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新しい共認勢力
343279 お金ではなく心を動かす幸せなコミュニティづくりを -利用広がる藤野の地域通貨「萬」(よろづ)の教訓-
 
大崎 ( 25 千葉 会社員 ) 19/02/11 PM10 【印刷用へ
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 藤野地域通貨よろづ屋の仕組みはこうだ。まず参加希望者は入会金1000円を事務局に支払い、自分の通帳をもらう。年会費などの負担は一切ない。入会時に自分ができることやしてもらいたいこと、連絡先などの情報を提示し、メーリングリストなどによって会員間で共有することになる。入会した時の通帳は何の記載のない「0萬」で、ここからスタートする。

 モノやサービスの交換はそれぞれの会員が1対1で取引し、何かをしてあげたときはプラス、してもらったときはマイナスをそれぞれの通帳に自分で記入する。その単位は「萬」(よろづ)で、目安として1萬を1円とする。

 何萬にするかは当事者間で話し合って決め、両者のプラス・マイナスはゼロにする。互いの通帳にサインし、取引はこれで終了となる。通帳に「お互い様」のやり取りを記録するだけなのだ(取引に萬と円の併用も可)。

 取引の申し出はメールや電話などで行い、その後当事者間での交渉となるため、自然に顔の見える関係が地域内に広がっていく。3年ほど前に家族で藤野に移住した「トランジション藤野」のコアメンバー・高橋靖典さんは、「萬があるので気兼ねなく助けを求められるようになっていまして、円では出てこないような色々な取引が生まれています。メーリングリストとの併用ですので、地域の知り合いが増えました」と、萬の効用を語る。

 実際、子どもの椅子や机、かばんなどが萬を通して地域内をぐるぐる回っていたり、引っ越してきた人が萬で家具一式を揃えられたり、モノやサービスの地域内循環が拡大しているという。

 また、最終バスに乗り遅れた人が会員仲間に電話し、2000萬で送迎してもらったり、旅行中の植物への水やりを萬で依頼するなど、その使い方は多岐にわたっている。つまり、萬の存在が地域内の様々な潜在ニーズを掘り起こすことにつながっていると言える。


■もはやカネだけでは幸福になれない「心」を流通させるコミュニティづくり
 ヒト、モノ、カネ、情報が世界中を駆け巡る時代となって久しい。止まることのない経済のグローバル化が、我々の日常生活に様々な影響を及ぼしている。なかでも変貌著しいのが、カネの役割や存在である。

 カネはいつからかコントロール不能の「化け物」のような存在に変わり、マネーと呼ばれるようになった。あらゆるものを飲み込み、相手との関係性を消し去って濁流のように流れる。そして、特定の人の下に流れ込むのである。

 地球上には、瞬時に使い切れぬほどのカネを手に入れる人がいる一方、額に汗して働きながらカツカツの生活を強いられる人が一向に減らない。マネーは歪に動き回り、偏在する。そして、たくさんのマネーを持つことが必ずしも幸福につながるわけでもなくなっている。

 藤野の地域通貨は、地域の人間関係を豊かにし、困ったときに誰かが助けてくれるという安心感を生み出すものになっている。人と人をつなぎ、地域の中に安心と幸福を循環させ、それらをより豊潤に育て上げるものとなっているのである。

 もちろん、そこにはマネーゲームとは無縁の世界が広がっているのである。この日、meenaさんによる1時間ほどの説明に耳を傾けた参加者11世帯が、会員登録の手続きを行った。藤野地区に移住する人が増えているのは、なるほど、こういうお互い様の精神で互いに助け合う住民の地道な活動もあってのことかと、納得した次第である。
 
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