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心の本体=共認機能の形成過程
350943 代々木忠(AV監督、映画監督、映画プロデューサー)の追求〜セックスにおける【溶ける・死ぬ・逝く】の表現から見える世界〜
 
木戸康平 ( 22 大阪府 会社員 ) 19/11/09 PM08 【印刷用へ
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 オーガズムのとき「溶けちゃう」と言った女の子がいた。それも一人や二人ではない。なかなか男にはわからない感覚だ。僕も最初は「溶けるって、何が溶けるんだ?」と思った。オーガズムの言葉としては「死んじゃう」とか「イッちゃう」というのもある。


 いったい何が「溶け」「死に」「行く」のか? ひと言でいえば、それは「個」ではないかと思う。「個の自分」が溶け、死に、どこかへ行ってしまう。だから、お互いがそうなれれば、自他の境界線もなくなり、ひとつに同化してしまうのではないかと。


 しかし、今は以前にもまして、セックスで溶け合うということが難しくなっている。セックスのマニュアル本だったら、溶け合うためのテクニックが列記されるところだが、事はもっと複雑なようにも思う。


 ちょっと話は広がるけれど、西洋文明とは「個の自分」を確立する歴史だったのではないかと、僕はかねがね思っている。だから、自分の意見をはっきり主張することが求められる。「個の自分」を確立しようとすれば、これが基本姿勢であり、なおかつとても重要なポイントなのだ。


 日本人は「はっきりものを言わない」「何を考えてるのか、わからない」と昔からよく言われる。それは日本が内面を「察する文化」だからだろうと僕は思うが、まぁ“言わぬが花”という姿勢は、西洋人には理解しにくい価値観かもしれない。


 これには宗教観も大きく影響している。ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、旧約聖書を経典とする一神教である。その神とは、人知を超えた絶対的な存在であり、間違っても人間ではない。ということは、崇拝する対象は自分の外側にあるのだ。


 それに対して東洋の宗教はというと、たとえば日本の神道は森羅万象に神が宿ると考える。だから身近にいろいろな神様がいる。中国の道教もインドのヒンドゥー教も多神教である。仏教は多神教とは言いがたい面もあるけれど、仏教における神、つまり仏は少なくとも世界の創造者でもなければ、支配者でもない。僕は、これら東洋の神々は人間の内側に存在するのだと思う。


 このような宗教観もあいまって、東洋では「個の自分」を確立しようとはしてこなかった。ところが日本は、戦後、アメリカをはじめとする西洋の文化を取り入れるにつれて、いつしか彼らの追い求める「個の自分」も手に入れようとした。個人主義、個人情報といった個の権利主張のみならず、電話もテレビもエアコンも、時代はパーソナルに向かっている。


 もちろんそれらの全部が悪いと言いたいのではない。でも、「個の自分」を確立しようとすればするほど、自然からはどんどん遠ざかっているようにしか僕には思えない。人間も自然の一部だとすれば、それはやはり“不自然”なことではないだろうか。


 セックスで相手と溶け合えない最大の原因は、テクニックなどではなく、「個の自分」に根源があるのだと思う。本当のオーガズムとは、ある意味、悟りでもある。溶け合えば、真理の片鱗を人はのぞくことができる。そしてその表情は、このうえもなく幸せそうである。



(2011年7月8日掲載)



 「溶け合う」ためには、左脳からの解放が大前提になるだろう。神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー博士は、左脳から自由になったときの自らの感覚を著書『奇跡の脳』(竹内薫訳、新潮文庫)にこう記している。


 〈これまでの「からだの境界」という感覚がなくなって、自分が宇宙の広大さと一体になった気がしていました〉
 〈もう孤独ではなく、淋しくもない。(中略)そして無限の海のなかで歓喜に心を躍らせていました〉
 〈右脳はとにかく、現在の瞬間の豊かさしか気にしません。それは人生と、自分にかかわるすべての人たち、そしてあらゆることへの感謝の気持ちでいっぱい。右脳は満ち足りて情け深く、慈しみ深い上、いつまでも楽天的。右脳の人格にとっては、良い・悪い、正しい・間違いといった判断はありません〉
 
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