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生物学を切開する
351896 「今西進化論」……種は、変わるべき時がこれば一斉に変わる(その2)
 
末廣大地 19/12/14 AM10 【印刷用へ
引き続き「いきもののはなし」(リンク)より引用します

■ ■ ■

▼生物は環境の延長であり、環境は生物の延長である。

 棲み分けという現象が今西論と関わるとすれば、この見解との関連でしょうか。

 生物は、どんなに原始的にみえるものであっても、栄養を取り入れ、危険から身を守り、交配する相手を見つける機能を持っています。

ここで、その生物にとっては、食べ物がなければ生きていくことはできず、交配する相手がいなければ増殖できません。あるいは、その生物が生まれてくるとき、その体を構成するべき材料はどこから来たのでしょうか。つまり、環境なしにはその生物は存在し得ない、と。
その意味で、生物は環境の延長であるわけです。

では、環境は生物の延長である、というのはどういう意味でしょうか。
 環境が生物を取り巻くものであり、生物に何らかの影響を与えるのでなければ、それは存在しないのと同じです。「環境」ではない。環境は生物によって「認識」されて初めて環境となるわけです。

ここで、「認識」といいますが、深い意味を与えてはいません。
ある事象が存在し、それが生物に何らかの影響を与え、それと連動して生物に何らかの事象が発生するとしたら、それは認識があるものといってもいいでしょう。
シュレーディンガーの猫ではありませんが、生物がいなければ環境は決定されないわけです。

ともかく、生物といい環境と言うとき、両者は独立に存在するものではなく、主体と客体、あるいは自己と外界などという区別はなく、連続しているのである、ということです。


どうも哲学臭くなってしまいましたね。ただ、こういった視点を多少なりと先に述べておかないと、進化論の話も単なるお題目になってしまいかね ないので、少々我慢、というところです。

さて、いよいよ今西進化論にはいるわけですが、ここでもちょっと前振りを(^^;)。

 総合説(無方向な変異と自然淘汰を中心に、様々な理論を統合した理論)によれば、進化と言うときには、まず個体が変わり、その変化した個体の子孫の勢力が広がっていって、やがて種の主流となる、ということですね。

 言うなれば、種の中で常に「王位継承争い」が起こっているわけです。もっとも優れた血統の一族がその種を支配し、血を残す権利を持つ、と。

この場合、その血統でない一族は、いつか根絶やしにしなければなりません。「平家にあらずんば人にあらず」ではありませんが、王位継承争いに敗れ、王家の血を引くこともできなかったものどもは、いつか歴史の闇に消えていくのです。


これに対し、今西論では、無方向な変異と自然淘汰を否定します。

こういう表現ですと、やたらにラディカルな説のように思われるかもしれませんので、もう少し言葉を足しておきますと、変異は無方向ではないが、いわば20度から30度の広がりを持った一方向であり、病弱なものは生を全うせず、老いたものは滅びる、という点では淘汰はある、といいます。

では何が違うかというと、

1. 生物は盲目的な存在ではなく、環境を「認識」している。
2. であるとすれば、おおむね適応的な方向へ変異して行くはずである。
3. 同じ場所に住み、同じ暮らしをしている生物たちであれば、その適応的な方向はおおむね似通っているはずである。
4. とすれば、わざわざ一部のものの血のみを残すようにしなくとも、やがてその生物たちはすべて同じように変異して行くはずである。
5. すなわち、自然淘汰がなくとも変異によって種は変わっていくし、変異のきっかけは環境の変化であろう。

とすれば、

▼種は、変わるべき時が来れば、一斉に変わるのではないでしょうか。

 幼虫とさなぎと蝶が全く別な「いきもの」であるとしても、それは時期的な相の違いにすぎません。古生物と現生生物を比べてみたときに、それが別の形質を持っているとしても、その中間が連続して一系列をなすのであれば、それは自己同一的な種と考えることもできるのではないでしょうか。

そして、アメーバ以来、現存するすべての生物は祖先を共有していることを考えれば、地球生物の成長の一過程にすぎないのかもしれず、生物が地球という惑星を構成する無生物から生まれてきたのであれば、地球という恐ろしく古くから生き続ける一個の生命体の成長しつつある姿であるのかもしれない、と。
 
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