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生物の起源と歴史
351860 組織力と抗生物質によって農業する昆虫
 
孫悟空 ( 不肖 不詳 不要 ) 19/12/12 PM10 【印刷用へ
中南米にハキリアリというアリがいます。ハキリアリは名前のとおり、葉を切るアリ。とても変わったアリで、切った葉を使って農業をします。ハキリアリの農業が進化したのはおよそ5000万年前と考えられるので、人間の農業よりもはるかに古いのです。徹底した役割分担による組織力と抗生物質を駆使する技術力は、種の生きる環境を自ら作り上げているとも言えるものです。

ハキリアリは葉を切って巣に運ぶ。葉を運ぶ道は決まっていて、ある種のハキリアリでは平らにならされた道が100メートルも伸びているらしい。

行列になってどんどん葉を運ぶハキリアリですが、よく見ると運搬中の葉の上に3匹の小型のアリが乗っています。何のために、葉っぱに乗っかっているのでしょうか?

実は、葉を運ぶハキリアリとは別に、小型働きアリと呼ばれるハキリアリが道の脇をパトロールしています。
昼間は、ハキリアリの天敵であるノミバエの仲間が、アリたちに卵を産み付けようとスキを伺っています。あるノミバエは、運ばれている葉に乗り、葉をくわえているアリのアゴの付け根に卵を産み付けるのです。だから葉の上に陣取った小型働きアリは、外に向かってアゴを広げ、ノミバエが葉の上に乗りにくい状況をつくったり、乗られたら追い払ったりするのです。運ばれている葉から途中で下りたり、途中で乗ったり、葉から葉へと移動するものも少なくありません。

地下の巣の中の部屋が、ハキリアリの農場です。そこの床に葉を敷いて、キノコの仲間を栽培するのである。数匹がかりで雑草を引き抜いたり、自分たちの糞を肥料にしたりして、きちんと育てて収穫する。

このアリ塚の下に、ハキリアリの巣の中枢があります。多くの部屋がトンネルでつながっていて全体の大きさは乗用車1台分ほど。中央にあるラグビーボール大の何百もの部屋が「キノコ園」、その周辺にある外側の部屋が「ゴミ処理場」になっています。

一つの巣には400〜500万匹のアリ(コスタリカの人口と同じぐらい)がすんでいるが、そのほとんどは、大きさの違う3種類の働きアリのうちの小型働きアリだ。アリたちは、葉を細かく刻んで菌床をつくり、「キノコ園」でキノコを育てる。この部屋には卵や幼虫、サナギなどもあって、これらの世話も小型働きアリの仕事となる。

「ゴミ処理場」は、アリの死骸や使い古した菌床を廃棄する部屋だ。廃棄された菌床には窒素などが多く含まれていて、それがやがて土に還り、森をより豊かにする。ハキリアリたちは、持続可能な「農業」の大先輩であり、森を育む大切な役割も担っている。

このようなハキリアリの農場にも、病原菌が侵入することがある。そのために、ハキリアリは、何種類かの抗生物質を使っているようだ。実際、キノコを育てるアリで巣の入り口付近に白いペレットが吐き出されていて、そこから抗生物質を生み出す放線菌の仲間を単離できたのです。
この抗生物質は、キノコ畑に侵入してくるさまざまな菌類に対する防御効果があるだけではなく、アリ本体の健康状態も維持してくれるすぐれた物質です。

つまり、栽培するのに適した菌類は偶然で選択されたのではなく、菌栽培アリの体内に存在する放線菌との共同作業によって達成されていると考えられます。

<参考>
農業する昆虫ハキリアリの凄い能力(リンク
農業するアリ”ハキリアリ“の生態に迫る(リンク
 
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