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生物の起源と歴史
357041 群体性ボルボックスの仲間から多細胞化への進化を探る
 
斎藤幸雄 HP ( 56 愛知 建築設計 ) 20/05/22 AM02 【印刷用へ
池や川、田んぼなどの淡水に生息する群体性ボルボックス目の仲間は、いずれも単細胞生物であるクラミドモナスに似た細胞が細胞壁で結合して一個体を形作り、約2億年前にクラミドモナス様の単細胞が多細胞化したと考えられています。

 ※以下、書籍『生命誌年刊号2017「和-なごむ・やわらぐ・あえる・のどまる」〜ボルボックスの仲間から多細胞化を探る』(関連HP:リンク)より要約

■単細胞から多細胞への進化を語る生きもの
 池や湖などの淡水域に棲息する緑藻として、群体性ボルボックス目がある。この目の仲間はいずれも、単細胞生物であるクラミドモナスに似た細胞が細胞壁で結合して一個体となっており、約2億年前にクラミドモナス様の単細胞が多細胞化したと考えられている。一個体を構成する細胞数が最も少ないのがテトラバエナ(シアワセモ)で4個、ゴニウムは8または16個からなる。ボルボックスになると500個以上の細胞からなり、実に多様なのである。単細胞生物から多細胞生物への中間段階を示す種が現存するので、その進化を探る最適なモデル生物群と考えられる。

■多細胞化の初期にはたらく遺伝子
 単細胞生物のクラミドモナス、多細胞生物の群体性ボルボックス、さらに両者の中間に位置するゴニウムの全ゲノムデータの比較により、多細胞化の初期にはたらく遺伝子が明らかになりつつある。ボルボックスに至る多細胞化の進化には、2段階の遺伝子の変化がおきたと考えられている。

1)多細胞化の初期に、まず細胞周期に関わる遺伝子群が変化して細胞の数が増加。
細胞の増殖を制御するRB遺伝子とサイクリンD1(CycD1)遺伝子に、ゴニウムとボルボックスだけに共通する特徴を発見された。RBタンパク質は、細胞の数を増やしひとまとまりにする機能。一方のCycDタンパク質は、RBタンパク質を制御して細胞分裂を促す役割を担っている。CyD1遺伝子は、クラミドモナスのゲノム中には1個しか存在しないのに対し、ゴニウムとボルボックスでは4個に増えていることがわかった。RB遺伝子とCycD1遺伝子の変化が、多細胞化を進める重要な役割を担うと考えられる。

2)その後に細胞の大きさや役割分担に関わる遺伝子が変化してはたらきが異なる細胞に分化。
この遺伝子は、体細胞、生殖細部に分化しているボルボックスでは増えているが、明瞭な細胞分化は見られないゴニウムでは増えていないことから、多細胞化の初期に働く細胞の増殖に関わる遺伝子群の変化より後に、遺伝子の変化が起きたと考えられている。

■単細胞生物クラミドモナス〜多細胞生物 群体性ボルボックスへの段階的変化 (参考HP:リンク

○単細胞生物 クラミドモナス
 10µm〜/
 ゲノムサイズ111.1Mb
    ↓
【多細胞化】約2億年前 

○テトラバエナ(シアワセモ)
 約20µm〜/細胞数4
 最も細胞数の少ない多的生物
 細胞外基質が増加
    ↓
【細胞の増殖に関わる遺伝子の変化】

○ゴニウム
 約50um〜/細胞数8または16
 ゲノムサイズ148.8Mb
 明瞭な細胞の分化はない
 細胞の配置は平面的
    ↓
【細胞の大きさや役割分担に関わる遺伝子の変化】

○ユードリナ
 約60µm〜/細胞数16または32
 明瞭な細胞の分化はみられない
 性配信子とは性配信による生をおこなう
    ↓
○プレオドリナ
 約200um〜/細胞数64または128
 体細胞と生殖細胞に分化
 雌性配偶子と雄性配偶子による生殖をおこなう
    ↓
○ボルボックス
 約300µm〜/細胞数500以上
 ゲノムサイズ137.8
 体細胞と生殖細胞に分化
 卵と精子による生殖をおこなう
 細胞外基質が多い
 
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357071 性が変動する生物 匿名希望 20/05/23 AM01

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