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生物の起源と歴史
347635 性淘汰理論をうみだしたチャールズ・ダーウィン
 
長曾我部幸隆 ( 28 神奈川 会社員 ) 19/07/15 PM00 【印刷用へ
進化論を唱えたダーウィンだが、追求し続けた結果自然淘汰だけでは説明できない進化である性淘汰理論に行きついた過程に迫る。

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■自然淘汰では説明できない進化
ダーウィンというと、みなさんが思いつくのは「種の起源」という本に書かれた進化論でしょう。親とは体のつくりが異なる子供がうまれ、その体のつくりは孫へと遺伝し、さらに体のつくりによって寿命や子供をのこす数に差がある場合に、結果として体のつくりの異なった新しい種が広まるという「自然淘汰」のしくみを見いだしたことは、彼のなしとげた代表的な仕事であることは確かです。

しかし、自然淘汰にたどりついたダーウィンをなやませた動物がいました。それが「オスだけが角をもつシカ」や「オスだけが派手な羽根をもつクジャク」だったのです。自然淘汰のしくみでは、これらのメスが角や派手な羽根をもたないことは説明がつきません。たくさんの生き物を見わたして考えをめぐらせた結果、ダーウィンの出した答えが「性淘汰」というしくみだったのです。「人間の進化と性淘汰 (The Descent of Man and Selection in Relation to Sex) 」という2巻立ての著書でそのアイデアを披露しました。「種の起源」から12年後の1871年のことでした。

ダーウィンは性淘汰が起こる要因について、オスどうしのたたかいはオスに備わったライバル心によるもの、オスのハデさはメスに備わった審美眼(しんびがん)を示すものという説明を試みました。このような擬人(ぎじん)的な考え方は現在では支持されませんが、求愛の過程でこれらの進化が起こるという現象面において、ダーウィンは的確に性淘汰をとらえていました。20世紀にはいり、近代生物学は性淘汰の理論をさらに精密化し、多くの動物で検証がなされ、進化メカニズムとしてはほぼ正しいことが証明されています。

ダーウィンが性淘汰の理論を見いだした背景には、彼が実にさまざまな動物を観察し、洞察(どうさつ)を深めていたことがあげられます。ここでは、「人間の進化と性淘汰」の中から、ダーウィンの観察眼の鋭さをうかがい知るページを紹介します。

□昆虫における第二次性徴
「多くの甲虫類で最も顕著な雌雄の違いは、雄の頭部、胸部、額板などから生えている角であり、いくつかの稀な例では、からだの下面から生えていることもある。lamellicornsの科の角は、シカやサイなどの四足獣の角と似ており、その大きさにおいても、多様な形態においても目を見張るほどだ。それらを言葉で記載する代わりに、最も素晴らしいいくつかの種について、雄と雌の図を載せておいた。雌は、一般にこぶや稜の形で角の痕跡をとどめているが、そのような痕跡さえまったくもたない種類もある。」

□鳥類の第二次性徴
「しかし、最も奇妙な例は、オーストラリアの三つの近縁な属に属する鳥たち、すなわちあの有名なアズマヤドリであろう。この鳥たちはどれも、はるか昔に、愛の道化を演じるためにあずまやをつくりあげるという奇妙な本能を最初に獲得した鳥の子孫であるに違いない。あずまやは羽、貝殻、骨、木の葉などで飾られ、求愛のためだけに地面の上につくられる。(中略)これらの奇妙な構築物は、まったくお見合いの部屋としてのみ使われており、両性が求愛をして楽しむところであるが、これをつくるのは鳥にとってかなりな作業に違いない。」

「タマシギ属 (Rhynchaea) の3種 の雌は、雄よりもからだが大きいばかりでなく、色彩も豊富である。他の鳥では、気管の構造は雌よりも雄の方が複雑でよく発達しているのであるが、Rhynchaea Australisでは、単純なのが雄の方であり、雌の気管は肺に入る前に四つのはっきりした渦巻きをつくっている。このように、この種の雌は、雄に特徴的な形質を備えているのである。(中略)スウィンホウ氏は、夏が終わる前に雌たちがミフウズラと同様の集団をつくっているのを見ているので、この種でも抱卵の仕事は雄が請け負っていると考えるに足る証拠がある。」

□哺乳類の第二次性徴
「角が今のような長さと奇妙な位置にあるようになったのは、捕食者から身を守るためであったとは考えにくい。遠い過去のオリックスの祖先の雄が、ほんの少し後ろに曲がった長めの角を獲得するやいなや、現在雄たちがやっているように、競争者の雄との闘いでは頭を下げざるを得なくなったのだろう。そして、膝をつく行動は、初めはときどきしかみられなかったのが、だんだんと、そしていつもするようになったとは考えられないだろうか。この場合、最も長い角を持っていた雄が、より短い角を持った雄よりもずっと有利だったことは確かであり、角の長さは性淘汰を通して徐々に長くなり、現在見られるような極端な長さと位置にまでなったものと考えられる。」
 
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