗り重ねているとも考えられる。
 
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