この記事の読者は累積1737人です。
 
日本を守るのに、右も左もない
345934 日本の産業低迷化と賃上げ問題について
 
匿名希望 19/05/16 AM09 【印刷用へ
横井技術士事務所のHP【リンク】からの転載です。

何故、日本の製造業がこうまでダメになったのか?を見事に言い当てているのではなかろうか?官僚と経営者の無能さに尽きる・・・


転載開始

先日のBS-TBS某番組。テーマは日本の産業低迷化と賃上げ問題。ゲストは世界で唯一直径0.0.2ミリの注射針を作れる岡野工業という中小メーカー社長。社員3人で年商8億。但し後継者がいないので近々廃業するよし。

岡野社長の曰く「日本の製造業がダメになったのは1)大企業は大卒が多い。彼らはまずこれが出来るかどうかを考えて結局何にもしない。2)似たようなことしかしないから結局コスト競争になって、中国や韓国に負けてしまう。3)その結果賃金があがらないから、人が逃げていく」。

その点ウチは「1)他人が出来ないことしかしない、こっちから仕事を獲りにはいかないからコスト競争には引っかからない。だから賃金問題など発生しない」。ということだ。つまり他人が出来ないことをやっておけば問題はないということだ。

無論人口1億2千万人GDP数100兆円という国と、社員3人売上8億の中小企業を同列に並べること自体間違っているが、それでも示唆に富む部分はある。

何故日本の製造業がこうまでダメになったのか?やれ円高だ、貿易障壁だと色々理由はつけられるが、それはあくまで経済政策の問題。重要なのは製造業が競争力を失った根本的原因である。それを岡野社長はみごとに言い当てている。

ポイントは世代の問題である。戦後廃墟の中から日本の製造業は奇跡的復活を成し遂げ、遂には世界をリードするまでになった。その中には世界の先進国が出来なかったことを日本企業がやったからだ。おそらく1960〜80年代までは日本の製造業には競争相手がなかったと云って良い。その風が変わったのが80年代後半からの円高だが、この間国内的にも停滞が進んでいた。

戦後産業復興を成し遂げた第一世代の後を継いだのが今の第二第三世代だが、彼らを襲ったのがバブル崩壊後の円高と中韓他の中進国の追い上げである。そして陥ったのが中韓を相手にしたコスト競争地獄。

この時彼らが頼りにした・・・あるいは彼らをたぶらかした・・・のが竹中平蔵を代表とする新自由主義経済学者とそれに連なる経営コンサルタントと称するハイエナ共である。彼らは企業価値という概念を持ち出し、その指標として一株当たり利益率とかその他さまざまな数値を作って企業をふるいにかけた。ふるいから落とされはたまらんと経営者達が飛びついたのがリストラ。この結果、日本の製造業は際限のない縮小再生産のわな。

例えば造船業を例に挙げると、筆者が中学三年生だった1940年、日本は西ドイツを抜いて世界最大の造船国になった。これだけ見るとご何時、イタリアと云った古い造船国は滅亡したようだ。これは70年代半ばまで続いたが、その後韓国に抜かれ、90年代には中国にも抜かれた。この間日本は何を作っていたかというと、専らタンカーや貨物船といった実用船オンリー。これらは値段がトン幾らで決まる低付加価値商品である。

ところが21世紀に入って始まったのが超豪華客船ブーム。これは乗り心地や内装の豪華さには金の糸目を作内高付加価値商品である。このノウハウを持っているのがやっぱりイタリア初めのヨーロッパ各国。日本はこの市場から完全に外されてしまった。

ノウハウを持つ持たないの差は単なるコストの差ではない。豪華客船のような注文製品の場合、途中の設計変更は当たり前である。この時ノウハウのない会社は発注者の言い分に従わなくてはならない。例えば内装品をこれに変えてくれといわれたとする。ところが内装に関するノウハウがないから、それを調達するために大変な努力が必要だ。これが見えないコストアップに繋がる。一方ノウハウを持って居れば、発注者に対しこれがいいですよよ逆設計変更を提案できる。そういうのは既に購入ルートができているから、コストはかからない。逆に変更分だけ丸儲けだ。こんなことは受注産業のイロハ。

つまり日本の造船業はこんな初歩的なことも出来ず、ひたすらトン幾らの土方産業に陥っていたから世界からとりのこされたのである。

では日本の製造業をこんな状態に貶めた犯人は誰か?無論時代の変化を読めず、ひたすらコスト競争に奔った無能経営者の罪は大きいが、かれらをそういう状況に追いやったのは経産省である。彼らは省の利権と天下り先確保のために業界に圧力をかけ、業界のリストラとイノベーションを妨げた。

以上転載終了
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_345934
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
346051 トヨタの変革〜ありのままを見せる共認形成 宮田一郎 19/05/20 PM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献


『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp