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経済破局は来るのか?
349239 ドルが基軸通貨である限り衰退するのは宿命
 
蔵端敏博 19/09/11 PM09 【印刷用へ
米国が基軸通貨国であるかぎり、中国に仕掛けた紡績戦争も、ドル安政策もドル崩壊=基軸通貨国は必ず衰退するという流れには逆らえない。
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〇トランプが、中国に対して仕掛けた貿易戦争の帰結
トランプは「虎の頭脳」で、本能的に、「ドルが海外に流出する貿易赤字」を問題にしました。このため、貿易額を減少することによって、世界経済を不況にもする中国関税を発動したのです。
ところが米国では、40年前の1980年から国内製造業は空洞化しています。食品以外では、ウォルマート(50兆円)と米国の店舗で売る消費財(衣料、住関連、IT機器、家電)の95%は、海外産です。米国産は、コンピュータやスマホにもない。関税をかけても、海外輸入が減り、国内生産が増えることはないのです。

〇米国のマネーにとって致命的なドル安政策
トランプは「中国の元安」を非難しています。米国の金利をゼロに近く下げることで、ドルのチープマネー政策をとるとも言っています。1990年代のルービン財務長官(元ゴールドマン・サックス(政商的銀行)の会長)は、「ドル高」を言っていました。海外からのドル国債、社債、株の買いを増やすには、ドルが下がらないドル高が条件だったからです。このドル高で、米国のIT株は上がりました。2000年4月に、長短金利(イールドスプレッド)が逆転して、崩壊しています。米ドルをもっとも買ったのは日本です。

トランプが、FRBに金利0%への利下げを強要し、誘導目標が0%に下がったらどうなるか?

〇ドル安ヘッジのコストは2〜3%
海外から、米国債、株、社債を買うときのリスクは、ドル安です。米国債は現在、ユーロや円より約2%高い金利がついています。ドル金利は、米ドルを買うときの「ドル安ヘッジ」の保険になっています。日本、ユーロと2%の金利差がなくなると、ドルへの投資(ドル買い)は「裸のドル安リスク」に晒されます。このリスクは海外からのドル買いを減らすことになり、「ドルの買い超の減少(=ドル売り)によるドル安」に向かうことになるでしょう。海外に売ることが必要な、年40兆円の米国債が売れにくくなるのです。
結果は、
・ドル安と、
・米国金利の上昇(米国債の価格の下落)です。
今はドルの長期債が売れて、長期金利は1.5%にまで下がっていますが、ドル安になるとともに、ドルの長期金利が上がる(ドル国債の価格が下がる)ようになっていくでしょう。
対外負債が大きく、経常収支が赤字続きの米国にとっては、
・海外がドル国債を買ってくれるには、
・日欧より2%は長期金利が高く、ドル高が維持されることが必要
だからです。
トランプの中国関税に加えた、
 (1)ドル金利の利下げ要請、
 (2)輸入の減少と、輸出の振興のためのドル安の要求は、
 (3)米国の経常収支の赤字をファイナンスする資金不足を招き、
逆に、米国の期待金利を上昇させ、国債価格を下げてしまうのです。
金利下げと通貨安のマネー政策は、
 (1)国内の製造業がしっかりしている国(供給超過の国)、
 (2)経常収支の赤字が大きくない国に、とって有効です。
米国のように、
 (1)消費財の国内製造業がなくなった国、
 (2)経常収支が大きな赤字で、海外からのドル買いの40兆円超過が
必要な国にとっては、ゼロ金利とドル安は、自滅行為になります。
米国には、1990年代の株価が上がっていたクリントン時代のルービン財務長官の「ドル高政策」が必要です。パウエル議長を「白痴」とまで言って、逆を行おうとしているトランプ氏のために忠告しておきます。「米国の金利が0%に下がれば、米国は、ひどいことになるからです…」ドル安とは、世界の外為市場でのドルの売り(ユーロ買い、円買い、元買い)の超過です。ドル売りの超過は、経常収支が赤字の米国では、国債や株を買うドルが不足させます。債権国の中国や日本なら、通貨安という選択肢があります。米国では、ドル安というオプション(選択肢)は、奈落に落ちることでしかない。
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