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国家の支配構造と私権原理
346929 中世ヨーロッパにおける3つの教育機関
 
西本圭  ( 38 大阪 会社員 ) 19/06/20 PM03 【印刷用へ
中世ヨーロッパでは主に3つの教育機関があった。1つ目は教会による聖職者になるための教育、2つ目が宮廷による戦士を育てるための「騎士道」の教育、そして3つ目が都市においてギルドと呼ばれる同業者組合の親方が、弟子入りした子どもたちに仕事を通じて行う人格形成教育があった。

以下「キリスト教と中世ヨーロッパの教育」より引用
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西ローマ帝国が滅亡した後、ヨーロッパではカトリック教会が大きな力をもつようになる。すなわち,中世ヨーロッパ社会は,キリスト教が人間形成や学問研究に対して大きな支配権を握っていた時代である。近代における公教育制度の成立は,人々を誰が支配するのかを巡って教会から国家へ支配権が移っていくプロセスでもあり,教会が握っていた人々への支配権が国家権力へと移されていくという展開とみることができる。近代国家というのは、国家が国民を支配していくしくみを整えたものを意味している。

ところで,現代の欧米諸国では,学校教育は宗教から中立であるといわれる。ヨーロッパの場合には,教育に対して教会からの口出しを拒絶するという意味がある。近代国家を建設するに当たり,国家の政策にしたがう国民を育てるという課題に迫られたときに,その有効な手段の一つが「教育」であった。今から150年前では,教育は教会がその実権を握っており,人々は教会の意向のままに考え,行動していた。しかし,国民が教会の思い通りに動くという国家では近代国家になりえず,産業も発達しないという現実もあった。つまり,教会からいかにして支配権を奪い取るかというのが,近代国家にとって重要な問題であったのである。

中世ヨーロッパの教育機関としては,@教会とA宮廷とB都市での教育という3つの場があった。

@教会での教育
 
神父や僧侶になる人のために設置された修道院学校として始まる。たいていは世俗から隔離された険しい山の中にあったが,やがて時代とともに都市部へと移されていった。一般の信徒(貴族)の子どもも修道院学校に入学するケースも増えたこともあり,「内校」と「外校」とに分けられるようになった。内校とは,僧侶や神父を養成する学校であり,外校とは,一般信徒(貴族)の学校であり,後には庶民もここに通うようになった。
 その後,近世に至るまで,ここでいう外校が,ヨーロッパの庶民教育を担う教会学校に発展していったのである。

A宮廷での教育

宮廷における教育は「騎士道」の教育であり,戦士を育てるための教育が行われた。封建領主は自分の土地を守るために,生産労働から解放され,武力に優れ忠誠心のある専門の軍人(戦士)を必要とした。専門の軍人をどのように育てるかが,封建領主の課題でもあった。いわゆる「騎士道」の教育は,7〜21歳くらいまで行われ,乗馬や水泳,弓,剣,狩猟などの訓練が取り入れられ,読み書きも教えられた。勇敢さや忠誠心などが大切にされ,高尚な品性をそなえた人間の育成がめざされた。その後,ヨーロッパの貴族階級において紳士像の原形とされた。

B都市での教育

ヨーロッパ中世の都市では商工業が急激に発達したため,都市に人口が集まったこともあって一般庶民の子どもたち向けの教育ニーズも高まった。そうした中で,「ギルド」と呼ばれる同業者組合が教育機関としての役割を担うようになった。ギルドの中で,「親方」として認められた人に弟子入りして実際的な教育を受けた。同業者組合の中で親方になるためには,その職業の専門的な知識と,弟子を育てられるだけの人格的な能力も期待された。子どもたちは親方や他の弟子たちとともに共同生活を送り,職業の技術的な指導を受ける。また,職業人としての人格形成が同時に行われていた。

また,中世の都市には,庶民の他に中産階級の子どもたちを対象とした「都市学校」が成立した。そこでは,中産階級の裕福な家庭の子どもたちに,読み書き算を教えたとされる。また、中世の都市には,パリ大学(神学)、ボローニヤ大学(法学),サレルノ大学(医学)等が大学が誕生した。

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